コッククロフト・ウォルトン回路
上記の回路がコッククロフト・ウォルトン回路です。
電源電圧を逓倍させることができます。
下のリンクの解説が一番わかり易いです。
原理
原理を説明します。
上段のコンデンサを保持コンデンサ、下段のコンデンサを継承コンデンサと呼ぶことにします。
1.充電_保持コンデンサ
上絵図のようにコンデンサを充電します。
2. 充電_継承コンデンサ
保持コンデンサから継承コンデンサに電荷が移動します。
$C_1$の電荷が完全に移動し、最終的に0になります。
3. 充電_保持コンデンサ
継承コンデンサの電荷が移動して次の状態になります。
4. 充電_保持コンデンサ
$C_1$の電荷が$C_2$に一部移動して次の状態になります。
以上を何度も繰り返すと最終的に次の状態になります。
最終状態
C端での電位は$3V$となり、電源の3倍の電圧が出力できました。
出力波形に関して
各端子での電圧は次の結果になります。
保持コンデンサ端の電圧は変更しません。
継承コンデンサ端の電圧は変動しています。
実験と結果
上記の回路で実際に実験した結果になります。
本来定電圧であるはず$b$端の電圧が変更しています。
なぜでしょうか。
これは推測ですが、保持コンデンサの電荷に逃げ場はないですが、実際には気中等に電荷が逃げているのです。
ただし、すぐ逃げるのではなくRC放電回路のように特定の時定数を持った放電です。
時定数より明らかに小さい周期の電源を使うとどうでしょうか。
保持コンデンサ端の電圧は固定で、電圧の増加も無事できました。
ただし、目標よりも電圧の増加率が低いです。電源が$\pm 10V$であれば、保持コンデンサの末端は$10V,30V,50V,70V, \cdots$となるはずです。しかし、実験では$9.95V,26.98V,40.4V$となってしまいました。
原因は周波数が足りないこと、ダイオードによる電圧降下であると考えられます。
増加率が低い理由1:ダイオード
ダイオードの降下電圧を$0.5V$と考えると上記の様になります。
増加率が低い理由2:自然放電
上手は100Hz時の波形ですが、0.1sで10Vから4Vに低下しています。
これは保持コンデンサが自然放電しているためです。
RC放電の電圧変化は次のような式になると考えられます。
V = A \exp({-\frac{t}{\tau}})
$\tau$は時定数で、0.1sで10Vから4Vに低下するということより、時定数は$\tau = -\frac{0.1}{ln 0.4} = 0.11s$となります。
100Hzの場合、半周期で5ms、電圧低下率は$1- \exp(- \frac{5ms}{0.11s}) = 4.4 $%になります。
保持コンデンサ端は$9.082V,26.463V$となり、実験結果にかなり近くなりました。
本来$10V,30V$と比べてかなり低下していますね。
周波数を10倍の1kHzとすれば、時定数は10分の1になり、電圧低下率は$1- \exp(- \frac{0.5ms}{0.11s}) = 0.45 $%になります。
つまり、高周波とすれば電圧の損失を少なくすることができます。
また、高耐圧のコンデンサは容量の小さいものが多いです。静電容量が小さくなると時定数も小さくなるので、より高周波が必要になります。
コンデンサ・ダイオードが破損したときの動作
コンデンサ・ダイオードが高電圧によって破損する可能性があります。
コンデンサが導通すると後段のコンデンサに電荷がたまらなくなります。
ダイオードが導通しても同様です。
1段目コンデンサが導通
増幅率は半分になりますが、増幅はします。
2段目以降のコンデンサが導通
抜け穴のように、導通したコンデンサを通して電荷が逃げてしまいます。
ダイオードが導通
以降の段での電圧増幅が機能しなくなります。
部品の選定と限界
ダイオードの逆回復時間
導通状態から非導通に変わる過程にはラグがあります。
非導通方向に電圧を反転してすぐ非導通になるのではないのです。
ダイオード内のキャリアが消えるまで非導通にはなれないです。
非導通になるまでにかかる時間を逆回復時間と呼びます(逆方向電圧で時間が変わりそうだけど、どうなんだろ)。
反転の周期が短くなると、これが問題になります。
1N4007の場合
半周期$2us$はつまり$250kHz$、1割以上を逆回復時間が占めると性能が落ちると予想して$25kHz$あたりが限界ではないかと考える。
耐電圧と1次電圧
1N4007の耐圧は1kVです。ダイオードにかかる電圧は$2V$となるので、入力電圧は$\pm 500V$以下にする必要があります。
いいダイオードはないか
値段が他のダイオードより高いですが、かなり性能がよいです。
ただし、$V_F$が$15V$もあります。1次圧が低くかったり、多段にするのには向いてないですね。1次電圧を2kVなら損失は1%程度で済みます。
逆回復時間が速いです。ただし、端子間容量が1N4007が$15pF$であるため、少し高いです。
ダイオードの端子間容量がどう影響するかはわからないですが試してみたいですね。
段数の限界
今後の課題
制作例
- 入力電圧 $\pm 11V$
- トランス1段目 ST-45:7.75倍
- トランス2段目 ST-26:4.38倍
- CCW回路17弾:15.3倍(実測)
- 総合出力:5.7kV(519倍)
発振回路は最初はArduinoでやってました。ただ、発生する放電によりでArduinoの動作が停止したため、アナログな方法に変えました。実験はArduinoでやってました。トランスを2段にするのは偶然うまくいきました。
終わりに
CCW回路の動作を理解するのはむずかしいです。
実際に試して確認するのが良いでしょう。
コンデンサ容量など実際の回路で試してから出ないと決定できない定数もあります。
以後の人の参考になれば。