この記事はWano Group Advent Calendar 2023の9日目の記事となります。
おじいさんエンジニアが日々糧にしている書籍、去年あたりから最近までで読んで良かったと感じる本を紹介します。個人的な好みではありますが、技術力の底上げのためのコンピュータサイエンス、言語仕様に偏らない問題解決本を紹介できればと思っています。
あなたの知らないところでソフトウェアは何をしているのか? 映画やゲームのグラフィックス、データ検索、暗号化、セキュリティー、データ圧縮、ルート探索……華やかな技術の裏でソフトウェアがしていること
オライリー本ですが、紹介されているのは見たことがないです。よく聞く技術テーマですが、背景にある技術を丁寧に説明してくれています。各言語にライブラリ等、なんでも揃っている状況下でブラックボックスを読み解こうという人は少数派かもしれませんが、地力をあげるにはオススメです。
音楽を扱う上で周波数解析だの特徴量抽出だのとなりがちですが、MIDIを扱うことでディープラーニングに集中できるように工夫されています。Pythonですが何を行ってるかコメントされていて、図を用いつつ丁寧な解説がされています。
技術評論社ってこんな硬派な本も出版できるんですね。信号処理本っていうと数式しかなくて理解不能に陥りがちですが、文字通り色彩あるビジュアルが豊富でモチベーションあがるのではないでしょうか。
Pythonではじめる 音のプログラミング: コンピュータミュージックの信号処理
コンピュータミュージックに的を絞って、MIDI、楽器の音、シンセやエフェクタ処理等の音響処理を丁寧に解説しています。DAWのプラグイン開発に挑戦したい等、参考になりますね。
「アルゴリズムを自分の道具としたい」という読者に向けて執筆、うたい文句通りの期待を裏切らない内容です。アルゴリズムの動きを図で表すなど工夫され、解説されています。
問題解決のための「アルゴリズム×数学」が基礎からしっかり身につく本
数学的知識と数学的考察力の視点から書かれたアルゴリズム本です。アルゴリズムと数学が関係してることを理解する為に、豊富な図で丁寧な解説がされています。
ゲームで学ぶ探索アルゴリズム実践入門~木探索とメタヒューリスティクス
ゲームのルール、課題を与え探索アルゴリズムを解き明かしていくアルゴリズム本です。探索を図を示しつつ順に丁寧に解き明かしていきます。
作って学ぶコンピュータアーキテクチャ —— LLVMとRISC-Vによる低レイヤプログラミングの基礎
元組み込み屋なので、この手の本も大好物です。RISC-Vがオープンソースであるからこその本です。内容はLLVM主体です。
図が多く丁寧な解説がされています。文字通りネットワーク超入門にはオススメできます。が、「手を動かしながら学ぶ」が少々問題。取り扱っている機器がCiscoで例はCisco CLIです。ネットワーク管理者の卵向けですかね。
SQLではじめるデータ分析 ―クエリで行う前処理、時系列解析、コホート分析、テキスト分析、異常検知
データ分析に関わるSQLって意識したことがなかったので、勉強になりました。視点を変えれば幾らでも知識を得られるという事を再認識しました。
ChatGPTはどのような仕組みで機能するのかを、その原理を解き明かす本書。話題のサム・アルトマン絶賛と帯にガッツリあります。ハヤカワの新書ですから電車で読むのに丁度いいです。
データ分析プロジェクトの「失敗」を事例に、失敗を避けるために何をしてはならないのか、について学びを提供する本です。技術書ではありませんが、このケース、あのプロジェクトと同じでは、あるある、と共感できる内容です。
年末年始に読む予定
eBPFの初めての日本語入門書では無いでしょうか。
systemdの思想と機能 Linuxを支えるシステム管理のためのソフトウェアスイート
systemdオンリーの本は、初めてではないでしょうか。
定番本の第2版です。The鈍器本といえる内容の質、ページ数を誇っています。
インタプリタの作り方 -言語設計/開発の基本と2つの方式による実装
インタープリタ本やコンパイラ本、最近はあまり見かけなくなったところで、結構な大作。
ネットに情報があふれる現代でも知識を得て問題解決の糧にするために、書籍は良いものです。専門書は高いので会社で購入してもらう、あるいは中古本を購入するのもオススメです。中古本も外さなければソレナリに綺麗なので、発売したばかりなど多少安く購入でき少しばかりお得です。
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