◆この記事の目的
テクニカルライティングに関する法律について理解する
目次
▼コンプライアンスとは?
▼安全情報に関わる法律
▼利益保護に関わる法律
▼知的財産権に関わる法律
▼コンプライアンスとは?
企業や個人が法律や規則、倫理的基準を守ることを指す。
特に企業においては、法令遵守だけでなく、社内規則や社会的なモラルに従った行動を求められる概念として広く使われている。
▼安全情報に関わる法律
製造物責任法
製造物責任法(PL法)とは、製造物の欠陥によって消費者が被害を受けた場合、製造業者などが損害賠償責任を負うことを定めた法律である。
製造物の欠陥には3つの種類がある
- 設計上の欠陥(例:ブレーキの構造に問題があり正常に作動しない)
- 製造上の欠陥(例:不良品が混入し、正常に機能しない)
- 指示・警告の欠陥(例:使用上の注意が不十分で危険性が伝わっていない)
テクニカルライティングにおいては、特に「指示・警告の欠陥」を理解しやすく書くことが重要である。
消費生活用製品安全法
消費生活用製品安全法とは、消費者が使用する製品の安全性を確保し、事故や危害を防ぐために制定された法律である。
以下「リスク管理体制の整備」において、テクニカルライティングは事故予防や適切な対応のために欠かせない要素
- 取扱説明書や警告表示で事故を未然に防ぐ
- 品質管理やリスクアセスメントの文書で安全基準を確保する
- 事故報告やリコール通知で迅速な対応を行う
その他法律
- 電気用品安全法
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性確保等に関する法律
- 労働安全衛生法
▼利益保護に関わる法律
家庭用品品質表示法
家庭用品品質表示法は、衣類やプラスチック製品などの品質や使用方法を消費者に正しく伝えるための法律である。
「使用上の注意について、本体又は取扱説明書に表示すること。」と規定されている。
不当景品類及び不当表示防止法
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、消費者が正しい情報をもとに商品を選べるようにするための法律である。
虚偽・誇大広告をすることを防ぎ、過剰な景品提供を制限することで、公正な市場競争を守る
▼知的財産権に関わる法律
著作権法
著作権法は、著作物の創作者(著作権者)がその著作物を独占的に利用できる権利を保護するための法律である。
取扱説明書やカタログの文書は、事実の伝達であるため、著作権法の保護対象外。
著作権法の保護対象には、以下のようなものがある。
- 文学作品(小説、詩、論文など)
- 音楽作品(楽曲、歌詞など)
- 美術作品(絵画、彫刻など)
- 映画、ビデオ作品
- コンピュータプログラム
著作権法において、引用と認められるためにはいくつかの条件がある。
以下は主な条件。
- 引用の必然性: 引用が自身の著作物を作成する上で不可欠であること
- 引用部分と自作品との区別: 引用部分が明確に区別され、引用であることがわかるようになっていること
- 引用の量と質: 引用の範囲は、自作品の主張や説明の補助的なものであり、自作品の本質的な部分を構成しない程度に留める
- 引用元の明示: 引用元を明示することが求められる
- 公正な扱い: 引用が公正な目的のために行われることが求められる
商標法
商標法は、事業者が自己の商品やサービスを他社のものと区別するために使用する「商標」を保護するための法律である
例えばロゴやブランド名、スローガンなどが該当する。
意匠法
意匠法は、物品のデザイン(意匠)を保護するための法律である
意匠とは、形状、模様、色彩などにより、製品の外観を美しくするための工夫を指す。企業が自社のデザインを守り、消費者に魅力的な商品を提供するために重要な法律。
不正競争防止法
不正競争防止法は、企業間の公正な競争を保護し、不正な取引慣行を防止するための法律である。
不正競争防止法の主なポイントは以下の通り。
- 虚偽広告の禁止: 商品やサービスに関して誤解を招く広告や虚偽の表示を行うことを禁止
- 商品形態模倣の禁止: 他社の商品形態(デザイン、パッケージなど)を模倣することを禁止
- 営業秘密の保護: 他社の営業秘密を不正に取得、使用、開示することを禁止
- 不正な信用毀損の禁止: 他社の信用を毀損するような行為、例えば偽りの情報を流布することを禁止
計量法
計量法は、物品の計量(測定)を正確かつ公正に行うための法律である
計量に使用される単位は、国際単位系(SI単位系)に基づいて統一されている。
例)長さ:メートル
質量:キログラム、グラム、トン