🛠 第8回：【エラー対策編】C#やffmpegの落とし穴を生成AIと乗り越えた記録

はじめに：エラーは避けられない。

C#でアプリを作るとなると、言語バージョン、DLL依存、ライブラリ連携など、必ず何らかのトラブルに遭遇します。

このツール開発では、筆者自身が C#に不慣れな状態で生成AIにすべてを頼ったので、当然トラブルも多かった。

ですが、Copilotに「どうしてエラーが出てるの？」と尋ねるだけで、原因分析→修正案→再発防止策までセットで提示してくれるのです。

それでは、代表的なエラー事例とその解決プロセスをご紹介します。

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CASE 1：C# 7.3では using var が使えない

エラーメッセージ：

機能 'using 宣言' は C# 7.3 では使用できません。8.0 以上の言語バージョンをお使いください。

これは using var x = new Y(); のような宣言が C# 8.0 以降の構文であるため発生するエラーです。

筆者の対応方法：

• Copilotに「このプロジェクトはC# 7.3なのでusing varは使えない」と伝えた
• AIは即座に using (var x = new Y()) { ... } に書き換えてくれた

代表例（マーカー描画）：

using (Pen pen = new Pen(Color.Orange, 3))
{
    e.Graphics.DrawLine(pen, x1, 0, x1, markerOverlay.Height);
}

この対応をすべての箇所に反映したことで、C# 7.3環境でも完全にビルドが通るようになりました。

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CASE 2：ffmpeg.exeが見つからない、またはコマンドが通らない

エラーメッセージは出ないものの、「動画が出力されない」「ffmpegが起動しない」
といった挙動で、ffmpegをダウンロードしなくてはいけないことを思い出す。

筆者の対応方法：

• Copilotに「ffmpeg.exeの配置が正しいか確認したい」と伝える
• AIは EnsureFfmpegPath() を拡張して File.Exists(ffmpegPath) をチェックする構文を提案
• さらに自動取得まで組み込むことで確実に存在するように改善

自動取得コード（抜粋）：

string url = "https://www.gyan.dev/ffmpeg/builds/ffmpeg-release-essentials.zip";
using (var client = new WebClient())
{
    client.DownloadFile(url, zipPath);
}
ZipFile.ExtractToDirectory(zipPath, ffmpegDir);

一括処理で、“ユーザーが何も準備しなくても使える”状態にしました。

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CASE 3：LibVLC DLLが不足して動画が再生できない

動画ファイルは選べたのに、再生ビューが真っ黒。さらにエラーも表示されない。

原因：

• libvlc.dll, libvlccore.dll が bin\Release\ に存在しない
• plugins/ フォルダが不足している

筆者の対応方法：

• Copilotに「LibVLCSharpで動画が表示されない理由は？」と聞く
• AIが依存DLLと plugins の構成を示し、VLC公式からZIPをダウンロードする方法を提案
• 結果、libvlc/ フォルダを構成することにより完全再生が可能に

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CASE 4：ジョブの終了時間が開始時間より前になっている

この場合、ffmpegでは実行エラーになるか、何も出力されない。

筆者の対応方法：

Copilotのアドバイスにより、ジョブのバリデーションを追加：

if (end > start)
{
    // 実行OK
}
else
{
    MessageBox.Show("終了時間は開始時間より後である必要があります。");
}

このコードは、BtnExportAll_Click() のジョブ抽出部分で .Where(...) フィルターとして追加され、無効なジョブは事前に除外できるようになりました。

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CASE 5：Visual StudioでReleaseビルドができない、exeが見つからない

筆者が最初に遭遇したトラブルの一つ。

対応方法：

• Copilotに「ビルドしてもexeが見つからない」と伝える
• AIが「構成がDebugになっていませんか？」と指摘してくれた
• Release構成に切り替えることで bin\Release\filebunkatsu.exe が生成されるようになった

このような「開発者が見落としがちな設定ミス」まで拾ってくれるのは、Copilotの魅力です。

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CASE 6：再生・停止ボタンが潰れて表示される

この問題は見た目に関わるため、designer.csに書いた時点ではわかりにくい。

new point移行の座標を修正することで対応が可能です。
(ここはAI生成に頼っておりませんでした。)

btnPlay.Location = new Point(20, 485);
btnPause.Location = new Point(110, 485);
btnStop.Location  = new Point(220, 485);

これで UIの潰れは解消され、視認性も向上しました。

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CASE 7：削除ボタンのラベルが表示されない

初期のコードでは、ボタン列はあるのにラベルがなくて分かりづらい。

Copilotへの修正指示：

💬「削除ボタンの列にラベル“操作”を追加してほしい」

返ってきたコード：

deleteButtonCol.HeaderText = "操作";
deleteButtonCol.Text = "削除";
deleteButtonCol.UseColumnTextForButtonValue = true;

これにより、列ラベルとボタン文字の両方が明示的に表示されるようになり、ユーザーもすぐに理解できるUIに進化しました。

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CASE 8：未定義のイベントハンドラによるビルドエラー

例：

error CS0103: 現在のコンテキストに 'BtnPlay_Click' という名前は存在しません

原因：

• Designer.csではイベント登録されているのに、Form1.cs に対応メソッドがない

対応：

• Copilotに「イベントハンドラがないせいでビルドできない」と伝える
• AIが BtnPlay_Click, BtnPause_Click などの空メソッドをすべて生成してくれる

これでビルドエラーはすべて解消され、機能も動作するようになりました。

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まとめ：エラーはむしろ“Copilotが活躍するチャンス”

この回を通じて分かったのは、「エラーが起きたときこそ生成AIが最も頼れる」ということです。

トラブル	Copilotの対応	効果
C# 7.3での構文エラー	using var を using (...) で修正	ビルド成功
ffmpegが見つからない	自動DLと配置コードの生成	ユーザー手間ゼロ
LibVLC依存不足	必要DLL・pluginsの取得案を提示	動画再生可能
ジョブ不備	時間比較バリデーション追加	安定処理
UI潰れ	座標調整コードの提案	視認性向上

Copilotに伝えるべきは「やってほしいこと」ではなく「何が困っているか」。
その視点でプロンプトを書けば、AIは原因分析＋解決策をセットで提示してくれます。

次回：【配布設計編】

いよいよアプリが完成したら、次に考えるべきは「どう配布するか」です。

生成AIと共に開発したこのツールも、ffmpegやLibVLCといった外部依存ファイルを含むため、単なる .exe ファイルだけで配布するのは不十分。
でも、Copilotに「ユーザーが1つのZIPで受け取れるようにしたい」と伝えるだけで、フォルダ構成やパッケージングのアイデアまで提供してくれました。

第9回では、以下のような内容を取り上げます：

• 🧳 ビルド出力＋外部DLLをまとめるフォルダ構成
• 🗂 ffmpeg.exe, libvlc.dll, plugins の配置場所
• 📝 READMEに書くべき導入手順と注意事項
• 🔃 ユーザー視点での「最も使いやすい配布方法」
• 📦 ZIPでまとめて配る手法と展望