AI予想を自分で組んでから、それなりに納得できる精度まで持ってきたタイミングで、ふと思ったんです。
「これ、仲間に使ってもらったらどういう反応になるんだろう?」
競馬は個人競技みたいな趣味ですが、私の場合は毎週友人とLINEで予想談義をしていて、そのやりとりが自分の予想にも大きく影響しています。
AIという“自分の競馬脳を模したツール”が仲間にどう受け止められるかは、実験としても開発としても、すごく面白いと思ったんです。
🖥️予想画面を共有した構成
UI(C#)には以下の機能を入れて、使い慣れた馬柱+自動予想形式に仕上げていました:
要素 | 内容 |
---|---|
本命候補 | スコア70以上/罠スコア低め/展開合致優位あり |
相手候補 | スコア65〜69/枠/人気妙味/上がり評価 |
買い目構成 | ワイド/馬連/単複の最適組み合わせ表示 |
理由表示 | 各馬に対して展開・脚質・人気バランスなどの加点理由をマウスオーバーで表示 |
手動補正機能 | 「買いたくない」「軸にしたい」を選ぶと、再構成が走る |
これを、予想談義で毎週話している仲間に配布。
「好きに触ってみて、意見ももらえたら助かる」と伝えて実験スタートしました。
👤仲間A:ワイド専門の慎重派
この人はとにかく絞るタイプ。買い目はワイド1点、多くても複勝1点。
軸馬の選び方にも厳しく、「買う理由が1つでは買えない」「展開・枠・騎手すべて揃ってから買う」が信条です。
彼の反応:
「◎の理由は納得。ただ、買い目候補が3〜4点あると多くてブレる。
自分なら、そこまでスコアが強くない▲とか△は表示させない方が嬉しいかも」
この意見から、買い目数制限オプションを追加。
「買い目最大2点」「罠スコア30以上の馬は全表示から除外」など、UI側で条件選択式に変えました。
👤仲間B:展開ファーストの逆張り派
この人は「展開さえ読めていれば、人気も騎手も関係ない」というタイプ。
データはほぼ使わず、「この流れなら残る」「この馬場なら届く」と読む、感覚型に近い予想スタイルです。
彼からは:
「展開予測がいい。前残り表示になってるのに、◎が差し馬のときは少し疑うかも。
展開優先の人からすると、脚質との食い違いがあるなら自分で決めたい」
このフィードバックから、脚質補正スコアの分離表示を追加。
今までは総合スコアに含めていた脚質項目を、別枠で「展開との一致度」として出すよう変更。
これで「前残り表示+先行脚質の馬が明確に見える」ようになり、納得感が上がりました。
👤仲間C:人気と空気感を読むタイプ
この人は、調教師コメント/オッズの変化/Twitterの“競馬クラスタの空気感”などをよく見ています。
当日朝に「今日の注目馬」が大量に挙げられている馬は逆に嫌うタイプでもあります。
彼の反応:
「買い理由のスコアがあるのは分かりやすい。
でも、人気が急変してる馬にはもっと注意喚起があるとありがたい。
最終オッズとの乖離とか、単複の売れ方にも注目してる」
ここから以下の拡張を実装:
- 前日オッズ/当日オッズ/直前オッズの変動率をグラフ表示
- 単勝/複勝の比率スコアで“本命集中型”か“穴人気型”かを判定
- 調教師コメント解析で「慎重」「叩き台」などを罠スコアに加味
この人からの意見は、市場の読みをAIに取り込むうえでかなり貴重でした。
🎯競馬脳の違い=「AIへの接し方」の違いだった
同じ予想画面、同じ出力を見ても、反応はバラバラでした。
「軸の据え方」「相手の広げ方」「罠の感じ方」「買い目の絞り方」――全部違う。
しかも、それぞれに説得力がある。
その時に感じたのは、
「AI予想は、出力そのものより“どう触れるか”が一番大事」
つまり、“出力の正しさ”ではなく、“納得できる操作性”。
これが人によって違う以上、操作可能性の広さ=AIの懐の深さになるんだと実感しました。
🔧拡張で追加した主な機能
機能 | 内容 |
---|---|
買い目制限 | UI上で最大点数/罠排除条件を指定可能 |
脚質一致度スコア | 展開タイプと脚質のマッチ率を別表示 |
オッズ動向分析 | グラフで前日~直前の変動を表示 |
単複売れ方比較 | 人気の偏り/不自然な集中を可視化 |
コメントスコア分析 | ネット媒体の騎手・厩舎コメントから印象度を数値化 |
これらはすべて“人によって使い方が変わる”ことへの対応です。
📘まとめ:AI予想は、実は“予想スタイルの鏡”だった
自分で作ったAI予想が、自分の競馬脳に近いのは当然です。
でも、仲間と共有して初めて、「それってこう読めるよね」とか、「私ならこっち使う」といった新しい視点が生まれる。
そこで気づいたのは――
AI予想は予想を出す道具じゃなく、“予想スタイルを映す道具”でもある。
人によって重視する項目も違えば、納得ラインも違う。
だから、使ってもらって初めて「補完すべき項目」が明確になり、開発として一段深く踏み込めたと思っています。
🐎次回:第10回「AIと私の競馬:技術が趣味を支えてくれる」
最後は、「AIを作ってみて自分の競馬がどう変わったか」「忙しくても予想ができるという安心感」「予想を続けられる仕組みがあることの意味」について書きます。
競馬はただの趣味かもしれない。
でも、“趣味を支える技術”は、趣味そのものを長持ちさせる道具になる。 そんな話を最後にまとめて締めくくります🐎