2
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 3 years have passed since last update.

QIIME2をJupyterHub上に環境構築してみた

Last updated at Posted at 2021-01-24

Qiitaの皆さん、初めまして。縁あって16Sリボソーム遺伝子配列に基づいた細菌叢解析を行っています。直近一年くらい、QIIME2に触れてきましたので、少しでも普及の支援になればと思い、作業環境の構築方法を記録しておきます。

#はじめに
QIIME2をお使いの皆さんはどのようなマシン環境でお使いでしょうか。公式サイトではWindows, MacOS, Linux上でvirtualbox, Dockerなどを使って簡単に利用できる事になっています1。SSHでリモート接続してq2cliで解析をしても良いのですが、生物系の皆さんはあまり馴染めない操作法だったようなのでjupyterhubを導入して複数人で扱える環境を目指しました2

#システム構成
以下が本投稿の前提になります。AWSのEC2等のVPSで最小構成から初めてデータ量に合わせてスケールしてゆくのは良い考えかもしれませんが、セキュリティ対策が必要になります3

  • CPU: AMD64アーキテクチャのCPU4
  • Memory: 16GB(目安です5)
  • Storage: ハンドリングするデータ量に合わせます。おすすめは
    • 8GB以上のSSDを起動用
    • データストレージ用にHDD。/homeにマウントします。
    • HDDと同サイズ以上のHDD。USB接続でデータバックアップの際に適当な位置にマウントします。
  • OS: Ubuntu-server 20.04 (他のディストリビューションでも構いません)
  • その他: 以下は必須ではありませんが本投稿の前提になります。
    • 24時間稼働することもあるため、電源は信頼のできるものがおすすめです。
    • ケースは給排気のしっかりしたものなら何でもOKです。ホコリの堆積による火災に注意。
    • port番号を変更した秘密鍵方式のSSHサービスを設定しました。
    • ファイアウォールで必要のないportは閉じておきました。
    • あとは常識の範囲で。

minicondaの導入とアップデート

大事なことはQIIME2から先にインストールすることです6。まず公式サイトのNatively installingに従ってQIIME2をインストールしました。

$ sudo su -
# cd 
# apt update && apt -y upgrade 
# wget https://repo.anaconda.com/miniconda/Miniconda3-latest-Linux-x86_64.sh
# /bin/bash ./Miniconda3-latest-Linux-x86_64.sh

途中で訊かれますのでインストール先は/opt/miniconda3conda initは実行を選択して/root/.bashrcにcondaの初期化設定を追加しました。

QIIME2のYMLファイルで仮想環境を構築、活性化

一旦、rootから抜けてして再度rootに戻ってくるのが楽かと思います。まずcondaのアップデートをおこない、QIIME2をインストールしました。公式サイトを参考にymlファイルを取り寄せて、仮想環境を作りました。

# exit
$ sudo su -
(base) # conda update conda
(base) # wget https://data.qiime2.org/distro/core/qiime2-2020.11-py36-linux-conda.yml
(base) # conda env create -n qiime2-2020.11 --file ./qiime2-2020.11-py36-linux-conda.yml
(base) # conda activate qiime2-2020.11

jupyterhubの構築

もしq2cliで運用する場合はここまでで終了ですが、Artifact APIを何人かで共有する環境を目指します。

(qiime2-2020.11) # conda install -c conda-forge jupyterhub jupyterlab
(qiime2-2020.11) # jupyterhub --generate-config
(qiime2-2020.11) # mkdir -p /etc/jupyterhub
(qiime2-2020.11) # mv ./jupyterhub_config.py /etc/jupyterhub
(qiime2-2020.11) # vim /etc/jupyterhub/jupyterhub_config.py

必要に応じて設定ファイルを編集します。今回はファイルの最終行に以下を追記しました。

c.JupyterHub.ip = '0.0.0.0'
c.JupyterHub.port = 8000
c.Authenticator.admin_users = {'foo'}
c.Authenticator.whitelist = {'foo', 'baa'}
c.Spawner.default_url = '/lab'

一行目のc.JupyterHub.ipはすべての接続を許可しています。アクセス元のIPアドレスが限定できる場合はCIDR記法などで絞り込みを行ったほうが安全です。二行目で待受けするportを指定しています。他のサービスと重複しない場合は変更可能です。三行目はjupyterhubを管理するユーザを、四行目は利用するユーザを指定します。もちろんfoobaaは適切なユーザ名に変更してください。五行目は作業環境をjupyterlabにする設定です。不要であれば省略可能です。foobaaがシステムに登録されていなければ、以下のようにサーバのユーザとして登録しておきます。

(qiime2-2020.11) # adduser foo
(qiime2-2020.11) # adduser baa

自動起動の設定

jupyterhubが稼働するディレクトリを/var/local/jupyterhubに作成し、/usr/local/sbinに次のファイルをrootで作成します。

(qiime2-2020.11) # mkdir -p /var/local/jupyterhub
(qiime2-2020.11) # vim /usr/local/sbin/jupyterhub-startup.sh
(qiime2-2020.11) # chmod +x /usr/local/sbin/jupyterhub-startup.sh

/usr/local/sbin/jupyterhub-startup.shは以下のような内容にしました。# >>> conda initialize >>>から# <<< conda initialize <<<まではcondaの仮想環境へ切り替えるための初期化スクリプトでtail -n 15 ~/.bashrcで切り出すことができます。

/usr/local/sbin/jupyterhub-startup.sh

#!/bin/bash

QIIME=qiime2-2020.11

# >>> conda initialize >>>
# !! Contents within this block are managed by 'conda init' !!
__conda_setup="$('/opt/miniconda3/bin/conda' 'shell.bash' 'hook' 2> /dev/null)"
if [ $? -eq 0 ]; then
    eval "$__conda_setup"
else
    if [ -f "/opt/miniconda3/etc/profile.d/conda.sh" ]; then
        . "/opt/miniconda3/etc/profile.d/conda.sh"
    else
        export PATH="/opt/miniconda3/bin:$PATH"
    fi
fi
unset __conda_setup
# <<< conda initialize <<<

cd /var/local/jupyterhub
conda activate $QIIME
/opt/miniconda3/envs/$QIIME/bin/jupyterhub -f /etc/jupyterhub/jupyterhub_config.py

次にsystemdに自動起動のスクリプトを設置します。

(qiime2-2020.11) # vim /etc/systemd/system/jupyterhub.service

必要最小限の内容だけ記述しました。必要に応じて項目を追加してください。

/etc/systemd/system/jupyterhub.service
[Unit]
Description=JupyterHub
After=syslog.target network.target

[Service]
User=root
ExecStart=/usr/local/sbin/jupyterhub-startup.sh

[Install]
WantedBy=multi-user.target

systemdに登録して、稼働するか確認してみます。

(qiime2-2020.11) # systemctl daemon-reload
(qiime2-2020.11) # systemctl start jupyterhub.service
(qiime2-2020.11) # systemctl status jupyterhub.service

エラーがないことを確認しました。

#動作確認とまとめ
webブラウザでIPアドレスとport番号を指定してアクセスして、ログインできてjupyterlabが表示されました。python3で新しいノートを作成し、from qiime2 import Artifactのようなコードを実行して、なんのエラーも返さなければArtifact APIが利用可能です。No module named 'qiime2'というエラーが戻ったときはqiime2仮想環境で実行されていないので、上記内容を確認してください7
以上で、QIIME2のArtifact APIをjupyterhubで共有できるようになります。この記事をきっかけにQIIME2のユーザーが増えますよう、祈って終わります。

  1. もしくはテンプレートのあるオレゴンのAWSにインスタンスを借りるようなケースも想定されていますね。自分の場合はハイスペックなEC2を維持したり、マシンパワーとメモリの潤沢なノートPCを購入する財力もなかったので、使い古しのデスクトップマシンをサーバにして、手元にChromebook Ideapad Duetからアクセスすることにしました。

  2. 研究所内ローカルネットワーク内にx86_64サーバを設置して、メンバーで共有するイメージです。セキュリティ上の問題があるので、このまま外部に公開しないようにご注意ください。

  3. このあたりはネット上に色々と情報がありますので、設定方法はそちらを御覧ください。気が向いたら投稿するかもしれません。

  4. 今(2021年1月)の所、Raspberry Pi等のARM系マシンは避けたほうが無難ですが、M1 Macの登場で状況が変わりそうです。今回は趣旨と異なるので深堀りはしません。

  5. メモリ不足でエラーが出たときはSwapファイルの拡大で対応可能です

  6. The littlest Jupyterhubなどを利用してjupyterhubの環境構築してから、その上にQIIME2環境を作ろうとするとハマります。

  7. QIIME2-2020.11の導入時に、from qiime2 import Artifactは通るのにfrom qiime2.plugins import feature_tableに「No module named 'qiime2'では無いエラー」を返すことがありました。その時はSSHなどで接続して(base) # conda activate qiime2-2020.11で仮想環境に入った状態で(qiime2-2020.11) # conda update --allすることで解消しました。

2
1
1

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
2
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?