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数学とはなにかを考えてみた

Last updated at Posted at 2023-01-08

数学はいろんな人が尾ひれを付けて作った言語

結論を先に言おう。ありきたりだが、数学とは言語であると思う。
では数学がどんな言語かというと、以下の特徴をもった言語が進化した結果だ。

  • 自分で勝手に文字と文法を作る
  • 作った文法は必ず守る

たとえば、その語派として

規則)

  • 1, 田が文字に使える
  • +とは、1+1=田んぼの田という文法で定義される

っていう小学生語を作ろう。

では、田に+1したらどうなるだろう?
線を一つ書き足して、甲になる。さらに+1したら申になる?
操作の結果を定義するごとに、以下のようになる。

  • 1, 田, 甲, 申を文字を使える
  • +1とは、1→田→甲→申と、田に一筆ずつ追加する操作である(1は例外)

じゃ、田+田はどう定義しよう?田+1と1+田って同じとするか?ルールがとても複雑になっていくことがわかる。

延々と続けても話がつまらなくなってきたので、この辺にしてまとめよう。

数学とは、誰かが始めていろんな人が尾ひれを付けて進化していきながら有名になった、小学生語のようなものだと思う。創始者がアラビア数字の十進法を使うものを提案して、いろんな人が「いいね!」をした結果なのだろうと思う。

数学言語のヤバさ

数学は言語として見れば、以下の特徴をもつ。

  • とても言葉同士の規則性が高く、表現できる範囲の割に規則が少ない。
  • 現実に存在する現象の一部をよく表現できる
  • 何かを説明するには、数学だけでは難しい

規則が少なく、規則性が高いことは、我々自身が知らない現象に対する言葉も作れてしまうことがヤバい。
これを数値予測とかいってるわけだ。

これが例えば日本語と英語だったらどうだろう。
appleはりんご、pineappleはパイナップルって英語がある。我々日本人としては、英語圏の人はパイナップルはリンゴが松に生えたものだと思ってるのかと推測できる。じゃ、英語をミックスさせてseaappleなんて言葉があったら、何を意味するんだろう?正直想像つかない。

でも、これが数学だと話は違う。

1皿にのった1個のりんごを"1x1"としよう。10個のりんごは"10x1"とすると、"10個*10皿"は"100x1"とイコール、すなわち100個1皿のりんごがあるのと同じという"言葉"になる。

ここで100という言葉はapple→sea-appleのように、数学の言葉10, x, =をミックスさせて作った言葉のはずなのだが、現実にあてはめると、トータル10x10=100個のりんごがあることが実際にわかる

まあ、この例だけではヤバさは伝わらないと思うが、数学のおそろしい所は、おおよそあらゆる文字の組み合わせに対して、その言葉が持つ意味が組み合わせから類推される通りになってしまう点にある
例えばりんごが落ちる方程式に月を当てはめて、月が地球を回る様を予測できたりする。もっと言えばブラックホールや重力波の存在を予測したのも、比較的身近にも起きる現象を説明するために立てた数式からの帰結(相対性理論)だ。

あ、ひとつ重要なルールがあった。

  • 文字の組み合わせの結果に曖昧性があってはならない

たとえば、0でのわり算を数学上禁止している理由はこれ。

$$3\neq 4$$
で、
$$0\times 3=0\times4$$
そして
$$0/0\times3=0/0\times4$$
で、分母を払って
$$3=4$$

0という言葉自体は曖昧ではないのだが、0/0は(3x0)/0, (4x0)/0と、なにが0になったのかわからないものを戻す操作になるので、曖昧性があるのである。

ちなみに、この組み合わせて類推する操作を我々は計算と呼んでいる。

自分ではじめる数学史

なぜ数学が現実をうまく説明するのか。それは、自分で作ろうとすれば、おぼろげながら見えるのではと思う。

小学校算数

りんごの数が1個、増えて2個、3個、って呼ぶようにしよう。
いま、りんごが左手に2個、右手に4個合わせて6個。
+は、両手を合体する操作としよう。
合体する操作は2+4でも4+2でも変わらないので、2+4=4+2だ。
じゃ、今度は三つのグループを合体させるなら、1+2+3=2+1+3=2+3+1=6、つまりどこから合体させても結果は変わらない。
(1+2)+3=1+(2+3)=(1+3)+2=6

別にりんごじゃなくても、数えられるものなら成り立つよね?これを足し算と定義しよう。

戻す操作。6つから右手で4つとったら、2個残った。
6-4=2
これを引き算にしよう。引き算は4-6はできないので、引き算は順番が重要

これを水とか色々当てはめれば、小学校算数ででてくる四則演算は網羅される。
ようは小学校算数とは、現実を主軸として数学の言葉をどうやって対応させるか。どう組み合わせて類推(計算)するか。そこに主軸を置いた教育だといえる。

中学校数学

中学校からは、小学校でやってきたことを発想を逆転する。だから算数ではなく数学という言語学になる。

さっき出てきた、4-6の操作がでてきた。これはなんて説明するのがいいのだろう?この発想は、既に現実から生まれた疑問を数式化するのではなく、数式から生まれた疑問に説明を加えることになっている。説明するには発想を逆転しないといけない。

負の値というのは借金とかいろいろ説明はできるだろうけど数直線、グラフというワードがある。これは数に説明を加える上で有用な考え方である。

すでに言語学になっているので、(これまでのルールを壊さない限り新しい文法を好きに提案していい)のである。

※ただし、完全に新しい文法が世に受け入れられるかは別である。いま採用されている文法は私が知る限り、なにかしら間接的にでも有用である。

この発想のもと、負の値は反転の意味で定義できる。東へ-50歩といったら、西へ50歩の意味になる。おお、辻褄あう。

じゃ、かけ算も反転でいいな。となる。
$$(-1)\times(-6)=6$$

※当然、ほかにも色々な解釈はあるのだが、省略する

高校数学

では、こうやって定義した直線、実は直線じゃなくてよくね?となる。
かけ算で反転させられるなら、回転させてもいいじゃないかと。ここで、現実スタートではない新しい文字$i$(虚数)がでてくる。英語名でImaginary Numberと呼ぶが、想像で定義した数という意味で日本語より実情に合っているのではなかろうか。

数直線の外に飛び出していい場合、90度垂直に回転させる因子を虚数$i$と定義しよう。二回90度回転させれば-1になる。

$$i^2=-1$$

さあ、方角にあてはめよう。東に3i歩進むとは、北に3歩進むことになる。とは一概にはいかない。90度回転とは上下を指す場合もあるからである。

東西を数直線にあてはめたなら南北を虚数軸にあてはめると前提の追加説明をするべきだ。

説明の例としては、

東西南北を東と北を実軸虚軸にあてはめた平面で、4歩を-i回(=90度回転1回と反転一回)行うと東に-4i歩、つまり南に4歩となる。

と使用できる。虚数も数式サイドから拡張定義されただけの、用法を守れば普通に使える数字なのである

虚数の使い方が分からない人が多いのは、中学校数学で数学の定義が言語学であることを教えられないので、数直線を飛び出す数字なんてあってはならないと刷り込まれることじゃないかと私は思う。

なお、余談。
東に$3+4i$歩ってどういう意味?って話。
3歩歩いて回転して4歩?で、だいたいあってる。
一方、それは最短距離で斜めに5歩でいける。$5(0.6+0.8i)$。
$0.6+0.8i$とは、$\cos\theta=0.6$,$\sin\theta=0.8$なる角度$\theta$を用いて
$$5(\cos\theta+i\sin\theta)$$
で定義される。つまり、$\theta$だけ回転させて5歩進め、という風に解釈可能である。そこからドモアブルの定理やオイラーの定理を介して、指数関数$$\exp(i)$$が単位角あたりの回転因子として作用することが導ける。

ベクトルや行列についても、べつに文字式の文字って一つの値しか保持できないってルールじゃなくてもいいよね?っていう風に拡張されたものだと思えば、すんなり入ってくるのではと思う。

まとめ

  • 算数は現実を数式にしたり、組み合わせて計算することを練習する。
  • 数学は数式を一人歩きさせて言語学として拡張していく学問。現実が数式についてくる

だと思う。なので、言語学である数学はそのまま現実に使えないのは当たり前であり、現実にあてはめて使う努力が必要なのである。

なお、実際に数学を現実に当てはめようとした結果、新しい知見を次々に得た意味で成功した学問は枚挙に暇がなく、物理学とか情報学とかは最たる例ではと思う。大学でそれらが「数学している」ようにみえる(実際は数学を利用しているのだが)のは必然だろう。
たとえば量子力学の運動方程式であるシュレディンガー方程式
$$\hat H\phi=i\hbar\frac{\partial}{\partial t}\phi$$
はまず現実として、光電効果の作用単位が光の振動数
$$E=\hbar\omega$$
が電子のエネルギー
$$E=\frac{\hat p^2}{2m}+V=\hat H$$
に変換できるが、その変換できるエネルギーは離散的(量子的)にしか取り得ない事実がある。これ
を数学の言語で表した結果である。

この式が離散的な値しか取り得ないのは、Vを定めると
$$\hat p=-i\hbar\frac{\partial}{\partial x}$$

を満たす振動状態
$$\phi=\exp(ikx-i\omega t)$$
は固有な値しか取り得ないことで表現される。すると、どんな値の存在が許されるのかが予測できるようになった、ということだろう。
※至る所に虚数が使われているが、虚数は全般的に「振動の位相」として使うことが多い。

数式サイドとしては、行列の行列乗だったり、行列Hに対してlogHを考えてもいいし、しっかりそれっぽい定義も類推できるのである。それが実用的かは置いておけば、数学の自由度は高い!

なお、正の数xと行列Hについて、
$$e^H=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{H^n}{n!}$$

$$\log(e^x)=e^{\log x}=x$$

$$(x^y)^z=x^{yz}$$

は「既存の文法」として確立している。

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