はじめに
色々あってRealSense L515を入手できたので、今更ですが使ってみようと思います。ということでまずは情報を集めてみると
- Intel RealSense L515は、2020年に発売されたソリッドステート型LiDAR深度カメラで、独自のMEMSミラースキャン技術を採用し、0.25mから9mまでの高精度な深度測定が可能
- Intelは2021年8月にRealSense事業の縮小を発表し、L515を含む一部製品の生産終了を決定しました。 その結果、L515の製造と販売は2022年2月に終了し、後継製品は提供されていません。
- L515のSDK開発も停止されており、SDKバージョン2.54.2以降ではL515のサポートが削除されています。
これはなかなか手間取りそうですね、、、(´・ω・`)
開発環境
- RealSense L515
- Ubuntu 22.04
最新のSDKのインストール
まずは最新のSDKをダウンロード公式サイトを参照してrealsense-viewerを起動してみます。が、接続されませんでした。「rs-fw-update -l」も同様に「There are no connected devices」と表示されたのでlibrealsense APIも使用できないと思われます。
古いバージョンのSDKのインストール
仕方がないので古いバージョンのSDKをインストールしてみます。公式サイトによると、v2.50.0まで動作確認されているようなのでこちらを使ってみましょう。
既存の librealsense 関連パッケージを削除
まずは先程最新版をインストールしてしまったので削除します。
dpkg -l | grep "realsense" | cut -d " " -f 3 | xargs sudo dpkg --purge
リポジトリのクローン
任意の作業ディレクトリに移動し、リポジトリをクローンします。
git clone https://github.com/IntelRealSense/librealsense.git
特定バージョンのチェックアウト
バージョン2.50にはQS版(おそらく品質向上パッチ)がありますが、ビルドが通らなかったのでバージョン2.50.0を使用します。引用符がスマートクォートになってるというエラーだったので文字コードやコンパイラによっては成功するかもしれません。
cd librealsense
git checkout v2.50.0
ビルドディレクトリの作成とCMakeによる構成
mkdir build && cd build
cmake ..
ビルドとインストール
make -j4
sudo make install
realsense-viewerの起動
realsense-viewer
すると、今度は正しく認識されました
ファームウェアアップデート
realsense-viewerを開きファームウェアをアップデートしようとしたところタイムアウトとなってしまいました。どうやら手動で更新する必要があるようです。公式サイトから最新のファームウェアをダウンロードし、Firmware Update Toolに書かれている手順通りにアップデートします。管理者権限(sudo)がないとアップデートできないようです。
おわりに
RealSense L515は、コンパクトで高精度なLiDARカメラとしてとても魅力的なデバイスでした。特に、精度の高さやコンパクトなサイズ感は、他のRealSenseシリーズとはまた違った面白さがありました。
ただ、残念なことに、もう生産も終わっていて、公式のSDKサポートも事実上終了している状態。そんなわけで、新規プロジェクトや今後の開発には、L515は正直おすすめしづらいです。代わりに、まだまだサポートが続いているRealSenseのステレオカメラ(Dシリーズ)なんかを検討するほうが、後々安心だと思います。