今日の内容
- 所有権ってなんぞや
はじめに
「所有権システム」という言葉に聞き覚えがない方もいるかもしれません。というのも、「所有権システム」は、Rust特有の機能だからです。この「所有権システム」は、もはや、「Rustにおける最大の特徴の一つ」 と言っても過言ではありません。
所有権システムとは?
「所有権システム」とは一体なんでしょうか。
それは、Rustでの「メモリ管理機構」のことです。
メモリには容量の上限があります。効率よく使用するために、必要なメモリ領域を割り当てたり、不要になったメモリ領域を解放したりして、メモリを管理する機能です。
1. 所有権システムの基本概念
Rustでは、すべての値に「所有者」が存在します。所有権システムは、次の三つのルールで構成されます。
- 各値は所有者と呼ばれる変数に所有される
- ある値の所有者は同時に一つしか存在しない
- 所有者がスコープから外れると、値は自動的に解放される
2. C言語との対比
[メモリ管理の方法]
C: メモリ管理は手動。mallocやcallocを使ってメモリを確保し、freeを使ってメモリを解放する。不適切な管理をすると以下の問題が発生する。
- メモリリーク: メモリの解放を忘れて、使われないメモリが溜まり続ける
- ダングリングポインタ: 解放済みのメモリを参照しようとして、未定義動作が発生する
- 二重解放: 同じメモリを2回解放し、メモリ内のデータが消えて予期せぬことやエラーが発生する
Rust: 所有権システムがこれらの問題をコンパイル時に防止する。Rustでは明示的なメモリ管理は不要で、所有者がスコープを抜けた時点でメモリは自動解放される。
[並行性]
C: マルチスレッド環境でメモリを共有すると、データ競合 が発生する可能性がある。手動でロックや同期を行う必要があるが、管理が複雑で大変。バグが発生しやすい。
Rust: 所有権システムに加え、借用 と参照の仕組みでコンパイル時にデータ競合を防ぐ。
- 不変の借用: 同時に複数のスレッドで参照可能
- 可変の借用: 一つのスレッドでしか変更できない
GC(ガーベージコレクション)との違い
GCとは、「ガーベージコレクション」のことで、自動的にメモリ領域を解放する機能です。JavaやPHPなどのさまざまな言語に備わっています。一見、所有権システムに似ていますが、結構異なります。
まず、所有権システムはコンパイル時にメモリを確保します。所有権がどこにあるかを考えることで、どこでメモリが確保され、どこでメモリが解放されるかが明確になります。
一方、GCは自動的にメモリ管理をしてくれますが、どこでメモリを解放するのか明確ではありません。また、動的な処理によりパフォーマンス低下の恐れがあります。
最初はこの仕組みが堅苦しく、難しいものに感じるかもしれません。Rustはエラーを吐き出して、嫌になるかもしれません。しかし、これを理解したときにはきっとRustの素晴らしさを感じているでしょう。
おわりに
今日はプログラミングしていませんが、それに相当するほどの学習をしました。Rustは所有権システム様によって、安全性と効率性を維持できるのですね。次回はクレートについて学び、いくつかの外部クレートを使って、ゲームでも作ってみようかと思います。
ご精読ありがとうございました、