LANケーブル(ネットワークを構成する機器間を繋ぐ通信ケーブル、イーサネットケーブルとも呼ぶ)の性能、配線、使用環境などにより、ネットワーク性能が大きなく変わります。例えば、TIA/ISO規格に適合していないケーブルであれば、ネットワークに支障をきたし、システムのシャットダウンまで引き起こしかねません。TIA/ISO規格の適合性を判断するに当たって、フルーク・ケーブル認証試験を受ける必要があります。フルーク・ケーブル試験に、パッチコード試験、チャネル試験、パーマネント・リンク試験という3つの試験が設けられ、それぞれは異なる状況に対応し、ケーブルあるいはシステムの性能を測定することができます。
フルーク・ケーブルテストとは
ケーブルテストでは、配線システムに使用される配線ケーブルの物理的な伝送特性を測定し、配線が正しいかどうか、あるいは、仕様や規格に定めた伝送性能を満たすかどうかを試験します。試験の結果により、合否判定レポートが出されます。合否判定の結果は、被験対象の規格適合性(長さ、挿入損失、反射減衰量など)を保証し、公的に認められます。
パッチコード試験、チャネル試験、パーマネント・リンク試験について
パッチコード試験とは?
パッチコード試験では、パッチコードの物理的な伝送特性を測定します。合格だと判定されたケーブルに高い性能・耐久性・安定性という特徴が備わり、大規模あるいは高速化するデータセンターで使用されます。下記の図に示すように、銅パッチコードの両端をそれぞれのテスターに接続し、テスト・アダプタの嵌合部分も被験対象の一部と見なされ、パッチコード試験を実行します。また、ネットワーク・リンクの定義の中には、ケーブルの長さが規定されています。
チャネル100mとすると機器コード、パッチコードおよび端末コードの合計長は、10m以下でなければなりません。 合計の長さが10mを超えた場合、チャネル試験で基準面間を測定する必要があります。データセンター内の隣接ラックを繋ぐ銅パッチコードを測定する際に、パッチコード試験を行うわけです。
チャネル試験とは?
下記の図はチャネル試験構成を示しています。チャネル試験の場合、TIAおよびISO/IEC規格に基づいて、RJ45 プラグとテスト機器の嵌合部分を含まない部分のみが被験対象になります。チャネル試験でイーサネットパッチ・コード、バルクケーブル、pre-terminated トランクケーブルを測定することができます。また、チャネル試験における被験対象の最大長(チャネル内の全長)が100mのため、チャネル試験に合格したアイテムが必ずパッチコード試験に通れるわけではありません。
パーマネントリンク試験とは?
パーマネントリンクとは、水平ケーブルの両端の接続部を含む水平配線サブシステムの伝送経路ということです。 例えば、バルクケーブル、pre-terminated トランクケーブルを経由した伝送機器から端末機器までの経路だけでなく、両端の機器の接続部も含む物理長が被験対象になっています。パーマネントリンク試験における測定の基準面間は下記の図に示すように、テスト・アダプタの一部が被験対象外になっています。配線の規定として、チャネルの物理長は100mをこえてはならないことに対して、パーマネントリンクである水平ケーブルの物理長が90mを超えてはなりません。
フルーク・テストレポートの結果表示と見方
ケーブル試験のレポートを参照にすることで、合否の判定を行います。下記の図に示すように、結果が合格である場合、チェックマークが右上に表示されます。それに対して、測定器の確度のバラツキによる合否判定の不確かさ、さもしくは不良を意味するアスタリスク(*)が試験結果に表示されることもあります。 レポートを分析するに当たって、記載される数多くの指標の意味を把握し、それを正しく解読しなければなりません。
- NEXT(Near-End Crosstalk:近端漏話減衰量): NEXTは、影響を与えるペアと影響を受けるペアの信号強度の差の測定値です。撚り密度を高くしないと、通話中に他の回線の通話が漏れて聞こえるという現象が発生し、その現象は近端クロストーク(NEXT)とも呼ばれます。LANの場合では、ワイヤーのある1つのペアに流れる強い信号が、隣接するペアによって拾われるときにNEXTが生じます。
- PS NEXT(Power Sum Near-End Crosstalk): PSはPower Sum(電力和)の略です。ギガビット・イーサネットでは4対のペアを利用するので、すべての対間の組み合わせで発生するNEXTを検証しなければならないのはPS NEXTです。
- ACR-F(Attenuation Crosstalk Ratio Far-End): ACR-FはFEXTと挿入損失の差を意味します。
- PS ACR-F(Power Sum Attenuation Crosstalk Ratio Far-End): 前出のACR-Fを、PSACR-Fとしたもので、PS FEXTと挿入損失の差を意味します。
- ACR-N(Attenuation Crosstalk Ratio Near-End): ACR-NはNEXTと挿入損失の比で表されます。配線の挿入損失が小さいほど本来の信号レベルが大きく、受信側ではNEXTが小さいほど本来の信号を妨害する漏話が少ないと考えられます。
- PS ACR-N(Power Sum Attenuation Crosstalk Ratio Near-End): 前出のACR-NにおけるNEXTをPSNEXTとしたもので、PS NEXTと挿入損失の比を意味します。
- RL(Return Loss、リターン・ロスや反射減衰量とも呼ばれる): インピーダンスの不連続箇所で信号のエネルギーが100%伝送されず、伝送されなかった信号が反射波として送信元に戻るという現象が発生した場合、伝送信号と反射波の差は反射減衰量で表します。
最悪値と最悪マージン
最悪値は規定値等に関係なく実測値において最も悪かった値を意味します。最悪マージンは規格値と実測値が最も接近している状態を表示します。最悪値が大きければ、結果が理想的だとも言えます。下記の図はFS イーサネット・ケーブルのフルーク試験レポートです。
TIA準拠 Cat6パッチコードに対するパッチコード試験
TIA Cat6 トランクケーブルに対するチャネル試験
レポート3:TIA Cat6a トランクケーブルに対するパーマネントリンク試験
まとめ
ネットワーク業界における技術発展・需要拡大に伴い、より優れたファイバケーブルとネットワーク機器が必要とされています。そのニーズに応じて、弊社FS.comはTIA/ISO準拠 100%テスト済みのケーブルを市場に提供しています。その中に、Cat5eパッチコード、Cat6/6aパッチコード、Cat7ケーブル、Cat8ケーブルなどがデータセンターの強化をサポートし、最適化したネットワーク・ソリューションを実現するための基礎として、各国のお客様にご愛用いただいております。フルークSimpliFiber® Pro 光パワー・メーター/光損失測定キット(商品詳細)の使い方は下記の動画をご覧ください。