400G光トランシーバの普及につれて、800Gネットワークの導入・移行が積極的に行われています。米国サンディエゴで開催されたOFC2020(光ファイバ通信国際会議)において、800Gネットワークの普及とその将来性が話題の中心となり、400Gの次代を担うという今後の活躍が期待されています。しかしながら、800Gネットワークの普及への道のりはそう簡単に実現できるわけではありません。技術的にも商品的 にもまだまだです。
800Gネットワークの構築に必要なのは
200Gや400Gと比べ物にならない800Gネットワークを構築するには、より広い帯域幅・高速・高性能を備えたネットワーク関連製品が必要です。例えば、800Gモジュールと光トランシーバが今後ネットワーク業界の主役となるでしょう。それに対して、一定の規格・基準を作成するのは将来に繋がります。
400Gロジックをベースにした800GBASE-Rによるコスト削減
25 Gigabit Ethernet Consortiumとして知られていたEthernet Technology Consortium(ETC)は、新たに800 Gigabit Ethernet仕様を発表しました。800GBASE-Rは、新しいMAC(Media Access Control)とPCS(Physical Coding Sublayer)を取り入れ、既存の400GbEロジック(IEEE 802.3bs)の2セットをベースとし、8つの106Gbps物理レーンにデータを分散できるように再定義されています。
その仕様は既存の物理層仕様との互換性を維持し、400GbEの再利用によるコスト削減を実現することもできます。一見して元の基準に基づいた「改良バージョン」のように見えるのだが、相当な技術力・時間が必要です。
800G Pluggable MSAグループによって定義された800G-SR8と800G-FR4
800Gネットワークの物理層を定義した800GBASE-R以外、800G光トランシーバをめぐる基準の策定も進んでいました。800Gの伝送速度を想定して、定義された800GBASEはPAM4(4値パルス振幅変調)をベースとし、データセンターに向けた仕様です。
800G-SR8:400G SR8の変調速度を倍にしたものです。SMF(シングルモード・ファイバ)使用の場合、60-100mの伝送距離が最適です。 800G-FR4:200G-FRを4つ並べた新基準として、新たなFEC仕様(Forward Error Conrrection、前方誤り訂正)を備えたことで、互換性を簡便にするとともに、光学性能を最大限に引き伸ばすことが可能です。800G光トランシーバの新規格:QSFP-DD800 MSA
新設されたQSFP-D800 MSAグループのメンバーには、Broadcom、Cisco、Intel、Juniper Networksなど複数の業界リーダーが含まれます。プラガブルフォームファクタは理想的な規格として、グループメンバーの合意によって認められました。
新しいQSFP-DD800仕様のモジュールに留まらず、MSAグループはコネクタ、スタックコネクタやケージなども定義します。新しいQSFP-DD800インターフェスは、最新のイーサネットスイッチで広く採用されている8レーン電気インターフェスを持ち、それぞれ100Gbpsで動作するQSFP-DD800の8電気レーンを可能にします。また、QSFP-DD800は400G QSFP-DD、QSFP28、QSFP56、及びQSFP+モジュールとの後方互換性があるため、実用性・将来性に富むソリューションの1つだと考えられます。
800Gネットワークの現状と課題
初歩的な規格は結果ではなく、成果を導き出す基礎です。その規格に基づいて、技術革新が行われ、製品が世に生み出されるようになります。時代の変化に伴う社会的ニーズの多様化に応じて、次世代ネットワークへの変遷の勢いは想像できないだろう。その中で、取り外し可能なファイバーの使用は、高速化したネットワークの性能(密度、効率など)に影響をもたらしかねません。それを解決するために、CPO(Co-Packaged Optics:共同パッケージ型光ファイバ)を使用することがあります。
現状から言えば、構造的・技術的な問題に追われ、取り外し可能な800G光モジュールの実用がまだ早いのです。原因は高性能を維持する同時に、高速かつ低損失を保つことにあります。800G Pluggable MSAグループによると、2021年内に800Gモジュールの試作品に対するテストが行われる予定です。
800G光モジュールの時代はいつ来るのか
多様化したニーズに答え、急増しているユーザー数/トラフィックをめぐる課題を可決するために、高速化・高性能化したネットワークの構築が避けられない道となります。同時に、社会的ニーズの変化は800Gネットワークとその技術の実用化を促しました。8x100G-DR8、4x200G-DR8、QSFP-DD800などの規格化が進められ、800Gの製品化も近い将来に実現できるでしょう。