導入
ネットワーク技術は、現代社会における情報通信の根幹を成す技術です。
インターネット、企業内ネットワーク、家庭内ネットワークなど、さまざまなシーンでネットワークが利用されています。
本記事では、ネットワーク初心者向けに、ネットワークに関連するメディア(通信媒体)について解説します。具体的には、有線メディアと無線メディアの違いや、それぞれの種類と用途について理解を深めます。また、通信ケーブルやコネクタについても触れ、ネットワークの物理的な構成要素を整理します。
メディアについて
ネットワークメディアは、データが転送される物理的な経路や手段のことを指します。メディアは大きく有線と無線に分けられ、それぞれに特徴的な技術があります。
有線メディア
有線メディアでは、物理的なケーブルが使われてデータが伝送されます。
以下に、主要な有線メディアについて説明します。
ツイストペアケーブル
ツイストペアケーブルは、一般的なネットワークの接続に用いられるケーブルです。
2本の銅線が捻じられて作られたケーブルを指します。これによりノイズを減らすことができるのです。
ツイストペアケーブルは主に2種類あります。
UTP(Unshielded Twisted Pair)
シールドなしで、コストが低く、家庭や小規模オフィスでの使用が多いです。
ノイズに対する耐性が比較的低いです。
STP(Shielded Twisted Pair)
シールドが施されており、ノイズ耐性が高いです。
工場や大規模なビル内ネットワークなど、ノイズの多い環境に適しています。
カテゴリー(CAT5, CAT6, etc.)による速度と用途
カテゴリー | 最大伝送速度 | 用途 |
---|---|---|
CAT5 | 100 Mbps | 基本的なネットワーク接続 |
CAT5e | 1 Gbps | 高速ネットワーク接続 |
CAT6 | 10 Gbps(短距離) | 高速および高帯域幅のネットワーク |
CAT6a | 10 Gbps(より長距離) | データセンターや業務用ネットワーク |
CAT7 | 10 Gbps | さらに高い周波数帯での使用 |
CAT8 | 40 Gbps(短距離) | データセンターや非常に高い速度を必要とする環境 |
同軸ケーブル
同軸ケーブルは、ケーブルの中心に導体があり、その周りに絶縁体、編組導体、さらに外装が層を成している構造を持つケーブルです。
この構造により、信号の損失や外部からの干渉が少なく、安定した信号伝送が可能です。以下に、主要な同軸ケーブルの種類とその用途について詳しく説明します。
種類 | 用途 | 詳細 |
---|---|---|
RG-6 | ケーブルテレビ、衛星放送の受信、インターネットの同軸ケーブルモデム接続 | RG-6は、ケーブルテレビや衛星アンテナから受信機器までの信号伝送に適しており、家庭やオフィスでのAV機器やネットワーク接続に広く利用されています。また、インターネットサービスプロバイダ(ISP)によるケーブルモデムの接続にも利用されます。 |
RG-59 | ビデオ伝送、CCTVセキュリティカメラ、短距離のアナログテレビ受信 | RG-59は、特にビデオ信号の短距離伝送に適しており、CCTVシステムやセキュリティカメラなどの設置に多用されます。ビデオ信号を送る際に、長距離では信号損失が大きくなるため、主に短距離での利用が推奨されます。 |
光ファイバーケーブル
光ファイバーケーブルは、光を利用してデータを高速で伝送するケーブルです。
導体としてガラスやプラスチックを用い、光信号を通すコア、これを包むクラッド、さらに外装で構成されています。
光ファイバーケーブルは、データ転送速度、距離、帯域幅の面で優れており、インターネットバックボーン、企業のネットワーク、高速データセンターの接続に広く利用されています。
シングルモード
- 高速・長距離の通信に適している
- 通常、数十キロメートル以上の距離に対応
- コア径が小さく、より高い帯域幅が確保される
マルチモード
- 短距離での高速通信に適している
- 数百メートルまでの距離に対応
- コストが低く、LANなどでの使用が多い
高速通信のメリット
光ファイバーケーブルは、光信号を利用するため、以下のような多くのメリットを提供します。
- 高帯域幅
- 広いデータ転送容量
- 光ファイバーは非常に広い帯域幅を持ち、大量のデータを同時に伝送できます。シングルモードファイバーでは特に、極めて高いデータレートに対応可能です。
- 用途例
- インターネットバックボーンでの使用、大規模なデータセンター、映像配信サービス
- 広いデータ転送容量
- 長距離伝送
- 低損失
- 光ファイバーは電気信号と比べて損失が非常に少なく、長距離でも信号の劣化が起こりにくいです。これにより、リピータや増幅器の必要性が減り、インフラコストが削減できます。
- 用途例
- 都市間通信、海底ケーブルによる国際通信
- 低損失
- 電磁干渉に強い
- ノイズ耐性
- 光ファイバーは光信号を使うため、電磁波による干渉を受けません。これにより、電磁的なノイズが多い環境でも安定した通信が可能です。
- 用途例
- 工場内ネットワーク、電子機器が多いオフィスビル
- ノイズ耐性
- セキュリティ
- 盗聴困難
- 電気信号と違って光ファイバーは外部からの信号抽出が難しいため、高度なセキュリティを必要とする通信に適しています。
- 用途例
- 金融機関、政府機関、医療機関のネットワーク
- 盗聴困難
無線メディア
無線メディアでは、電波を使用してデータが伝送されます。主な無線メディアについて説明します。
Wi-Fi
Wi-Fiは、家庭やオフィスで広く使用されている無線ネットワーク技術です。
IEEE 802.11規格のバージョンと特徴
規格 | 帯域 | 最大速度 |
---|---|---|
802.11a | 5 GHz | 54 Mbps |
802.11b | 2.4 GHz | 11 Mbps |
802.11g | 2.4 GHz | 54 Mbps |
802.11n | 2.4 GHz/5 GHz | 600 Mbps |
802.11ac | 5 GHz | 3.5 Gbps |
802.11ax (Wi-Fi 6) | 2.4 GHz/5 GHz | 9.6 Gbps |
チャネルと周波数帯域
帯域 | チャネル | 特徴 |
---|---|---|
2.4 GHz | 1-14 | 長距離に適しているが、他のデバイスの干渉が多い |
5 GHz | 36-165 | 干渉が少なく、高速な通信が可能だが、障害物に弱い |
Bluetooth
Bluetoothは短距離通信に適した無線技術です。
ヘッドセット、スマートフォン、PC周辺機器などの接続に利用されます。
簡単にデバイス間をペアリング可能です。
バージョンごとの通信距離と速度
バージョン | 通信距離 | 速度 |
---|---|---|
2.0 | 10メートル | 3 Mbps |
3.0 | 10メートル | 24 Mbps |
4.0 | 100メートル(Low Energy対応) | 1 Mbps |
5.0 | 240メートル(Long Range対応) | 2 Mbps |
Zigbee
Zigbeeは、低消費電力で短距離通信を行うための無線技術です。
メッシュネットワークを構築し、信号を中継することが可能です。
IoTデバイスやセンサーでの使用が多いです。
消費電力が低いため、バッテリー駆動に適している。
スマートホーム、環境モニタリング、産業オートメーションなどに利用されます。