1. 目的
Z チャート使って、売上実績を分析してみたいと思います。
Z チャートは、月次合計、年次累計、移動合計を一つのチャート上に表示することで、数値の推移の傾向を分かりやすく表示する目的に用いられます。線グラフの形状が Z の文字に似ていることから、Z チャートと呼ばれています。
何はともあれ、まずはチャートを作成してみましょう。
2. データの準備とビューの作成
架空の売上実績データを用いて分析を行ってみます。以下と同じ手順を試してみたい方は、 こちらからサンプルデータを入手してください。。
入手したデータをデータベースのテーブルに取り込みます。直接データベースに取り込む以外にも、Yellowfin トランスフォーメーションフローを活用することも可能です。
以下の情報を参考にビューを作成します。
列名 | フィールドタイプ |
---|---|
年月 | 日付 (YYYY-MM) |
会計年度 | ディメンション (軸) |
売上 | メトリック (集計値) |
Excel で Z チャートを作成した経験のある方は分かると思いますが、Excel の場合、テーブルに年次累計と移動合計の列をあらかじめ準備しておかなければなりません。そのため、データが更新される度に再計算が必要になることもあります。しかし、Yellowfin の場合、集計値としては月次売上さえ準備しておけば大丈夫です。
3. グラフの作成
準備が整ったら、グラフの作成に手順を進めます。新規でレポートを作成し、以下の手順に従ってグラフを作成します。
3-1. [データ] ステップ
ビューに設定した軸と集計値を全てテーブルに配置します。
フィルターに 「会計年度」 を配置し、演算子に 「の間(~)」 を選択します。
フィルター書式に以下の設定を施します。
3-2. [グラフ] ステップ
[グラフの選択] > [線] から [Z グラフ] を選択します。
横軸に 「年月」、縦軸に 「売上」 をそれぞれ配置します。
[グラフ設定] > [時間の書式] > [数量] から、横軸に表示する単位の数を指定します。今回は、年度単位で分析したいので、数値を 12 とします。
“Yellowfin は、移動合計を計算するために、指定された単位数の 2 倍のデータを必要とします。” との記載があります。移動合計を計算するためには、例えば 2021 年度のデータをチャート上に表示する場合、2020 年度と 2021 年度の 24 か月分のデータが必要となります。今回は、2019 ~ 2021年度の 3 年間の売上実績を年度単位で分析するために、 2018 ~ 2021 年度の 4 年間分のデータを準備しました。
これで出来上がりです。作成前にカップラーメンにお湯を注いでおくと、チャートが出来上がった頃には、ちょうどラーメンが食べごろな程度の所要時間ですかね。いやぁ、簡単に出来上がってしまった。
さて、「公開」 して分析してみましょう。
4. 分析
出来上がった Z チャートを使って、データを分析してみましょう。
2019 年度 「成長期」
フィルター条件として、「会計年度:2018 ~ 2019年度」 を設定します。これで、2019 年度の分析を行うことができます。
2019 年度は、事業立ち上げ年度の翌年度であった事実も起因し、移動合計の数値が右肩上がりに伸びています。一般的に「成長」と呼ばれる形態で、前年度と比較して大きく売り上げを伸ばしている傾向が見受けられます。
2020 年度 「横ばい期」
フィルター条件として、「会計年度:2019 ~ 2020年度」を設定し、2020 年度の分析を行います。一般的に 「横ばい」と呼ばれる形態で、事業が安定期に入ったことが分かります。月次の売り上げが大きく上下に振れているものの、移動合計の線を見てみると、横ばい傾向であることが把握できます。
2021 年度 「衰退期」
フィルター条件として、「会計年度:2020 ~ 2021年度」を設定し、2021 年度の分析を行います。一般的に「衰退」と呼ばれる形態で、移動合計の線が右肩下がりの傾向を示し、事業が衰退期に入ったことが分かります。
5. 最後に
意図的に 「成長」 「横ばい」 「衰退」 の傾向が分かりやすいデータを使って、Z チャートの作成と分析例を紹介いたしました。
実際の販売データを使って、是非 Z チャートを作成してみてください。事業毎にZ チャートを作成すれば、事業ポートフォリオの説明やプレゼンなんかにもとても役立ちますよ。
では、良いデータ分析を! Cheers! Santé !