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顧客側に立った BI 導入の道のり

Last updated at Posted at 2023-12-05

はじめに

メーカー側と顧客側の両立場から IT システム導入に関わった経験のある人間として、顧客側の目線で、BI ツールがどのように導入され、展開されるかを述べたいと思います。
なお、以下に記載することはすべて私の経験則に基づくものであることをご了承ください。

部分最適

BI は部分最適が進みやすい仕組みです。各業務部門が主導して、特定業務や用途毎に、仕組みを導入することがよくあります。特に、「管理会計」、「販売管理」、「生産管理」、「品質管理」、「稼働管理」などの分野で個別に検討がなされることが多く、部門や用途ごとに異なる BI ツールが導入されていることもよく聞かれる話です。
結果、BI が乱立しがちです。

予算

部内予算

各部門で導入を検討する場合、部内決済で賄える金額内で導入したいとする思惑が働きます。
部内決済の上限額は各社バラバラで、100 万円未満のところから、300万円、中には500 万円近くと、各社で大きな差がみられます。もっと高いところもあるかもしれません。なお、外部業者とのやり取りで優位性を保つために、部内決済の上限額は普通公表しません。
決済金額の中には、BI のライセンス料やサブスクリプション費だけでなく、仮想マシンの利用料金、ログ転送などの運用アプリ費用、作業費用なども含まれます。

稟議

部内で賄える予算を超えてしまった場合、多くの企業で、稟議を通す必要が出てきます。導入ベンダーに稟議を通すための情報を提供してもらうなどして、迅速に稟議が通せるようにします。

BI は、基幹システム、セキュリティ対策、コンプライアンス対応などと比較して、優先度が下げられることが一般的です。BI 単独での導入が難しい場合、タイミングにもよるのですが、業務システム導入時に、業務システムの機能の一部として、BI を紛れ込ませてしまうやり方もあります。例えば、生産管理システム導入時に、生産管理データを可視化する機能が必須ということで、BI ツールも導入費用の一部に含めてしまうなどの方法です。BI 単独での導入と比較すると、稟議は格段に通りやすくなるでしょう。

ボリュームライセンス契約の一環で、追加費用を支払うことなく使用できる BI もあります。Power BI がその典型です。この場合、追加費用を支払うことなく使用できるツールがあるのに、敢えて追加費用を支払ってまで導入が必要な理由を説明する必要があります。

全社共通データ分析基盤

全社共通のデータ分析基盤を構築する動きが各社で見られます。乱立した BI 環境を整備する目的以外にも、データをビジネスに活用しようとする動きが盛んであることもその一因です。
特に、Snowflake、AWS Redshift、Azure Synapse Analytics、Google BigQuery などのクラウドサービスに、データを集約しようとする動きが一般的です。全社で共通して使用する基盤の導入ということもあり、情報システム部門が主幹となり、基盤の導入を進める場面が多いように見受けられます (諸説あり)。

上記トレンドが、BI ツール選択にも影響を与えます。著名な IT 調査会社ガートナー社によると、データがクラウド上の データウェアハウスやデータレイクに集約される流れとともに、これらデータを可視化することに BI の役割の比重が移ってくるだろうとの見通しを示しています。結果、インメモリ型 BI は中期的には必要性が継続されるが、長期的にはダイレクトクエリー型 BI に需要が集約されるとの考えも併せて示しています。ダイレクトクエリー型 BI とは、BI 自体にはデータを持たず、外部にクエリーを投げ、その結果を可視化する仕組みのことで、Yellowfin もダイレクトクエリー型に区分されます。

エンドユーザーへの分析の浸透

これまでは、管理部門が作成したダッシュボードを社員が閲覧できるように公開するよう運用が一般的でした。あるいは、CSV でダウンロードしたデータを、エンドユーザーが個々に Excel で加工するような運用もしばしばみられます。
今後は DX 人材育成に伴い、エンドユーザーが自ら必要な分析ダッシュボードを構築し、分析を行うような場面も多く出てくると思われます。
導入の目線も変わってくることが予測されます。知らんけど。

最後に

営業経験皆無の人間が、過去の業務経験から、顧客企業でどのように BI 導入が進むかを論じてみました。
なお、すべて私の経験則に基づくものであり、事実に関しては諸説あることをご了承ください。

では皆様、良いデータ分析を! See you then!

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