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NJM13404を用いたアクティブローパスフィルタと非反転増幅回路の設計

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目次

1. NJM13404の仕様
2. アクティブフィルタとは
3. 非反転増幅回路とは
4. 今回の回路
5. サイレンキー型2次ローパスフィルタの部品選定(メイン)
6. 非反転増幅回路とLCフィルタの部品選定
7. まとめ

1.NJM13404の仕様

NJM13404Dは秋月電子で入手可能な2回路入り単電源オペアンプである。

細かい仕様はデータシートを読んでほしい(ごめんね)。
入力電圧が2V~14Vと広いのが嬉しい。

2.アクティブフィルタとは

 ローパスフィルタ回路としては抵抗とコンデンサを使ったRCローパスフィルタなどが有名である。一方、ICを使ったフィルタ回路もあり、それをアクティブフィルタという。以下の記事に分かりやすくまとめられていたので、気になる方は参考にしていただきたい。

今回はアクティブフィルタの中でもローパスフィルタを、さらに言えばサイレンキー型2次ローパスフィルタというものを設計した。

3.非反転増幅回路とは

 オペアンプを使ったことがある人なら必ず聞いたことがある非反転増幅回路。取り立てて説明するまでもないが、個人的には以下の記事が参考になったので紹介する。

 増幅回路は説明サイトや先駆者が非常に多いためとてもありがたい。

4.今回の回路

image.png

 入力信号として右側音声信号を使用している。すなわち交流信号である。
 この回路では、音声信号をサイレンキー型2次ローパスフィルタに通したあと、非反転増幅回路で増幅している。なお、LPFを通る過程でマイナスの信号はなくなっているため、増幅後の信号は0V~12Vの範囲しかない。 増幅後は雑なLCフィルタで直流っぽくなるように平滑化している。大雑把に言うと雑な半波整流。
 絵にすると以下のよう。

image.png

5.サイレンキー型2次ローパスフィルタの部品選定

 今回のサイレンキー型2次ローパスフィルタの回路図とカットオフ周波数$f_c$は以下のように表すことができる。
image.png

\begin{align*}
f_c &= \frac{1}{{2}{\pi}\sqrt{{(RV_1+R_1)}{R_2}{C_1}{C_2}}} \\
    &= \frac{1}{{2}{\pi}{\sqrt{{(RV_1+100)}×{8.2k}×{47n}×{4.7n}}}}
\end{align*}

今回は0Ω~100kΩの可変抵抗を使い、カットオフできる周波数を手動で変更できるようにした。
可変抵抗$RV_1$を変化させたときのカットオフ周波数$f_c$は$373[Hz]~11,825[Hz]$である。

なぜコンデンサをこの値にしたのか?

 フィルタ回路を設計するとき、考えるべき要素はカットオフ周波数以外にもある。それはQ値である。Q値についての細かい説明は以下のサイトを参考にしてほしい。

 簡単に説明すると、共振の鋭さを評価する指標であり、Q値が低いほど緩やかな周波数特性を示し、反対にQ値が高いほど急峻な周波数特性を示す。
 今回の場合のQ値は以下の式で表される。

\begin{align*}
Q &= \frac{1}{\sqrt{\frac{R_2C_2}{(RV_1+R_1)C_1}}+{\sqrt{\frac{(RV_1+R_1)C_2}{R_2C_1}}}} \\
   &= \frac{1}{\sqrt{\frac{8.2k×4.7n}{(RV_1+100)×47n}}+{\sqrt{\frac{(RV_1+100)×4.7n}{8.2k×47n}}}} 
\end{align*}

 今回はQ値を1付近にすることを条件に部品選定に臨んだ結果、このようなコンデンサの値となった。可変抵抗を0Ω~100kΩで変化させたときのQ値の値域は$0.84~1.58$であり、やや振れ幅が大きいものの許容範囲内とした。
 もし$C_1$と$C_2$の値を入れ替えたとき、カットオフ周波数$f_c$は変わらないものの、Q値は

 \begin{align*}
Q &= \frac{1}{\sqrt{\frac{8.2k×47n}{(RV_1+100)×4.7n}}+{\sqrt{\frac{(RV_1+100)×47n}{8.2k×4.7n}}}} 
\end{align*}

となり、値域は$0.08~0.2$とかなり低くなることが分かる。
このように、フィルタ回路を考える際はカットオフ周波数だけでなくQ値などの他の特性も考慮することが大切である

6.非反転増幅回路とLCフィルタの部品選定

image.png

 非反転増幅回路の増幅率$G_V$および出力電圧$V_{out}$は以下の式で表される。

G_V=1+\frac{R_3}{R_4}
 \begin{align*}
V_{out} &= G_V×V_{in} \\
        &= \bigg(1+\frac{R_3}{R_4} \bigg)V_{in}
\end{align*}

 今回は$R_3=300k{\Omega}$、$R_4=1k{\Omega}$より、約300倍の増幅にしている。
 『音声信号に対して300倍の増幅はやりすぎなんじゃないか…』と思われる方もいるだろう。実際やりすぎである。普通にオペアンプの電源電圧である12V以上の出力になろうとして、チョップされて11.5V近傍の電圧が出力される。だが、これで良いのである。

交流の頭がチョップされて平坦になっていれば、後続のLCフィルタで平滑化しやすい

 LCフィルタの部品選定に深い思い入れはない。
 コンデンサに$1000{\mu}F$という大容量のものを使っているのは、(もちろん平滑化が主目的ではあるが)ブレットボード上で試作したときにこの値が一番自分の望んでいるようなMOSFETのオンオフが出来たからである。
 インダクタに$10{\mu}H$を使っているのも、高周波のカットと微々たる平滑化の他に、MOSFETのゲート入力抵抗の意味合いを持たせている。すなわち、インダクタの直流抵抗(RDC)を逆手にとって活用しているのである。

7.まとめ

 だいぶ圧縮して書いたため、至らないところが多いと思う。もし分からないことや気になること、アドバイス等があればぜひ何でもお寄せいただきたい。

 今回のフィルタの設計を通して、電子工作レベルでもかなり多くのことを考える必要があるのだなと実感し、その奥深さに一層興味を惹かれた。
 もし本記事が電子工作の同志の参考になれば幸いである。

ここまで読んでいただきありがとうございました。m(_ _)m

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