1. メタ分析
Cochrane Handbookが一番、良いらしいが、英語で読みにくい。とりあえず、googleさんに聞いてみた。
1.1. 効果量(effect size)
メタ分析を行う際、各論文に重みづけ、効果量(RD)を算出して統合を行う。効果量にはリスク差、リスク比、オッズ比がある。
TER=CERの時、治療が無効であることを示し、この値をnull valueと言う。以下、文献[1]を参照。
Event | No-event | Total | |
---|---|---|---|
Treatment | A | B | A+B |
Control | C | D | C+D |
Total | A+C | B+D | A+B+C+D |
治療群のイベント発生率(TER; Treatment event rate);
TER;\quad p_{1} = \frac{ A }{ A+B }\
コントロール群のイベント発生率(CER; Control event rate);
CER;\quad p_{2} = \frac{ C }{ C+D }\
リスク差(RD; Risk difference)
RD;\quad TER-CER \quad = \quad p_{1} - p_{2} \quad = \quad \frac{ A }{ A+B } - \frac{ C }{ C+D }\
リスク比(RR; Risk ratio)
RR;\quad \frac{TER}{CER} \quad = \quad \frac{p_{1}}{p_{2}} \quad = \quad \frac{\frac{ A }{ A+B }}{\frac{ C }{ C+D }}\
オッズ比(OR; Odds ratio)
OR;\quad \frac{\frac{TER}{1-TER}}{\frac{CER}{1-CER}} \quad = \quad \frac{\frac{p_{1}}{1-p_{1}}}{\frac{p_{2}}{1-p_{2}}} \quad = \quad \frac{ \frac{A}{B} }{ \frac{C}{D} } \quad = \quad \frac{AD}{BC}\
罹患しやすさを2群で比較した際の統計尺度。オッズ比=1の場合は、両群の罹患しやすさは同じ。以下、オッズ比の計算方法(いちばんやさしい 医療統計を参照)。
がん発症 | がん未発症 | 合計 | |
---|---|---|---|
喫煙あり | A | B | A+B |
喫煙無し | C | D | C+D |
合計 | A+C | B+D | A+B+C+D |
喫煙ありのオッズ;
\frac{p}{1-p} = \frac{ \frac{A}{A+B} }{ \frac{B}{A+B} } = \frac{A}{B}\\
喫煙なしのオッズ;
\frac{p}{1-p} = \frac{ \frac{C}{C+D} }{ \frac{D}{C+D} }= \frac{C}{D} \\
よって、オッズ比;
OR = \frac{ \frac{A}{B} }{ \frac{C}{D} } \\
1.2. 出版バイアス(publication bias)
ファンネルプロット(funnel plot)で表すのが一般的。funnel plotはyに標本数、xにオズ比をとったプロット。左右対称な三角形になっていれば、publication biasはないと判断される。出版バイアスがある場合、funnel plotの右側、x軸の正方向のプロットが増える。
多くの雑誌は有効な効果が見込める研究報告を掲載する。このため、メタ分析やシステマティックレビューを行う際、集めた論文に出版バイアスがかかることがある。
以下の図は内科医のエビデンスに基づく医療情報を参照。
1.3. フォレストプロット
各論文のオズ比をまとめた図。以下のような図(SlideShare: 愛媛大学耳鼻咽頭科 藤原崇志を参照)ができる。
オッズ比だけとは限らない、以下のように計算された値が使われることがある。
図に用いられる■が大きいほど、バイアスをかけている。横棒は95%信頼区間。信頼区間は分散から算出している。サンプルサイズが大きくなるほど、分散は小さくなる。◇はメタ分析の推定値(縦の破線)と横幅は95%信頼区間を示す。実線はnull valueを示し、◇が実線に跨っていなければ、本メタ分析の結果(治療薬は効果があるor効果がない)の信頼性が上がる。
リスク差の分散(VarRD);
VarRD;\quad \frac{p_1(1-p_1)}{A+C} + \frac{p_2(1-p_2)}{B+D}\
リスク差の分散の対数(logVarRD);
logVarRD;\quad \frac{1-p_1}{A+C}p_1 + \frac{1-p_2}{B+D}p_2
オッズ比の分散の対数(logVarOR);
logVarOR;\quad \frac{1}{(A+B)p_1(1-p_1)} + \frac{1}{(C+D)p_2(1-p_2)} \quad = \quad \frac{1}{A} + \frac{1}{B} + \frac{1}{C} + \frac{1}{D}
1.4 異質性 Heterogeneity
同じ研究を行っているのに複数の臨床研究で結果が異なることを異質性と言う。
-
不一致の要因
-
一時研究におけるバイアス Bias, 質が低く思い込みが関与。
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偶然 Chance
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概念的異質性 Conceptual Heterogeneity
-
研究デザインの違い Methodological Heterogeneity
・薬物の投与方法(経口、静脈)
・投与量
・観察期間
・エンドポイント(??) -
患者集団の違い Clinical Heterogeneity
・年齢、性別、人種
・対象疾患の重症度
・合併症 Comorbidity -
統計学的異質性 Statistical Heterogeneity
-
同質 Homogeneous
同様の研究デザインで行うと真値を含み、各研究結果のバラつきが小さくなる。 -
異質 Heterogeneous
異なる研究デザインで行うと、各研究結果のバラつきが大きくなり、結果が広い範囲に分布する。 -
コクランの統計量 Cochrane's Q
統計学的異質性を見分けるには, 以下の式を用いる場合があり、Qが大きければ異質、小さければ同質とする。一般的に_X_2分布を用いたCochrane's Q testで検定を行う。
Q = \sum W(T-\bar{T})^2 \\
\begin{align}
I^2 &= \frac{Q-df}{Q} \\
&= \frac{Q-(k-1)}{Q} \\
\end{align}
W : 各研究結果に付与する重み \\
T : 各研究結果(effect size) \\
\bar{T} : 重みづけ平均値 \\
df : degree of freedom, 自由度? \\
k : 研究数
0. Reference
[1] 野口善令, はじめてのメタアナリシス, NPO法人 健康医療評価研究機構, (2009.11)