#■はじめに
私はエンジニアではありません。
自分でコードを書くこともできなければ
皆さんの為になるような技術的なことを書くこともできません。
それでも、エンジニアの方と一緒に仕事をしているという
この面白い状況を伝えたく筆を執りました。
挿絵もないただの文章ですが
空を眺めて、「雲の速さはどれくらいだろうか」と予想するくらい暇な状況に陥った時
「あ、そういえば」と目を通して頂けると幸いです。
#■出会い
「webサービスを開発・運用していくのにチーム内にエンジニアがいないのはまずい。」
私の所属する部署のリーダーの発言であります。
私はそこで初めて"えんじにあ"という生き物に出会いました。
PCに向き合い、不思議な文字列を連打したり
過去に連打されたであろう文字列を眺めて楽しそうに話をしたりする生き物を、
人は"えんじにあ"と呼ぶらしい。(実際はもっとすごいことをしている)
「何を言っているのか分からん。」
というのが正直なところでありますが
同時に、かすかに、そして確かに、私は高揚したのであります。
過去大好きだったブ〇ッディ・マンデイのような世界が、
ドラマや映画の中だけだと思っていた世界が、
突然自分の目の前に広がったからです。
#■触れ合い
かつてスポーツカーで走り回り、クルマを売る仕事をし、
クルマ中心の星に生息していた私からすれば、別の星にお住まいの方というものは興味の対象でしかありませんでした。
「あ・・・あの、このデータを出して頂きたいのですが・・・」
「うん!分かったよ!」
「(か、会話できたー!)そ、それと、今後自分で出せたりしたら便利だなと思ったのですが、難しいですか・・・?」
恐らくこれがエンジニア星にお住まいの方と交わした最初の言葉でありましょう。
「SQLだね!すぐに覚えられると思うよ!」
「(き、きた!アルファベット3文字!)そ・・・そうですか、ありがとうございます!」
次の瞬間には私のPCにはMySQLがインストールされていました。
何をされたのかも分かりません。
何故かeclipsとSublimeTextという何となくカッコいいものも搭載されていました。
WindowsPCとMBAを並べて机に置いて、対して理解もできていない"こんそーる"とやらを開いて
「お・・・!お、私も"えんじにあ"っぽい・・・!?」って思ったりしてました。
なんて言ったら、本気でその世界で戦っている人にはたいそう煙たがられるのでしょう。
エンジニアはプロの世界です。
#■理解
かくして私はエンジニアの方と供にお仕事をしていくことになったのですが
ここで私は「別の星にお住まいの方」という考え方を改めることとなります。
私にSQLを教えてくれる人、過去のコードについて議論している人、
皆に共通して言えることは「ただただ楽しそうだ」ということでした。
私は飯を犠牲にしてでもクルマの改造にお金をかけるほどスポーツカーを愛してやまない人間ですが
やっぱり車の話をするのは楽しいし、「誰かにスポーツカーの良さを分かってもらいたい」
そんな気持ちを持ち合わせています。
"えんじにあ"の方を見ていると、学生の頃に自分が走り屋のチームのメンバーと話をしている姿を思い出し
「自分の好きな事をやっているだけ、好きなことをやっているから楽しいのだ」という、
そんな当たり前のことに気付くのでありました。
「スポーツカーが大好きだ!走り屋だ」と言っておきながらドリフトやF1で食っていく道を選ばなかった私にとっては
好きなことをそのまま仕事にしてしまったエンジニアの方というものは、崇拝すべき存在であり、
考えてみれば、相手からするとクルマを型式で判別する人間も、別の星の人間に見えていたに違いないのでした。
#■共存
非エンジニアとエンジニアが議論を交わしながらプロジェクトが進んでいく私の部署、
聞いたところによると少ないらしく、私は大変恵まれているそう。
その環境のおかげで今ではSQLなら業務に利用できるくらいになり、エンジニアの方が話している言葉も
多少ではありますが理解できるようになってきました。
ありがたい環境に身を置いているにも関わらず
「生き物」だの「別の星の人間」だのと我ながらたいそう失礼なお話であります。
ITが切り離せないと言われている今の時代だから、私は今後もエンジニアさんと一緒にお仕事をしていくのでしょう。
頼もしく、かっこよく、楽しそう、そして何より自由であるエンジニアさんが私は大好きです。
おしまい