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nem / symbolAdvent Calendar 2022

Day 11

NFTの秘密鍵管理の必要性を考える

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秘密鍵の管理について考える

 暗号資産に知見のある方々は、保有している暗号資産を取引所で管理する、もしくは自身のウォレットで管理していることでしょう。私もその内の一人です。ホットウォレット/コールドウォレットの違いこそあれ、秘密鍵をなくさないように、漏洩しないように自己の責任の元で管理することが正しく、それが常識となっています。

 しかし、秘密鍵の管理には、一定程度のITリテラシーが要求されます。
もし、自身のPC上で保管するのであれば、PCの操作能力をはじめ、ネットワークの制限やアクセス権が制限されたフォルダ等、隔離された場所に保管する必要があります。また、ハードウェアウォレットで管理する場合には、PC上からは秘密鍵を削除した上で、無くさない場所に保管しておく必要があります。ハードウェアウォレットの場合は、特に、故障した場合に備えたバックアップが必要になりますので、バックアップをどこに取得しておくのかということも考慮が必要です。
 上記読んでいただいただけでも、ハッキングリスクだけでなく、ウォレットの秘密鍵を管理するのは、様々な考慮点が必要となり、めんどくさいのです。結局、そのめんどくささから自身が解放されるために、取引所に預けたままにしている人が大半であるというのが現状です。

 直近ではFTXの経営破綻もあるように、取引所に預けておくことそのものが資産を失うリスクに繋がるケースもあります。日本の暗号資産取引所は、金融庁の厳しい要件(コンプライアンス対応を含めた内部統制の状況や法令等)の審査を通過してはじめて、暗号資産交換業の登録が行えます。(法令の参考:暗号資産交換業者に関する内閣府令

海外の暗号資産取引所ではブラックボックスである評価基準ですが日本の場合は、ある程度明確になってきていると言えます。日本では、証券会社と同じく公認会計士が顧客の資産と取引所の資産を分けて管理する分別管理の状況を監査することが義務付けられていますので、取引所のキャンペーンに惑わされず、利用する取引所はしっかりと見極めることが必要です。

秘密鍵の管理は考慮するべきことが多いということを、皆さんはこの機会に再認識していただければと思います。

NFTの一般的な管理とは

 前置きが長くなりましたが、次はNFTにおける秘密鍵の管理の観点で記載していきます。流動性が重要である暗号資産であれば、前節で述べた自身で秘密鍵を管理する、あるいは取引所に預けて管理する方法が一般的でしょう。NFTについても、現状では暗号資産の延長戦上で同じように考えられていると思います。ここで考えてみたいのは、NFTは本当に暗号資産と同じであるのかということです。

 現在のマーケットプレイスで売買をされる流通目的のNFTは、NFTが売買されることによってマケプレ運営側が手数料を得る仕組みになっていることから、NFTが流通してなんぼであるという前提で経済圏が成立している、いわゆるトークンエコノミーが成立しています。
 その営みを持続させ続けるためには、常に誰かが欲しがる価値を付け続けていく必要がありますし、トークンがウォレット間を移動することで、現在の所有者を示すことが前提となっています。そのため、一般的には、ウォレットの秘密鍵管理が当たり前のように必要となっています。

管理する必要のないNFTも存在する?

 一方で、例えばプライベートな家族の写真等をNFTにした場合には、特定の人物にのみに価値はありますが、他の人は誰も欲しがらない可能性があります。そういった、流通させる必要性がないNFTも誕生しています。これまでの投資目的が中心であったNFTから、徐々に利用目的や種類が増え、活用方法がどんどん広がりを見せています。
 流通させる必要性のないNFTは、トークンを売買する必要性もないことから、秘密鍵をそもそも管理しなくてもよいのではないか?と私は考えるようになってきています。どういうことかと言うと、NFTを生成するときに、これは私のものであるという一意の情報を作品データと一緒にチェーン上に書き込んでしまいます。その後、トークンを保有している秘密鍵を破棄してしまえば、誰にもハッキングされることのないNFTを作ることができます。(ブロックチェーンそのものが保有者を証明することができる状態は必要です)これは私のものであるという一意の情報をハードウェア(キーホルダー等でも良い)に記録しておけば、トークンではなく、ハードウェアの売買をすることで所有権を移転することもできます。
 これでは、ブロックチェーン上のトランザクションは発生しませんので、流動性がないという意味で賛否が分かれるところではありますが、小難しいITリテラシーを要求される秘密鍵の管理をする必要がないのがメリットです。誰しもが自身の秘密鍵を正しく管理することができれば、このような案は不要ですが、NFTの管理はどうあるべきかという議論をする上での一つの観点として、このような考え方があっても良いのではないかと思います。

流通させる必要のないNFTにこそオンチェーン化するメリットがある

 誰にも譲渡することのない流通させる必要のないNFTは、個人が持ち続けることになります。ここで重要なのはデータの永続性です。オフチェーンNFTは、IPFS上に存在するデジタルデータのリンクをブロックチェーン上に書き込んでいる構成が一般的です。しかし、これでは、ピン留めしているIPFSの特定のノードに障害が発生すると、データが消えてしまうリスクがあります。(バックアップが取得されていれば、復元することは可能ですが、一時的にデータが参照できない状態は発生します。)現代は24時間365日サービス提供されるのが当たり前の時代になっていますので、データが消える時間帯がある、そして、それが特定のNFT事業者の管理状態に依存するという時点で不満に思う方は一定数いるでしょう。しかし、オンチェーン上にデータが存在していれば、ブロックチェーンを構成するすべてのノードが同時に障害が発生しない限り、データは参照し続けることができます。ブロックチェーンそのものが廃止されない限り、世界に分散しているノードが同時に障害が発生するリスクは極めて低いことから、オンチェーンNFTは、ダウンタイムが発生しないという点に加え、NFT事業者に依存しないという点が最大のメリットです。

さぁトークンエコノミーという呪いから解放されよう

 NFTは新しい経済活動だ、流動性が大事だ、ロイヤリティを作者に支払うところにメリットがあるといったビジネスをする側の主張は果たして正しいのでしょうか?これは、アーティストの気持ちを蔑ろにしていないでしょうか?ただ一つのものであり、その作品を愛してくれる人が持ち続けてくれるものにこそ、作者とホルダーの確かな絆があると考えています。特に、私がお付き合いのあるアーティストは、永続性の話をすると、非常に興味を抱いてくれます。大切にしてくれる人が持っていてくれることが幸せであるという、必ずしも流動性を望まないクリエイターがいることを忘れてはいけません。ブロックチェーンに刻んだクリエイターと所有者の履歴こそが絆であり、オンチェーンにすることでそこに永続性が生まれるという点にロマンがあるのだと感じます。

 トランザクションが発生することがブロックチェーンの価値そのものを向上させることにつながりますが、投資という観点から切り離して考えると、ブロックチェーンの別の価値に気づくことができます。このように考える人もいるのだということを知って頂きたいという思いから、本記事を執筆しました。

Symbolについて

 最後に、NEM/Symbolのアドカレですので、Symbolについて言及すると、Symbolというブロックチェーンを私が推している理由は、本記事で述べたことを具現化するのに最も適したチェーンだと考えているからです。NEM/Symbolコミュニティの様々な人に支えられてNFT-Driveは既成概念を覆すチャレンジをし続けられるのだと感じています。これからもNFT-Driveを通じて、様々な価値を生み出すお手伝いをしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

以上です。

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