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システム開発のプロジェクト管理手法

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はじめに

プロジェクトマネジメントで最も重要な「工数見積もり」と「進捗管理」について、実践的な方法をご紹介します。

よく工数の見積もりが甘かったり、自分の予想した工数を言うと「そんなに時間かかる?」と言われることが多々あり自分の工数の見積り方に問題があると感じたことから、どのような工数の見積り方があるのかまとめてみました!

この記事は、以下のような方に特に役立つ内容となっています:

・新任プロジェクトマネージャー
・見積もりや進捗管理に悩んでいる方
・プロジェクト管理手法を体系的に学びたい方

目次

工数見積もりの手法
プロジェクト管理手法
実践的なポイントとTips
ケース別おすすめの管理手法

1. 工数見積もりの手法

1.1類似タスク比較法

特徴:

・過去の実績がある場合に最も信頼性が高い
・簡単に計算できる
・チーム内で共通認識を持ちやすい

具体例:

【データ移行タスクの例】
前回実績:1000件で2日
今回予定:3000件
基本工数:6日(単純比例)
余裕工数:1日(20%ルール)
最終見積:7日

注意点:

案件の難易度差を考慮する
担当者のスキルレベルを加味する
環境の違いを検討する

1.2 3点見積法

特徴:

・不確実性を考慮できる
・統計的な信頼性が高い
・関係者との合意が得やすい

計算式:

期待工数 = (O + 4M + P) ÷ 6

最も楽観的な時間(O):すべてが順調に進んだ場合
最も可能性の高い時間(M):通常想定される場合
最も悲観的な時間(P):問題が発生した場合

具体例:

【システム改修の例】
O(楽観)= 3日:問題なく進んだ場合
M(通常)= 5日:通常想定される場合
P(悲観)= 10日:問題が発生した場合

期待工数 = (3 + 4×5 + 10) ÷ 6 = 5.5日

2. わかりやすいプロジェクト管理方法

2.1 WBS(Work Breakdown Structure)による管理

特徴:

・タスクの階層構造が明確
・抜け漏れを防ぎやすい
・工数の積み上げがしやすい

作成手順:

・プロジェクト全体を大きなフェーズに分ける
・各フェーズを具体的なタスクに分解
・各タスクに工数を割り当てる
・担当者を決定する

テンプレート例:

プロジェクト全体
├── 1.準備フェーズ(5日)
│   ├── 1.1 要件確認(3日)
│   │   ├── 現状調査
│   │   ├── 要件整理
│   │   └── 要件確定
│   └── 1.2 環境構築(2日)
├── 2.開発フェーズ(12日)
│   ├── 2.1 基本設計(5日)
│   └── 2.2 詳細設計(7日)
└── 3.テストフェーズ(10日)
    ├── 3.1 単体テスト(4日)
    └── 3.2 結合テスト(6日)

2.2 ガントチャートによる進捗管理

特徴:

・スケジュールが視覚的
・進捗状況が分かりやすい
・依存関係が把握しやすい

活用のコツ:

クリティカルパスを明確にする
余裕を持たせた設計にする
定期的に更新する

タスク名  担当  3/18  3/19  3/20  3/21  3/22
要件確認  山田  ====  ====  ====
環境構築  鈴木        ====  ====
基本設計  自分              ====  ====  ====

2.3 マイルストーン管理

特徴:

・重要な節目が明確
・進捗の遅れが分かりやすい
・関係者との共有がしやすい

設定例:

第1マイルストーン:要件確定(3/31)
└── 成果物:要件定義書
第2マイルストーン:基本設計完了(4/15)
└── 成果物:基本設計書
第3マイルストーン:詳細設計完了(4/30)
└── 成果物:詳細設計書

実践的なポイントとTips

1. 工数見積もりの精度を上げるコツ

・必ず20%の余裕を持たせる
・レビュー・修正の時間を含める
・会議・調整時間を考慮する
・複数人での確認を必ず行う
・過去の実績データを蓄積する

2. 効果的な報告・共有の仕組み

日次報告:

今日の実績:
□ 達成したこと
□ 発生した問題
□ 明日の予定

週次報告:

今週の総括:
□ 進捗状況(計画比)
□ 発生している課題
□ 来週の重要タスク

月次報告:

月間レビュー:
□ 全体進捗
□ 主要課題と対策
□ コスト状況
□ 次月の重点項目

プロジェクト別 最適な管理手法の選び方と実践例

1. システム保守・運用プロジェクト

最適な管理手法:
類似タスク比較法 + ガントチャート

なぜこの組み合わせか?
・定期的に発生する作業が多い
・過去の実績データが活用できる
・スケジュール管理が重要

具体例:月次バッチ処理の改修

2. 新規システム開発プロジェクト

最適な管理手法:
WBS + 3点見積法

なぜこの組み合わせか?
・未経験の要素が多い
・作業の階層構造が複雑
・不確実性が高い

具体例:ECサイト開発

3. アジャイル開発プロジェクト

最適な管理手法:
WBS(スプリント単位) + ガントチャート(スプリント内)

※スプリントとは通常1〜4週間程度の区切られた期間で、スプリントごとに特定の目標を設定して設計・開発・テストなどの工程を繰り返すこと。

なぜこの組み合わせか?
・反復的な開発サイクル
・フレキシブルな対応が必要
・短期的な進捗管理が重要

具体例:モバイルアプリ開発

4. インフラ構築プロジェクト

最適な管理手法:
WBS + 類似タスク比較法 + ガントチャート

なぜこの組み合わせか?
・物理的な制約が多い
・並行作業の管理が重要
・部分的に過去実績が活用可能

具体例:サーバー移行プロジェクト

まとめ

1. 工数見積もり手法
【類似タスク比較法】
• 使いどき:過去に似た案件がある場合
• 特長:実績ベースで信頼性が高く、計算が簡単
• 活用例:定期的な保守作業、データ移行など

【3点見積法】
• 使いどき:新規性が高い案件の場合
• 特長:リスクを考慮した現実的な見積もり
• 活用例:新規開発、未経験の技術導入など

2. プロジェクト管理手法
【WBS】
• 使いどき:プロジェクト開始時の計画立案
• 特長:作業の全体像を階層的に整理
• 活用例:全体計画の立案、要員配置の検討

【ガントチャート】
• 使いどき:日々の進捗管理
• 特長:スケジュール可視化と進捗把握が容易
• 活用例:日常的な進捗管理、遅延対策

【マイルストーン】
• 使いどき:重要な成果物の納期管理や進捗確認
• 特長: 重要な節目を明確化し、プロジェクトの進行状況を見える化
• 活用例:特定のフェーズ(段階)の完了判定や品質チェック

所見

WBSやガントチャートはよく目にする資料ですが、個人の工数見積もり方法を明確に資料化しているケースは少ないのではないでしょうか。
(私自身も、上司がどのように工数を見積もり、見積書を作成しているのか疑問に思ったことがあります。)
特に、3点見積法は日常的に活用できる実用的な方法だと感じました。
見積もりに不安を感じている方や、方法を模索している方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

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