本記事はDynatrace Advent Calendar 2022の15日目です。
はじめに
前回の投稿では第一巻としてAPMとは何ぞやというのを簡単にまとめました。
今回は、Dynatraceについて概要をまとめます。
まずは詳細な機能には触れず、どういった会社でどういった製品なのかざっくり理解していきましょう!
Dynatraceってどんな会社
会社の成り立ちを確認するのはやはりWikiさんから。
主な点をまとめますと、
- 2005年設立、アメリカに本社を構える、従業員3,600人(Mar 2022)
- 2019年8月にNYSEに上場(NYSE:DT)
- Gartner社の市場調査(Magic Quadrant for APM)にて12年連続リーダー
- AIを活用したAPMプラットフォームを提供
カタログスペックでは非常に優秀そうです。数年前はこういったスタートアップ(ユニコーン企業)が非常に多かった印象です。今は落ち着いてきましたね。
ツールを検討するにあたって、その会社の製品を信頼して導入できるかどうか確認が必要です。その会社の財務状況からも気づきを得ることができます。
時間と心に余裕があるときに確認してみてください。
Dynatraceの株価情報
閑話休題:Observabilityとは
Dynatraceを理解していくにあたって重要な点を抑えておきましょう。
「Observability(可観測性)」という言葉がありますがこれは何を示していますでしょうか?
定義や解釈は流動的ではありますが、大まかに捉えると監視の先を指してます。
監視については改めて説明するまでもないですが、「対象について何が起きているか見続ける」ことです。しかし、見続けただけでは意味はありません。
「監視をした上で、起きている事象を正確に捉えて正確な対処に繋げる」ことが必要です。これがObservabilityの概念です。
Webアプリケーションを例に考えてみましょう。
Webアプリケーションのログやサービス・サーバーの稼働状況を確認する必要性はシステム開発に携わったことがある人であれば言うまでもありません。
各メトリクスやログを収集し、何かしらのプログラムやツールで閾値等なにか異常が発生していないか確認をする。つまるところ監視の取り組みです。
しかし、この取り組みだけではWebアプリケーションに何か異常が発生した場合に何が原因かまでは分かりません。
そもそも、Webアプリケーションがどのように構成されていてどのような使い方をしているのか、までは監視の枠に入っていない場合がほとんどです。
更に昨今のモダンなWebアプリケーションであればコンテナ技術の活用等により監視が意味を成さないケースもあります。
そのため、メトリクスやログに加えてトレースを加えて異常が発生した場合に事象把握を可能とする必要があります。これぞ正にObservabilityのアプローチです。
親しい意味の指標がありますので合わせて覚えちゃいましょう!調べると色々出てきますがDynatraceないしはAPMソリューションですと以下の2つをまずは覚えておきましょう。
MTTD(Mean Time To Detect) = 平均検出時間(障害が発生してから障害を検出(≒認知)するまで)
MTTR(Mean Time To Repair) = 平均復旧時間(障害を検出してからシステムを修復して回復させるまで)
Dynatraceの製品思想
公式HPのトップに強くメッセージングされています。これをベースに製品思想について捉えていきます。
図示されているように、Platformとして大きく6つのモジュールが提供されています。ベースと成るプラットフォームにAIが含まれているのが大きな特徴です。
AIベースのPlatformにより、アプリケーションからインフラまでフルスタックのObservabilityが可能となっています。
前回の投稿ではDevOpsについて触れました。このDevOpsの概念にDynatraceの製品思想は非常にマッチします。
如何に運用チームの作業を効率化し、DevとOpsを融合させて開発の流れを構築していくのか。DynatraceのPlatform活用によりDevOpsの実現がぐっと近づくでしょう。
Dynatraceの製品概要
製品の特徴としては、SaaSまたはオンプレ(DynatraceではManagedと表現します)で利用することができます。
Platformと謳っているだけあって多くのモジュールを有しています。単純な監視をするだけの製品ではなくなっています。
上記画像にあるように、Platform上に6つのモジュール(紫色)があります。また、Platformの部分には各モジュールに使うコアテクノロジーが描かれています。
各モジュールについて大枠をまとめます。
①Infrastructure Monitoring ・・・インフラのベーシックな監視(物理、仮想、クラウド、コンテナ等)
②Application & Microservices ・・・分散トレーシング、根本原因分析
③Application Security ・・・脆弱性検出、インパクト分析
④Digital Experience ・・・ユーザーセッション/アクションのパフォーマンス分析、ユーザーセッションのリプレイ
⑤Business Analytics ・・・ビジネスインサイト
⑥Cloud Automation ・・・自動修復、DevOpsとの連携
特にメインとなるAPMの部分は②及び④になります。
Dynatrace Platformの大きな特徴は、インストールが非常に簡単な点です。
Dynatrace Platformとライセンスがあれば各モジュールを利用することができます。
また、基本的には各モジュールに対してライセンスが紐づいています。ライセンスやインストールについては別記事にてまとめます。
むすびに
あまり深く製品について触れると書ききれないので今回は腹八分目で留めておきます。
Dynatraceの製品はObservabilityのために進化をし続けていると言っても過言ではないかと思います。
最近のリリースでコアテクノロジーであるGrail™というデータレイクハイスも登場しました。
ぜひ皆さんもObservabilityの世界へ、更にはDynatraceの世界へ踏み込んでいきましょう!