LoginSignup
3
4

More than 5 years have passed since last update.

条件付き期待値(確率)の素朴な定義と測度論的定義の関係(2)

Last updated at Posted at 2018-11-11

前回の続きです.設定やNotationなどはそのまま引き継ぎますので,前回の記事をご覧になっていない方は,まずそちらをご覧くださいませ.

示したいこと

証明したいのは,
$$ \mathbb{E}[X|W] = \int_\mathbb{R} xf_{X|W}(x|w) \,dx $$
という関係式でした.以下この関係式を示します.

証明

条件付き期待値$\mathbb{E}[X|W]$は,その定義により$\sigma[W]$可測なので,あるBorel可測関数$\theta:\mathbb{R}\to\mathbb{R}$があって,
$$ \mathbb{E}[X|W] = \theta(W) $$
と書けています.そこで,この関数$\theta$の具体的な形を以下で求めます.

Step 1

最初に,すべての有界Borel可測関数$g:\mathbb{R}\to\mathbb{R}$に対して,
$$ \mathbb{E}[X g(W)] = \mathbb{E}[\theta(W)g(W)] $$
が成立することを示しましょう.実際,$g$が定義関数のときは,上式は条件付き期待値の定義に他なりません.また,$g$が階段関数のときも期待値の線形性からO.K.なことが分かります.さらに,極限議論をすれば,結局すべての有界なBorel可測関数$g$に対して上の式が成立することが従います.

Step 2

次に,Step 1でわかったことを密度関数の言葉で書いてみます.密度関数の定義から,
$$ \int_{\mathbb{R}^2} dx\,dw\, xg(w)f(x,w) = \int_{\mathbb{R}}dw\, \theta(w) g(w) f_W(w). $$
Fubiniの定理からこの左辺は
$$ \int_\mathbb{R} dw\,g(w) \int_{\mathbb{R}}dx\, xf(x,w) $$
に等しいので,結局,すべての有界可測関数$g$に対して
$$ \int_\mathbb{R} dw\,g(w) \int_{\mathbb{R}}dx\, xf(x,w) = \int_{\mathbb{R}}dw\, g(w)\theta(w) f_W(w)$$
が成立することになります.よって,変分法の基本補題から,Lebesgue測度についてほとんどすべての$w\in\mathbb{R}$に対して
$$ \int_\mathbb{R} dx\,xf(w, w) = \theta(w) f_W(w) . $$
特に,$f_W(w)>0$なる$w\in\mathbb{R}$に対して
$$ \theta(w) = \int_\mathbb{R} x\frac{f(x,w)}{f_W(w)}= \int_\mathbb{R} x f_{X|W}(x|w). $$
これが欲しい式でしたので,証明おしまいです.

3
4
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
3
4