前回の続きです.設定やNotationなどはそのまま引き継ぎますので,前回の記事をご覧になっていない方は,まずそちらをご覧くださいませ.
示したいこと
証明したいのは,
$$ \mathbb{E}[X|W] = \int_\mathbb{R} xf_{X|W}(x|w) ,dx $$
という関係式でした.以下この関係式を示します.
証明
条件付き期待値$\mathbb{E}[X|W]$は,その定義により$\sigma[W]$可測なので,あるBorel可測関数$\theta:\mathbb{R}\to\mathbb{R}$があって,
$$ \mathbb{E}[X|W] = \theta(W) $$
と書けています.そこで,この関数$\theta$の具体的な形を以下で求めます.
Step 1
最初に,すべての有界Borel可測関数$g:\mathbb{R}\to\mathbb{R}$に対して,
$$ \mathbb{E}[X g(W)] = \mathbb{E}[\theta(W)g(W)] $$
が成立することを示しましょう.実際,$g$が定義関数のときは,上式は条件付き期待値の定義に他なりません.また,$g$が階段関数のときも期待値の線形性からO.K.なことが分かります.さらに,極限議論をすれば,結局すべての有界なBorel可測関数$g$に対して上の式が成立することが従います.
Step 2
次に,Step 1でわかったことを密度関数の言葉で書いてみます.密度関数の定義から,
$$ \int_{\mathbb{R}^2} dx,dw, xg(w)f(x,w) = \int_{\mathbb{R}}dw, \theta(w) g(w) f_W(w). $$
Fubiniの定理からこの左辺は
$$ \int_\mathbb{R} dw,g(w) \int_{\mathbb{R}}dx, xf(x,w) $$
に等しいので,結局,すべての有界可測関数$g$に対して
$$ \int_\mathbb{R} dw,g(w) \int_{\mathbb{R}}dx, xf(x,w) = \int_{\mathbb{R}}dw, g(w)\theta(w) f_W(w)$$
が成立することになります.よって,変分法の基本補題から,Lebesgue測度についてほとんどすべての$w\in\mathbb{R}$に対して
$$ \int_\mathbb{R} dx,xf(w, w) = \theta(w) f_W(w) . $$
特に,$f_W(w)>0$なる$w\in\mathbb{R}$に対して
$$ \theta(w) = \int_\mathbb{R} x\frac{f(x,w)}{f_W(w)}= \int_\mathbb{R} x f_{X|W}(x|w). $$
これが欲しい式でしたので,証明おしまいです.