はじめに
最近はAIの芸術への進出が(賛否両論あれど)活発になっている。
音楽を趣味程度に嗜む身として、AI作曲というものを触ってみたくなったので、ひとまず戦ってみることにする。(プロンプトの作成に関しては全くの素人である。)
また、記事の概要は音楽への知識がなくともわかるようにはしているが、完全にこの記事を理解するには多少の音楽理論が必要なことを念頭に置いて読んでいただきたい。
Suno AI 実力テストの概要
といっても、皆様ご存じの通りAIの作品生成速度には到底敵わないので、別のアプローチから対決することにする。
- プロンプトで楽曲の色々な要素の指定を行い、都度生成してもらう
- 生成された楽曲がその要素を含んだ楽曲となっているか聞いてみる
- その要素を含んだ楽曲が生成されなければ自分の勝ち。正しく生成されれば自分の負け
という流れでお手並み拝見といこう。
キーを指定してみる
手始めにキーを指定してみよう。
私は意地が悪いのであえて調号の多いF# Majorを選択し、以下のプロンプトで生成してみた。
Piano solo Piece, F# Major Key, Slow Tempo
ものの数十秒で2つの楽曲が生成された。
1曲目。のっけのコードはBであり、F# MajorのIVじゃないかと期待させてきた。
が、E-F#7-Bのカデンツが出現、この曲のキーはB Majorとなってしまった。
2曲目。メロディ第一音からミ。当然キーはF# Majorではない。
Suno AI君、初戦からまさかの大敗北。
キーの指定はできないようだ。
既存の音楽を食わせるときに楽曲情報としてキーが与えられてないのだろうか...
拍子を指定してみる
これもそれほど難しいものではないはずだ。まだまだ期待しているぞ、Suno AI。
以下のプロンプトで楽曲を出力してもらった。
in triple time, Piano solo piece, Slow Tempo
1曲目。見事に3拍子の曲が生成された。ようやくSuno AI初勝利。
2曲目。なんと堂々の4拍子。どうして。
拍子の指定の仕方が悪いのか?
流石にワルツと言ってしまえば3拍子で作ってくれるだろうと思い、以下のプロンプトでもう2曲生成してもらった。
Waltz, Piano solo piece, Slow Tempo
ワルツ風の伴奏ながらこれも4拍子...うまくいかないものだ。
こちらはきちんとワルツになっている。拍子の指定は1/2くらいの確率でうまくいくようだ。
そもそも「Piano solo Piece(ピアノのみの曲)」って指定したはずなんだけどそれはどうなっちゃったんだ?
ちなみに、下のプロンプトで5拍子の曲を生成しようとして4回失敗した。全部4拍子が出た。
5 beats, Piano solo piece, Slow Tempo
今回は2勝8敗とあまり振るわなかったSuno AI。まだまだAIが音楽を自由に作る未来は遠そうだ。
おわりに
今回は、楽曲のキーや拍子を指定した曲をSuno AIに作ってもらってみた。残念ながら結果は振るわなかった。
やはりAIである以上、知っているのは音楽の「傾向」のみで、「音楽」を学習しているわけではないということがひしひしと伝わる結果だった。
ただ、私のプロンプトが悪いという可能性も十分にある。一昔前はプロンプトを「呪文」として、生成AIが「魔術」と形容される流れがあったくらいだ。駆け出しの魔術師である私には制御が難しいのかもしれない。
次回があるとすれば、生成した曲のコードを徹底解剖してみる、とかだろうか。