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バイブコーディングスケール

Last updated at Posted at 2025-05-16

はじめに

最近、開発者のSNSやコミュニティでは、自分が体験したバイブコーディングについて語ったり、AIと一緒にコードを書くことがどれほど快適で優れているかを紹介したりする開発者が急増している。しかし、実際に内容をよく見てみると、同じ「バイブコーディング」という言葉を使いながらも、その経験レベルは人によってまったく異なっている。簡単なコード補完を面白がる人もいれば、サービス全体をAIとともに設計・運用するレベルに達している人もいる。ここでは、自分なりに考えたバイブコーディングの成熟度の基準を整理してみようと思う。

1段階 – 単純な支援レベル(コード予測)

1段階目は「単純な支援レベル」だ。代表的なものとしてGitHub Copilotなどが該当する。この段階では、次に書く数十行のコードまたはメソッドをAIが提案してくれる程度だ。便利ではあるが、コードの流れや設計は完全に開発者自身の責任となる。実際、これだけでもうまく使えば、熟練した開発者にとっては大きな生産性向上をもたらすことができる。

2段階 – ファイル単位の完成レベル(スクリプトの自動化)

2段階目は「ファイル単位の完成レベル」だ。簡単なスクリプトやユーティリティ的な作業なら、AIがそれなりにまとまった形でコードを書いてくれる。反復作業や単純な自動化スクリプトの開発をAIの支援を受けて迅速にこなせるレベルだ。この段階では開発者はコード全体をチェックし、軽微な修正を加えるだけでよい。

3段階 – モジュールレベルでの統合(モジュラーインテグレーション)

3段階目からは明らかに違いが出てくる。「モジュールレベルでの統合」だ。この段階では、AIが複数のファイルからなる独立した機能やモジュールを設計パターンや原則をある程度考慮して提案するようになる。開発者はAIが作ったモジュールをプロジェクトに統合し、管理すればよい。SOLID原則やクリーンアーキテクチャなど基本的な設計原則がある程度反映されたコードを得られるようになる。

4段階 – プロジェクトレベルの管理(プロジェクトオーケストレーション)

4段階目は「プロジェクトレベルの管理」だ。このレベルでは、コーディングだけでなく設計、リファクタリング、テスト、デプロイの自動化まで、プロジェクト全体の流れをAIが広くサポートするようになる。開発者は要求事項を明確に伝え、AIが生成したコードをレビューし選択・管理する程度まで作業が単純化される。複雑な文脈もある程度AIが理解するため、開発者の役割は徐々に管理や監督側へと移っていく段階だ。

5段階 – ビジネス目標を中心とした自動化(ビジネスゴールドリブンオートメーション)

最後の5段階目は「ビジネス目標を中心とした自動化」だ。この段階までくると、技術的な実装を超えて、サービスのビジネス目標や運用環境までAIが理解するようになる。開発者は技術的な実装よりも、要求事項やビジネス目標の設定に集中することができる。AIは技術的な実装やデプロイだけでなく、パフォーマンスの最適化、障害対応など運用管理のかなりの部分を自動で処理するようになる。開発者はビジネス戦略や重要な意思決定に専念することになる。

結論

段階が上がるにつれて、開発者が管理すべき技術的な要素は減り、ビジネス面での要素が増える。ビジネス領域の問題定義や解決、意思決定もAIの支援によってさらに効率的に行われるようになるだろう。今後数年のうちに、開発者が直接コードを書く場面は大幅に減少し、場合によってはほとんどなくなるかもしれない。現在シニア開発者が担当している業務が、一般化されるのだ。

バイブコーディングはもはや単なるツールではなく、開発手法そのものを変える大きな流れとなった。しかし、全ての人が同じレベルや方法でバイブコーディングを使っているわけではない。この文章が、自分自身の成熟度を把握し、次の段階へ進むための小さな道しるべになればと思う。

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