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近年のプロ野球の投高打低についてBABIPの観点から考える

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近年のプロ野球の投高打低に関して、先日面白い記事を見つけたのでピックアップします。

これによれば、

  • ストレートの平均球速は経年的に増しているが、同じ球速帯のボールでも長打率は経年的に下がっており、球速だけで説明できない
  • 一方で、同じ球速帯でのコンタクト率やフライボール率は上がっている
  • 抗力係数、つまりボールの縫い目の影響などによる空気抵抗の大きさもボールの飛びに影響する
  • 逆方向のフライが本塁打になりにくくなっている
  • MLBのデータでは抗力係数と得点の関連が見られており、適切な値になるよう管理されている

手持ちのデータである程度検証できないものか?

せっかく10年以上のデータを集めたので、まずは各球団の打撃指標、特にwOBAの経年変化を見てみます。
コードは前回の記事を参考に。

セリーグのwOBAの経年変化
datTC<-datT2 %>% 
  filter(リーグ=="セリーグ")
ggplot(data=datTC,mapping=aes(x=as.factor(年度),y=wOBA,group=チーム,colour=チーム))+
  geom_point(size=1.5)+
  geom_line(size=1.2)+
  labs(x="年度",y="wOBA")+
  scale_colour_brewer(palette="Paired")+
  scale_fill_brewer(palette="Paired")+
  theme_bw()

image.png

パリーグのwOBAの経年変化
datTP<-datT2 %>% 
  filter(リーグ=="パリーグ")
ggplot(data=datTP,mapping=aes(x=as.factor(年度),y=wOBA,group=チーム,colour=チーム))+
  geom_point(size=1.5)+geom_line(size=1.2)+labs(x="年度",y="wOBA")+
  scale_colour_brewer(palette="Paired")+scale_fill_brewer(palette="Paired")+theme_bw()

image.png

これをみると、確かにセリーグもパリーグも近年軒並みwOBAが低下しているのがわかります。
2011年は反発係数の低い、「飛ばないボール」が使用されて低下したのがよくわかりますが、近年の低下はじわじわ来ており、2011年とは何か違う理由があるように見えます。

ここでインプレー打率(BABIP)を見てみます。
インプレー打率とは、簡単にいえば本塁打以外の打球が安打になった割合で、打者目線と投手目線の両方で考えることができます。

BABIP = (安打-本塁打) ÷ (打数-三振-本塁打+犠飛)
被BABIP = (被安打-被本塁打) ÷ (対戦打者数-奪三振-被本塁打-与四死球)

打者のBABIPは、足が速く内野安打を量産するタイプやライナーを飛ばすタイプが特に高くなる傾向にあります。

一方で投手のBABIPは、基本的に年度間で安定しないのが常識になっています。
つまり被BABIPは投手の能力で決まっているわけではないということです。

打者に関しても個人レベルであれば一定の傾向はあるかもしれませんが、
チームレベルのBABIPでは平均化されるので、球場の影響がないかぎり一定の傾向はないと考えられます。

今回は対戦打者数のデータがないので打者側で考えてみます。

12球団全体的にBABIPが近年低下傾向にあれば、投手や打者の能力以外に原因があることになります。

BABIP
ggplot(data=datT2,mapping=aes(x=as.factor(年度),y=BABIP,group=チーム,colour=チーム))+
  geom_point(size=1.5)+
  geom_line(size=1.2)+
  labs(x="年度",y="BABIP")+
  scale_colour_brewer(palette="Paired")+
  scale_fill_brewer(palette="Paired")+
  theme_bw()

image.png

やや低下傾向があるように見えますね。
2011年の打撃指標の低下はBABIPにも見られるのは注目すべきかもしれません。
何気に2015年や2017年もガクッと下がっていて気になります。

試しに上の記事のように過去5年分のデータを使って低下傾向があるか回帰分析してみます。

BABIPを回帰分析
datT2_2019_2023 <- datT2 %>%
  filter(年度>="2019") 
library(ggpmisc)
ggplot(data=datT2_2019_2023,mapping=aes(x=年度,y=BABIP))+
  geom_point(size=2,shape=21)+labs(x="年度",y="BABIP")+
  geom_smooth(method = "lm", formula = y ~ x)+
  stat_poly_eq(formula = y ~ x,aes(label = paste(stat(eq.label),
                                                 stat(p.value.label),
                                                 sep = "*\", \"*")),
               label.x = "right",
               label.y = "top",
               parse = TRUE)+
  theme_bw()

image.png

記事のように投手も打者も能力が上がっているとすれば、やはりボールを疑わざるを得ないかもしれません。

とはいえ、ボールのせいと決めつけるのはまだ早いかもしれません。
BABIPが低下している原因として守備力が上がっている可能性もあると考えられます。
守備力といってもフィールディングがうまくなっているのかもしれませんし、守備シフトの影響かもしれません。

フィールディングはさておき、守備シフトは来シーズンから禁止されるみたいなので今後BABIPがどうなっていくか注目ポイントです。

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