はじめに
はじめまして。
工科系の学部4年の学生が引っ越し前に自宅で見つけた9年前のAndroidスマホに、思い付きでDjango開発環境を作ってみた話を
- TermuxとPython環境の構築(本記事)
- Djangonのインストールと動作テスト
の2回に分けてご紹介したいと思います。
注意
- 専門外の学生による実験的な試みです。
- 本記事ではセキュリティ面や実運用を考慮していません。学習目的の環境構築としてご活用ください。
実験環境について
- 古いAndroidスマホ(Xperia XZ)
- Termux(Linux環境をエミュレートするアプリ)
- Python3 & Django
それでは、実際に行った作業内容を紹介していきたいと思います。
Termuxのインストール
Termuxは、Android向けのターミナルエミュレータアプリで、スマホからLinux環境を実行できる(※語弊があるかも...!!)ツールです。
本記事では、このTermuxを利用してDjangoの開発環境を構築します。
Termuxは、GooglePlayストアからではなく、F-DroidまたはGitHubからのインストールが推奨されています。
これは、GooglePlayストア版の更新が停止しており、最新のバージョンが利用できないためです。
今回はF-Droidからのインストールを行っていきたいと思います。
F-Droidのインストール
F-DroidとはAndroid端末で利用できるフリーかつオープンソースのアプリのリポジトリです。GooglePlayストアと似た機能を持ち、アプリの内容を閲覧、インストール、更新などの機能を持ちます。一方で、商業的な広告や追跡機能のないフリーソフトのみを扱っているのが特徴です。
- F-Droid公式サイトにアクセス
- 「F-Droidをダウンロード」をタップし、APKファイルをダウンロード
- Androidの設定で「提供元不明のアプリを許可」を有効にする
※OSのバージョンによって手順が異なります。こちらの記事を参考に有効化してください。 - ダウンロードしたAPKを開き、F-Droidをインストール
注意
- GooglePlayストアにはないアプリを提供するため、信頼できるソースからのみダウンロードすることが重要です。公式サイト (F-Droid公式) 以外からAPKファイルを取得しないようにしましょう。
- F-Droid経由でアプリをインストールした場合、GooglePlayストアの自動更新は適用されません。そのため、手動で更新する必要があります。
Termuxのインストール
- F-Droidアプリを開く
- 検索バーで「Termux」を検索
- 最新バージョンを選択して「インストール」をタップ
- インストール完了後、Termuxを開いてセットアップを開始
Python環境の構築
Termuxをインストールしたら、次にPython環境をセットアップしていきます。
DjangoはPythonで動作するため、まずはPythonの実行環境を整えます。
TermuxでのPythonのインストール
Termuxでは、パッケージ管理システム pkg
を使用して、簡単にPythonをインストールすることができます。
-
パッケージを最新の状態に更新
まず、Termuxを開いて以下のコマンドを実行し、パッケージリストを最新にします。apt update && apt upgrade -y
このコマンドを実行すると、Termux内のすべてのパッケージが最新の状態になります。
特に、古いパッケージのままだとPythonのインストール時にエラーが出る可能性があるため、事前に最新の状態にしておきましょう。 -
Pythonのインストールと確認
次にPythonをインストールします。pkg install python -y
このコマンドにより、最新のPython3がインストールされます。
続いて、インストールが完了したら、Pythonのバージョンを確認します。python --version
出力例:
Python 3.10.6
上記のように
3.x.x
の形でバージョンが表示されたら成功です。 -
pipのインストールと確認
pipはPythonのパッケージ管理ツールで、Djangoやそのほか様々なパッケージのインストールに使用します。
通常TermuxのPythonには最初から含まれていますが、念のため確認しましょう。
①pipのバージョン確認pip --version
出力例:
pip 22.2.2 from /data/data/com.termux/files/usr/lib/python3.10/site-packages/pip (python 3.10)
もし、
pip
コマンドが認識されない場合は、以下を実行してインストールできます。pkg install python-pip -y
また、pipを最新のバージョンにしておくとよいです。
pip install --upgrade pip
-
仮想環境(venv)のインストールと設定
まず、仮想環境を作成するためのvenv
モジュールが利用できるか確認します。
Python 3.3以降では、標準でvenv
が組み込まれていますが、もしvenv
がない場合はpython-venv
パッケージをインストールしてください。pkg install python-venv -y
次に、Pythonのバージョンを確認して、
venv
が利用可能かチェックします。python -m venv --help
エラーが出なければ
venv
は正しくインストールされています。
以上で環境の構築は完了です!
Django開発用の任意のディレクトリを作成し、仮想環境を有効化しましょう。
仮想環境の構築はこちらの記事を参考にしました。
まとめ
本記事では、古いAndroidスマホに、Termux
と Python
の環境を構築しました。
次回は、Djangoのインストールとプロジェクトの作成、動作確認までを行いたいと思います。