ソフトウェア開発の世界では、GitOpsという言葉が一大トレンドとなりつつあり、デプロイの効率化やチーム内コラボレーションの向上を約束しています。しかし、とくにDataikuプロジェクトにおいてGitOpsを実践するとどうなるのでしょうか?
本記事では、DataikuプロジェクトにGitOpsを適用するための実践的なPoC(概念実証)をご紹介します。このPoCはまだ実験的な段階ではありますが、GitOpsの原則をどのようにDataikuに応用できるかを具体的に示すものです。System1社の成功事例に触発されつつも、皆さんご自身で試していただけるよう、参考リソースも共有します。
GitOpsとは?
GitOpsの核となる考え方は、インフラストラクチャーやアプリケーションのデプロイ設定をGitリポジトリーを通じて一元管理し、常に「望ましい状態」をリポジトリーに反映しておくことにあります。Gitのバージョン管理機能を活用することで、誰がいつどのような変更を行ったのかを明確に追跡でき、自動デプロイやロールバックを安全かつ確実に実現します。
System1のGitOps導入事例
Dataikuの顧客であるSystem1社は、自社のDataikuプロジェクトにGitOpsワークフローを導入し、大きな成果を上げています。
「GitHub ActionsとPulumiを活用してCI/CDパイプラインを構築しました。このパイプラインでは、テストの自動化やレビューの強制を行い、検証済みの変更のみがデプロイされるようにしています。その結果、アクセス制御が強化され、問題発生時にはスムーズにロールバックできるようになりました。開発、ステージング、本番への移行すべてがテストとレビューをクリアしたものだけになるため、展開への信頼感が格段に高まり、チーム間のコラボレーションも向上しました。プルリクエストでの差分確認によって可視性が高まり、何がどこで変わったかを追跡しやすくなっています。」
ー アティラ・ナギー氏、System1 シニア DataOps エンジニア
DataikuにおけるGitOpsの仕組み
GitOpsをDataikuプロジェクトに組み込むことで、開発から本番までを一貫したワークフローで管理できます。大まかな流れは以下のとおりです。
- 開発:データサイエンティストはこれまで通りDataiku上で分析やモデル開発を行います
- バージョン管理:プロジェクトへの変更は自動的にGitリポジトリーにコミット・トラッキングされます
- 自動テスト:プルリクエスト作成時にCIがトリガーされ、自動テストが実行されます
- ステージング/本番デプロイ:レビュー承認後、変更が自動的にステージング、さらに本番環境へとデプロイされます
組織にもたらされる主なメリット
DataikuにGitOpsを導入した組織は、以下のようないくつかの主要なメリットを得ています:
- 貫性と信頼性の向上:すべての変更が同じ自動化パイプラインを通るため、ヒューマンエラーを減らし、品質を担保します
- コラボレーションの強化:プルリクエストを介したレビューによって、チーム全体で変更内容を確認し合う文化が根付きます
- 自動ロールバック:デプロイ後に問題が発生した場合、Gitの履歴を使って迅速に前の安定状態に戻せます
- 監査証跡の確保:すべてのコミットとプルリクエストの履歴がGitに残るため、誰がどの変更を行ったかを後から追跡できます
はじめに
GitOpsを始めるにあたり、以下のステップを詳しく解説した技術ガイドを公開しています。
- DataikuとGitの連携設定
- CI/CDの自動テスト構築
- セキュアなデプロイパイプライン実装
- 複数プロジェクトのスケール管理方法
実装をスケールさせたい組織に向けて、System1社は自動化に関するさらなる知見を共有しています:
「プロジェクト数が増えるにつれて、手作業で複数のDataikuプロジェクトを管理するのは困難になりました。そこでPulumiを使ってGitHubリポジトリーとその設定を一括で管理する自動化プロセスを構築しました。自動化された仕組みは、Dataikuのリソース(プロジェクトやプラグイン)を検出し、対応するGitHubリポジトリーを自動生成。必要な設定やシークレットもすべて維持します。さらに、プロジェクトが削除されるとリポジトリーを自動でクリーンアップする機能まで備えています。この仕組みによって、運用コストと設定ミスのリスクが大幅に低減しました。」
ー アティラ・ナギー氏、System1 シニア DataOps エンジニア
まとめ
GitOpsはソフトウェア開発のベストプラクティスをデータサイエンスの世界に持ち込み、Dataiku プロジェクトの管理をより効率的かつ安全にします。コラボレーション強化、信頼性向上、デプロイの自動化を目指す組織にとって、GitOpsは強力なアプローチとなるでしょう。ぜひ本ガイドを参考に、GitOpsの導入を検討してみてください。
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