多くのビジネスアナリストは、自分のキャリアアップについて考えるとき、「データサイエンティストになれるか?」といった疑問を持ちます。もしくは、データ サイエンティストになるべきかどうか?と思うかもしれません。市民データサイエンティストへとスキルアップをすべきか、職業訓練でスキルを身につけてデータサイエンティストになるべきか等、ビジネスアナリストにとってこのようなキャリアの選択が挙げられます。しかし、スキルや知名度を上げ、自分のチームや組織全体に影響を与えるために、このような選択やルートを取る必要はないのです。
ビジネスアナリスト、市民データサイエンティスト、データサイエンティストとは何者なのか?
まず、一歩引いて考えてみると、AIの世界では、ビジネスアナリスト(ビジネス部門に所属している場合は、マーケティングアナリストや財務アナリストなども含まれる)、市民データサイエンティスト、データサイエンティストなどの職務内容には多くのバリエーションがあることに注目する必要があります。つまり、ある企業におけるデータサイエンティストの日々の仕事は、別の企業におけるビジネスアナリストや市民データサイエンティストの仕事と似ている可能性があります。
これらの役割の仕事は、働いている企業やチームの成熟度に大きく依存することがあります。例えば、ある企業がAIの取り組みを開始するために博士号レベルのデータサイエンティストを採用したとします。しかし、すべてのデータが整備されていなかったので、その会社のデータサイエンティストは、機械学習モデルの構築やハイパーパラメータの調整ではなく、どのデータがどこから来ていて、それが実際に何を意味しているのかをビジネスの観点から理解しようとする業務を行い、日々過ごしています。
一方で、企業のマーケティングチームに所属するビジネスアナリストは、データやビジネス上の問題について深い知識を持っていることが多いです。彼らは、データを利用し、適切なツール(例えばDataikuなど)を使い、AutoMLを用いて機械学習モデルを構築し、特定のユースケース(例えば、顧客の解約を予測してターゲットを絞ったマーケティングメッセージを送信する)に取り組みます。彼らの「公式」な肩書きはマーケティングアナリストですが、実際には市民データサイエンスとして活動しており、企業によってはデータサイエンティストに任されている仕事さえ行っています。
つまり、ビジネスアナリスト、市民データサイエンティスト、データサイエンティスト、これらはすべて肩書きに過ぎず、その仕事内容は多岐にわたると言うことです。そのため、データサイエンティストになろう!と考える前に、まず自分自身に問いかけてみてください。自分が本当に楽しんでいる仕事は何なのか?そして、それによってより多くのことが実現可能になるのか?もし答えが「イエス」なら、それを目指してください。
ビジネスアナリストが決して劣っているわけではない
尊敬されるためには、あるいはキャリアアップのためには、データサイエンティストになる必要がある、と言われないようにしましょう。実際、Cassie Kozyrkov氏(GoogleのChief Decision Scientist)は、ビジネスアナリストを「データサイエンスの最も誤解されたヒーロー」と呼び、分析スキルを持つ人がデータサイエンティストより劣っているとして扱うことが、なぜ非生産的であるのかについて書いています。
前のセクションで述べたように、今日、役割と責任の面で多くの重複がありますが、理想的にはそうではなく、ビジネスアナリストは、データサイエンティストと並んで、特定のスキルと洞察力をもつ専門家であるべきなのです。例えば、ビジネスアナリストの役割にはすでに多くのバリエーションがあり、さまざまなトレーニングによって様々なタイプのアナリストが誕生しています。
データウィザード。このタイプのビジネスアナリストは、SQL、SAS、またはその他の言語のコーディング経験があります。必ずしもITの専門家ではありませんが、データベースやインフラの世界について一般的な知識を持っています。データウィザードは、新しい洞察を生み出し、ビジネスチーム全体で使用される高品質のレポートやダッシュボードを作成するエキスパートであり、組織にとってかけがえのない存在です。
統計学者。その名が示すように、統計学に精通したアナリストのことです。線形回帰は一般の人にとって掛け算と同じくらいなじみがあり、t統計、信頼区間、ポアソン分布も知っています。統計家は、深い数学的・統計的能力を必要とする仕事であれば、様々なデータチーム構造に付加価値を与えることができる万能な役割を担っているのです。今後のトレンドは、統計学者の需要がさらに高まることを強く示唆しています。
ビジュアライゼーションの達人は、ダッシュボードや可視化ツールの専門的な使用で評価されます。Excel、Tableau、Qlikviewの達人であり、PowerPointでもダッシュボードや表を作成することができるかもしれません。ビジュアライゼーションの達人は、アナリストの中でも最も注目される存在ですが、まだまだ成長の余地があります。分析、可視化の両分野で、使いこなすべき新しいツールがあると共に、レポートやチャート、グラフに取り入れるべきデータへの新しいアプローチも存在します。
データトランスレーター。多くのデータリーダーは、ビジネスニーズを効果的にデータニーズに変換し、価値ある洞察をビジネスチームに伝えるために、データトランスレーターと言われるメンバーを組織に組み込み始めています。ガートナーは、彼らをビジネストランスレーターと呼び、"彼らは、ビジネスに精通したデータサイエンティストや市民データサイエンティスト、分析的な考えを持つビジネスパーソンやプロセスエンジニア(プロセス設計に焦点を当てたプロセスモデラーやビジネスアナリスト)で、分析的資産からビジネス最適化の可能性に注意を払っている人かもしれません "と述べています。
これらは、ビジネスアナリストの役割の中で、成長と影響をもたらす機会を与えている専門分野のほんの一例に過ぎません。ビジネスアナリストを含むデータ専門家の数が増えているにもかかわらず、企業はデータとAIへの取り組みを加速する際の最大の障壁として、人材とスキルのギャップを挙げているという事実があります。データサイエンティストになることが自分自身にとって正しい選択でなかったとしても、これらの分野の専門スキルを高めることは、自分のキャリアと会社にとって大きな付加価値に繋がるかもしれません。
ビジネスアナリストとデータサイエンティストは、サイロで仕事をしないこと
どのような道を選ぶにせよ、最も重要なことは、組織にはあらゆる人材と専門性が必要であり、データとAIの取り組みを成功させるためには、お互いに協力し合う必要があるということです。
最終的には、専門家であるデータサイエンティストが、他の業務に追われるのではなく、実際に専門とするデータサイエンスを行えるよう、適切なツールとテクノロジーを使えるようにする必要があります。一方、データサイエンティストではない人々を有意義な形でデータプロジェクトに取り込んでもらうには、データツールに対する考え方を根本的に変え、ビジネスアナリストも影響を与えられるように工夫する必要があります。
AIプラットフォームは、データチームにとってメリットを与え、正しい方法で実装すれば、データチームの多くの課題に対して解決策を提供するだけでなく、日常的なAI戦略を構築するための基盤としても機能することができます。Dataikuのようなプラットフォームを活用することで、データプロジェクトのための共同エコシステムを構築ができるようになり、組織は職種関係なく、一人ひとりのスキルを最大限に生かすことが可能となります。
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