世界中で、組織の戦略やロードマップが世界的な出来事の変化によって揺れ動いていますが、その中でAIはどのような役割を果たしているのでしょうか。 企業は、激動の時代に俊敏性を高めるためのソリューションとして、AIへの取り組みに大きく舵を切っている(英語)ことが判りました。これはアジア太平洋地域(APAC)も例外ではありません。
IDCとの提携による2020年版InfoBriefのリリースと2021年版IDC InfoBriefのリリースの間に、AIジャーニーを開始する企業の数は2倍になっていると見ています。さらに、すでにAIジャーニーを開始していた企業については、より高いAI成熟度を示し、実験的な試みを減らし、繰り返しの施策を増やし、より調整の取れた方法を取っているといえます。
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ここでは、2021年IDC InfoBriefのトップハイライトとして、2021年から2022年、おびそれ以降のAPACのAI成熟度のトレンドとベストプラクティスをご紹介します。
ビジョン(またはユースケース)の欠如はない
世界的な健康危機が発生する前、リーダーたちはAIを自分の事業のための戦略的投資と考えていました。その動機は、APACの地域や業界によって異なりますが、全体的には、生産性の向上、アジリティーの改善、顧客満足度の向上などが期待されていました。2021年、未曾有の世界的な経済危機に直面しても、この未来への眼差しと投資への意欲は比較的変わっていません。
明確に言うと、すべての企業がAIに投資しているわけではありません。APACでは、「AIを使わない」組織の数は依然として高いままです(69% vs. 2020年には80%)。しかし、投資している企業にとっては、有益なユースケースには事欠きません。APACでAIに投資している企業の上位のユースケースは、複数のビジネスラインや業界にまたがる広範で水平なプロジェクトから、よりカスタマイズされた垂直方向に特化したユースケースまで多岐にわたっています。
複雑さが増すにつれ、プロセスの必要性も並行して増加
APACの2021年の最も重要なトレンドの一つは、AIシステムの体系的な実行と継続的な改善を保証するプロセスの重要性が高まっていることです。 AIに投資している企業の全体的な成熟度が高まり、2020年にはステージ1や2だった企業の半数が、現在はステージ3や4になっているという状況を考えれば、これは理にかなっていることです。
運用中のモデルが増えるということは、より複雑になるということであり、"AI導入の効果的なコミュニケーション、トラッキング、学習、適応のために、データ、モデル、ビジネスオペレーションを標準化し、監視する"必要性が出てきます。すべてはリスクを軽減することに帰結しますが、その答えの一部は、AIのガバナンス(英語)が健全であることを保証することです。
プロセスの成熟度を高めるのと同時に、AIのための組織構造や運用モデルも変化していきます。集中型のセンター・オブ・エクセレンス(CoE)は、知識やAIのノウハウを組織全体に分散させるハブ・アンド・スポーク型に自然と変わっていきますが、集中型のモデルはまだ人気があります。例えば、2019年にはAIスキルを持つスタッフのうち、CoEなどのグループに常駐しているのはわずか24%に過ぎなかったところが、現在ではAIスキルを持つスタッフの44%がそうなっていいます。
テクノロジーは依然として重要な要素であり、唯一の要素ではない
データ、人、テクノロジー、プロセスの役割は、組織の成熟度によって異なります。AIへの取り組みを始めたばかりの企業や成熟した企業では、人材とプロセスが重要な役割を果たし、データは企業がより最適化された段階に到達するために重要な役割を果たします。例えば、AIに投資しているAPACの企業のデータ準備度の平均スコアは、5点満点中2.6点に過ぎず、改善の余地が大きいことを示しています。
テクノロジーに関していえば、AIに投資している組織の43%が、Dataikuのようなエンタープライズプラットフォームを導入してリソースを統合しています。これに加えて、クラウドはAIテクノロジーの分野において(英語)、より優れたデータモビリティー、相互運用性、スケーラビリティーを提供するという付加価値があります。エンタープライズアナリティクスおよびAIプラットフォームの導入に加えて、エンドツーエンドで機能するテクノロジーを採用し、AIをチームスポーツにする(英語)ことは、APACをはじめとする世界各国の組織にとってのベストプラクティスです。
APACにおけるAI成熟度のトレンドとベストプラクティスについて、より詳細をご覧いただけます。公開されたばかりのIDC InfoBriefの全文をご覧ください。
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原文:Trends & Best Practices for AI Maturity in APAC, July 2, 2021