AIエージェントは、話題先行の存在から、必要不可欠な存在へと進化しつつあります。もはや単なる賢いアシスタントではなく、データに基づいて行動し、意思決定を自動化し、部門横断の業務フローを推進するシステムへと変貌しています。しかし、組織全体でAIエージェントの導入が進むなか、かつての課題が再び浮上しています。それは分断(フラグメンテーション)です。
有望に見えたユースケースも、気づけばバラバラなツール、自作スクリプト、そして管理不能なLLM連携の寄せ集めに変わってしまいます。チームは個別に試行錯誤を繰り返し、IT部門は全体像を把握できなくなり、やがて最初の勢いは技術的負債と運用リスクの影に埋もれてしまいます。
それはイノベーションではなく、エージェントの乱立(Agent Sprawl)。
AIエージェントを全社的にスケールさせるには、単にエージェントを構築するためのツールだけでは不十分です。必要なのは、エージェントをビジネスの仕組みに恒久的に組み込むためのプラットフォームです。それは、自社のデータに基づき、業務フローに組み込まれ、設計段階からガバナンスが施されたものです。
それこそが、Dataiku — The Universal AI Platform™ の真骨頂です。この1年で、私たちはお客様の1,000件を超える生成AIユースケースのスケールを支援し、AIから生成AIへの進化を後押ししてきました。これにより、イノベーションの最前線に立ち続けることが可能になっています。
そして今、私たちは次のステージへと進みます。Dataiku が提供してきた制御、柔軟性、信頼性はそのままに、AIエージェントを組織の中核業務に組み込む支援を開始します。
DataikuによるAIエージェントとは
本日、私たちは The Universal AI Platform™ の次なる進化を発表できることを嬉しく思います。 それは、AIエージェントをスケーラブルに、そして安心して、作成、接続、管理できる機能です。
オープンソースのツールキット、特定アプリに組み込まれた制限付きアシスタント、ベンダー依存のクラウドフレームワークとは異なり、Dataiku によるAIエージェントは、中央集約型のガバナンス、アグノスティック(特定技術に依存しない)なデプロイ、ネイティブなデータ統合、そして初日からの継続的最適化を実現します。
以下が、DataikuのAIエージェントが他と一線を画すポイントです:
- あらゆるユーザーのための一元的な開発環境 – Dataikuの伝統に則り、ビジネスアナリストにはノーコードのキャンバスを、開発者にはPythonやLangChainをフルサポートする環境を提供。どちらの環境も、セキュリティー、データ系統(リネージュ)、監査のエンタープライズレイヤーを共有しており、ガバナンスが初日から確実に機能します。
- マルチモデルのオーケストレーション – OpenAI、Anthropic、Mistral、自社ホストモデルなど、あらゆるソースのモデルでエージェントを稼働可能。コードを書き換えることなくプロバイダーを切り替えられるため、特定のLLMベンダーに縛られることがありません。
- マルチエージェントのオーケストレーション管理 – Agent Connectハブを活用すれば、すべての会話型エージェントをIT部門が単一のコンソールから展開、ルーティング可能。各チームによるエージェント乱立(Agent Sprawl)を防ぎます。
- 組み込みの評価と可観測性 – Dataikuのパイプラインを再利用して、プロンプトのスコアリング、ツールコールの追跡、ドリフトや異常挙動のアラート発出が可能です。
- エンドツーエンドのガバナンス – エージェントも他のモデルと同様に Dataiku上で一元管理され、承認プロセス、レジストリ、リスクスコアリングなどに対応。正式なレビューなしに本番環境へ移行することはありません。
ビジネスのために機能するAIエージェントを構築
Dataiku では、ひとつのプラットフォーム上で、エージェント構築するための2つの柔軟なパスを提供しています。ビジネスユーザーはノーコードのビジュアルインターフェースと自然言語プロンプトを使ってエージェントを作成でき、開発者やデータサイエンティストは LangChain、Python、カスタムAPIを活用して自由度の高い構築が可能です。どちらのアプローチも、自社のビジネスロジック、システム、データに合わせて最適化できます。
どのように構築されたエージェントであっても、すべてのエージェントは共通の接続、制御、モニタリング基盤を共有しています。つまり、重複やサイロ化を防ぎながら、反復開発の高速化とスケーラビリティの向上を実現します。
さらに開発を加速するために、Dataiku ではあらかじめ用意されたカスタマイズ可能な「エージェントツール」も提供しています。これらは、ウェブ検索、データの照会、メール送信など、一般的な処理を行うモジュール型コンポーネントです。これらのツールは拡張も可能で、Salesforce、ServiceNow、Microsoft Copilot などの既存エージェントと連携することにより、Dataiku エージェントを企業全体のエコシステムにおけるオーケストレーターやコラボレーターとして機能させることができます。
エージェントツールは、そのまま使うことも、プロンプトによってカスタマイズすることも、コードで開発することも可能です。一度作成すれば、複数のエージェントやチーム間で再利用できるため、よりスマートかつ迅速な構築を実現しながら、エージェントの挙動に一貫性を持たせることができます。
複数エージェントのオーケストレーションを可能にする
エージェントの導入が進むにつれ、それらを管理・連携させることがますます難しくなっていきます。Agent Connect は、まさにその課題に対する Dataiku の解決策です。
Agent Connect は、Dataiku 上で構築されたすべてのエージェントと対話できる単一の会話インターフェースとして機能します。その裏側では、エージェント間のルーティング、権限管理、連携を担い、ユーザーの役割やコンテキストに応じて、あるエージェントから別のエージェントへタスクを引き継ぐことも可能です。
ユーザーは、どのエージェントが何をするかを知る必要はありません。ただ質問すれば、最適なエージェントが応答する──これにより、分断されたエージェントからインテリジェントなシステムへと進化が実現します。
あらゆるモデルと接続し、タスクに最適なモデルを活用
優れたエージェントの背後には、適切な基盤モデルの存在があります。そして Dataiku は、1つのモデルに縛ることはしません。
DataikuのLLMメッシュを活用すれば、OpenAI、Anthropic、Mistral などの主要プロバイダーと簡単に接続できます。ユースケースに応じてプロンプトをルーティングしたり、アクセスを一元管理したり、エージェントを変更することなく複数のモデルを横断的にテストしたりすることも可能です。
この柔軟性により、急速に進化するLLMエコシステムに対応するのも容易です。新バージョンを導入したいとき、コスト効率の高いモデルに一部のワークフローを移行したいとき、あるいは特定のエージェントを社内限定モデルに制限したいときでも、Dataiku LLMメッシュ が必要な抽象化レイヤーを提供し、俊敏性とコントロールを両立させます。
初日からモニタリング、デバッグ、改善を実現
エージェントをデプロイした後には、その挙動をモニタリングし、パフォーマンスを評価し、改善を重ねる仕組みが必要です。しかも、勘に頼るのではなく、確実に。
そこで登場するのが Trace Explorer です。エージェントのすべての意思決定──プロンプト、ツールの呼び出し、入力と出力など──を完全に可視化し、チームが何が起きたのか、なぜそうなったのかをすぐに理解できるようにします。問題が発生したとき、あるいは何か違和感を覚えたとき、Trace Explorer がその解決の手がかりとなります。
さらに、エージェントの性能を継続的に安定させるために、品質ガードが評価・監視を自動化。ゴールデンデータセット、プロンプトスコアリング、LLMによる評価(LLM-as-a-judge)といった手法を活用します。加えて、コストガードにより使用状況の追跡や予算上限の適用も可能に。これらのツールを組み合わせることで、IT部門やプロダクトチームは、エージェントの運用を責任ある形で実現できます。
後付けではなく、最初から組み込まれたガバナンス
AIエージェントを実験段階から全社導入へと進化させるには、ガバナンスをあとから考えるわけにはいきません。最初から統合されていることが不可欠です。
Dataiku の AIエージェントは、すべてのレイヤーでガバナンスが組み込まれています。生成AIレジストリは、組織内で使用されているすべてのエージェントとLLMを追跡。デプロイ時の承認プロセスにより、適切なレビューなしに本番環境へ進むことはありません。さらに、価値とリスクのモニタリングを通じて、IT部門やコンプライアンス担当者は、モデルやパイプラインと同様に、エージェントの取り組みにも一貫した評価基準を適用できます。
つまり、すべてのチームが自由にイノベーションを進められる一方で、責任と信頼に基づいた枠組みの中で活動できるのです。
うまくいくものをスケールさせ、常にコントロール下に
Dataiku の AIエージェントで構築するのは、単なるエージェントではありません。ビジネスの成長に合わせて拡張できるエージェント基盤です。エージェントの作成からオーケストレーション、最適化、ガバナンスに至るまで、すべてのステップが、エンタープライズの複雑性とコラボレーションに対応した単一のプラットフォームで支えられています。
さらに、エージェントはアナリティクス、データサイエンス、機械学習ワークフローと同じ環境に存在するため、分離されることなく、組織の業務に自然と溶け込みます。
実際にご覧になりませんか?
Dataiku の AIエージェントが、組み込みのオーケストレーション、ガバナンス、制御機能とともに、いかにインパクトをスケールさせるかをご紹介します。
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