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NTTテクノクロスAdvent Calendar 2023

Day 3

そのITカタカナ用語、どこから来たの?

Last updated at Posted at 2023-12-02

はじめに

こんにちは、元教員エンジニアのだはです。
今回はNTTテクノクロスアドベントカレンダーシリーズ1の3日目として、記事を書かせていただいています。
ただ、名だたるプロの方々に並んで技術を語るのも恐れ多い話と思いまして...笑
とりあえず元教員としてエンジニアを半年やってみて、違和感を覚えたことについて、記事を書くことにしました。
経歴として小~高校生に理科と英語を教えていた人間としては、IT業界の言葉の使い方には、正直違和感を感じています。「source」と「evidence」の使い分けとか。「resume」の指す先とか。
当然IT業界で使われてきた文脈というものがあるので(英語だって時代で意味変わるし)、今更どうしようというわけではなくて、今使われている言葉たちってどんな語源から来たのか整理したいなあ、と考えた次第です。

本記事の内容が今現在日本語として正しく使われているかどうかは、ぶっちゃけ文脈と場面によると思うので、臨機応変に解釈していただけると幸いです。

私も定義が曖昧なものがあるので、リクエストやアドバイスがあったら是非コメントしてください。

目次

1.会話編
2.役職編
3.技術編
4.あとがき
5.出典

1.会話編

※検索しながら見ることをオススメします。

日本語 検索した語句 (語源)語源の意味と用法 備考や感想
アジェンダ Agenda (ラテン語)「実行に移されるべき〜」を表す形容詞。 発表や会議の議題目録はアジェンダだが、目を通すだけの資料の目次はアジェンダではない。ちなみに目次は"Table of contents"である。長い。
アライアンス Alliance (英語)「同盟」を表す名詞。 企業同士が業務提携を結んだ状態などに使われる。フォーマルで資本的な目的のある同盟、という解釈。飛行機で「アライアンスメンバー」とよく聞くが、いまいちよくわかっていなかった。
イベント Event (ラテン語)"ex(外へ)+ventus(来た)"から、「出て来たこと、起こったこと」を表す名詞。 ラテン語の方が、ITで使われる「イベント駆動」という意味に近い気がする。一般的な「催し物」からは遠い。
インテグレーション Integration (英語)「統合」や「調整」を表す動名詞。 "SIer"の片割れ。「システム」を「調整」する会社、という理解で良いのだろうか。数学で「積分」を表してもいる。数学や物理専攻にとっては馴染みの深い言葉。
オーバーラップ Overlap (英語)「重ねる」「重複する」という意味の動詞。 ITではウィンドウが重なる動作や、複数の処理を同時に実行している状態を表す。映画の技法にも同じ言葉がある。ちなみに"over-wrap"は包装材を表す。
キックオフ Kick off (英語)「試合開始の動作」を表す動名詞。 なぜプロジェクトの立ち上げ、または案件の作業開始的な意味で使われたのだろうか。「スタート」でもいいのに。ラグビーが流行り出した頃から使われた気がする。
クレジット Credit (ラテン語)「貸し付け」を表す名詞。 英語では「貸し付け」が転じて、「信頼」や「名誉」を表す。クレジットカードは「貸し付けカード」だったのか。ある意味納得。お金を表現してはいなかったのか。
コミット Commitment (英語)「業務の委託」や「約束」を表す名詞。 「結果にコミットする」の場合は「献身的に身を投じる」という意味にも使われる。なかなかブラックに感じる言葉。Git用語はまた別項で。
コンセンサス Consensus (ラテン語)「お互いに同様に感じる」という状態を表す修飾語。 「コンセンサスを得る」という使い方するなら、「合意を得る」で良い気がする。定義に差異は感じないが。。。
システム System (ギリシャ語)「ひとつに統合したもの」を表す名詞。 "SIer"の片割れその2。英語では「組織」や「機構」「体系」など広いものを表しているので、一意に定義するのは難しい気がする。「組織」や「器官」を示す生物学用語でもある。
シングル Single (英語)「たったひとつの」を表す形容詞。似たような意味の名詞にも動詞にも使われる。便利。 英語が便利なので、日本語でも様々な使い方をされている印象。文脈で意味が変わるのは英語も一緒、というところは興味深い。
スコープ Scope (ギリシャ語)「見るもの」を表す名詞。 エンジニア界隈では「仕事として手を出す領域」だったり、「懸念するべき影響範囲」みたいな意味で使われる。惜しい。
スタック Stack (英語)「積み上げる」という意味の動詞になったり、修飾語にもなったりする。後入先出型の電子計算機を直接指すこともある。 収入の種類として「スタック収入」と使う事もある。たまに「フロー収入」とごっちゃになる。ITではメッセージの単位でもある。
スレッド Thread (古期英語)「ねじれたもの」を表す名詞。 現在の英語は繊維が「ねじれたもの」が転じて「糸」を表す名詞や、「針に糸を通す」「縫う」という動詞という意味を表す。ITでは「縫う」が「会話を繋げる」になったのだろうか。
ソリューション Solution (英語)「解決策」または「溶液」や「溶剤」を表す名詞。 私は前職の関係で後者を意識しがちだったが、ITでは「解決策」という使い方が一般的な様子。ある意味「溶かして」いるのかも。
タスク Task (英語)「仕事」や「務め」を表す名詞や、「仕事を課する」「酷使する」を表す動詞。 英語では専ら「(辛くて骨の折れる)仕事」という意味合いらしい。あまり良い意味は無い。"work"は良いのだろうか。
ティア Tier (英語)「層」や「列」を表す名詞。 「n-tier」でn層ある○○、という意味の修飾語となり、「tier-n」でn段目の〇〇、という意味の修飾語にも使える。前後の語句によってはややこしそう。文脈大事。
デフォルト Default (古期フランス語)"de(ザ)+fault(不足)"を表す名詞や動詞。 フランス語で"de"は英語でいう"the"に近く、強調を意味する接頭辞らしい。英語では動詞だと「債務不履行」で、名詞だと「初期状態」が主な使い方。
デベロッパー Developer (英語)「開発者」や「現像薬」を表す名詞。 ちなみに動詞型である"Develop"は、フランス語で「包みを開ける」という語源があるらしい。"de(ザ)+volvere(巻く)"という構成。繋がりがわからん。
トピック Topic (英語)「話題」や「話の種」を表す名詞。 英語っぽい使い方をする場合もあるが、ITではしばしばアプリ同士の連携においてメッセージの単位として認識されたりする。間違ってはいない。
ネイティブ Native (ラテン語)「生まれた状態のままの〜」を表す形容詞。 英語では形容詞にも名詞にも使われるので、結構便利。"local"と意味が似ていて、適当な使い方でも通じる気がする。
バナー Banner (フランス語)「横に長い旗」を表す名詞。 Webサイトでは横長の広告が出ているが、横断幕に似ているからバナー広告とされているのだろう。多分。ちなみに広告は出方や形で名称が異なるので、広告そのものを呼称するのは間違い。
パワーナップ Power nap (英語)「15~30分程度の睡眠をとること」を表す熟語。 「お昼寝」とかでええやん。なぜカタカナで言いたがるのだろうか。確かMacの自動アップデートも同じ言葉だった。
パワーランチ Power lunch (英語)「ランチしながらプレゼンすること」を表す熟語。 シリコンバレーで投資家から資金を得るためのプレゼンをランチ時にしたのが始まりらしい。一方的に話すのがパワーランチで、話し合うのはランチミーティング。
フィーチャー Feature (ラテン語)「作ること」という動作を表したり、「形作られたもの」という物体を表したりする名詞。 英語では「顔の造り」や「ショーの見どころ」を表し、 ITでも「注目するべきもの」や「強調されたもの」 という認識。
フロー Flow (英語)「液体や連続した固体が流れていく様」を表す名詞。 ITだと業務フローや認証フローといった使い方をしている。業務の流れ、ではダメなのだろうか。「流れるように実行してほしい!」という思いでも込めたのだろうか。
ベストエフォート Best effort (英語)直訳すると「"最大限の"+"努力"」 IT界隈では「カタログ上でよく見せるための理論値」的なニュアンスを感じる。これが巡り巡って「ここまではできたらやろう」なんて意味で使われる雰囲気を感じる。
ポートフォリオ Portfolio (イタリア語)「お札を入れるための財布」や「紙を運ぶもの」を表す名詞。 英語では「紙を入れる薄いカバン」から始まり、「有価証券一覧表」を表すこともある。今はこれが発展し、日本ではなぜか「成果物一覧表」。
マルチ Multi (英語)「多くの〇〇」や「種々の〇〇」を表す接頭辞的な使われ方が多い。 日本語ではこれ単体で「並列して処理している状態」や「様々な環境が同時に存在する状態」を表す形容詞的な使われ方が多い印象。
ミーティング Meeting (英語)「会議」「集会」「遭遇」を表す名詞。 「meet(会う)」の動名詞型だが、某会議アプリのおかげで一人歩きしている感じはある。文脈が無いと、オンラインなのかリアルなのかわかりづらい。
リアクション Reaction (英語)「反応」「態度」「反作用」などを表す名詞。 英語に共通して「Re」がつくと繰り返しの意味になるかと思ったら、そんなことなかったランキング第1位。まあ反射は"Reflection"だしなあ。
リスケ Reschedule (英語)「計画を変更する」を意味する動詞。 「schedule(計画する)」に「Re(繰り返し)」の接頭辞がついたパターン。つい「リスケ"する"」って言いがち。日本語だとしゃーない。
リニューアル Renewal (英語)「契約の更新」「動作の再開」などを表す動名詞。 ちなみに「Re+Newal」ではない。「Renew+Al」で「Renew(一新する)」という動詞を「Al(〜すること)」という接尾辞で、名詞型に変化させている。
リモート Remote (ラテン語)「(本来の場所からは)移動された〇〇」を表す形容詞。 英語では「遠い」「人里離れた」を表す形容詞。ITではラテン語に近く、「(本来の場所からは)離れたところで作業、または処理している状態」を表す印象。
レコメンド Recommend (英語)「推薦する」「勧める」という意味の動詞。 「オススメ」とか「勧め」の方が表現が柔らかくて好き。"Commend"という動詞も存在するが、意味は「称賛する」であり、関連性は全くない。ややこしい。
ローカル Local (ラテン語)「〜の場所の〜」という修飾語。 ITではもっぱら、インターネットに接続していない環境を表す。日本語でも「ローカルフード」なんて使い方をするが、英語よりラテン語の意味に近い。
ワンオンワン One on one (英語)「1対1の状況」を表す副詞。 ITでは「1 on 1 meeting」を略して使われがち。恐らくはチームスポーツで1対1の状況から派生しているのではなかろうか。

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2.役職編

日本語 検索した語句 (語源)語源の意味と用法 備考や感想
アーキテクト Architect (英語)「建築家」「設計者」を表す名詞。 建築業界では「デザイナー」という部門もあるので、ややこしい。IT業界では主にシステム設計の担当者を表すことが多い。
アソシエイト Associate (ラテン語)「結びつく」という意味の動詞。 英語では「仲間」「(学会の)準会員」「短大の卒業生」という意味の名詞で使われており、これがAWSの資格の由来なんじゃないかと考える。
エージェント Agent (ラテン語)「率先して〇〇する」という意味の副詞。 英語では「代理人、仲介者、代表者、、、」など多くの意味を持つ名詞。とにかく代わりに何かする人として扱われる。
エグゼクティブ Executive (英語)「実行する〜」という意味の形容詞。または「行政官」や「執行部」を表す名詞。 英語だと意味がブレブレだが、日本のIT企業では役員ポジションとして使われがち。「役員」より堅い意味に感じる。
エヴァンジェリスト Evangelist (英語)「福音書記者」や「伝道者」を表す。「宣教徒」ともいう。 かなり宗教的な意味を持つ言葉。日本で代表的なのはザビエル。一部のパブリッククラウドサービスある意味宗教、ということで良いのだろうか。
エンジニア Engineer (ラテン語)中世のラテンでは「装置の考案者」という意味の名詞で使われていた。 ラテン語で考えると、開発エンジニアって、実は意味が被ってるのかもしれない。腹痛が痛い、的な用法に捉えることもできそう。
オフィサー Officer (英語)「将校」や「役員」「士官」を表す名詞。 英語ではフォーマルな意味を持つ呼称らしい。警官や軍人によく使われる様子。日本では企業の役員だけども。こちらも日本語より堅苦しく感じる。
コンサルタント Consultant (ラテン語)"con(共に)"+sedere(座る)"が転じて「相談する」を表す動詞。の名詞形。 起源を考えると、意外と歴史のある単語。最近この役職が流行している気がする。誰が最初に名乗り出したのだろうか。
ジェネラリスト Generalist (英語)「博学な人」「万能な人」を表す名詞。 いわゆる「何でも屋」的な意味がある。専門家が揃う学会では軽蔑的な意味で使われる事もある様子。海外で名乗ったら恥ずかしいかも。
スタッフ Staff (英語)「職員」「構成員」を表す名詞。 日本でもあまり意味に差異が無い印象を受ける。動詞として「職員を配置する」という意味もあるらしい。ちなみに背の高さほどある長い杖をstaffという。関係性は不明。
セールス Sales (英語)「販売の〇〇」を表す形容詞。または「販売部門の人間」の複数形。 この単語を単体で使う場合、後者の意味しか表しえない。文脈によって微妙に意味が変わる難しい言葉。
チーフ Chief (ラテン語)「頭」を表す名詞。 英語では集団のトップや族長、親分的な意味を表す。形容詞として「(階級が)最高の〜」という意味にも使われる。ちなみに布の「チーフ」は"Hand+Kerchief"からきているので別物。
パートナー Partner (英語)「仲間」「組合員」を表す名詞。 最近は配偶者だったり、人生を送る上での相棒を表す意味でもよく使われる。ITではBP(Business Partner)をよく聞く気がする。
プリセールス Pre Sales (英語)"pre(あらかじめ)"+"sale(販売すること)"がそのまま「先行販売」を意味している。 ITの役職では、意味が少し変わって「売る前に手伝う人」を表す。営業が勝ち取ったコネクションを数字に繋げるポジション。
プリンシパル Principal (ラテン語)「最初の〇〇」という意味の修飾語。 英語では巡り巡って「主要な」となる。primalも近い気がする。直接名詞として、社長や学長を表す事もできる。便利。
プログラマー Programmer (ギリシャ語)"pro(事前に)+gram(書く)"で「通達」や「議題」を表す動詞。の名詞形。 「アプリを公開する前に書く人」と思えば、今もあまり意味が変わっていない気がする。不思議。
プロデューサー Producer (英語)「製作者」「演出家」「生産者」を表す名詞。 個人的には日本語でも「プロデューサー」ってよく使われるけど、意味がよくわかっていなかった。第3次産業における生産責任者、といったところだろうか。
プロパー Proper (ラテン語)「自分自身の〜」という意味の修飾語。 英語では「適切な〜」という形容詞がよくあるらしい。IT業界でいう「自社社員」はラテン語の方が意味が近いかもしれない。「プロパティ」という使い方もある。
プロフェッショナル Professional (英語)「専門的な」という意味の形容詞。 これは日本語でもよく使われるので、あまり意味に差異を感じない。「プロ」なんて略して使うこともよくある。
マネージャー Manager (英語)「支配人」「幹事」を表す名詞。 "management"が先なのか"manager"が先なのかわかっていない。私はmanagementする人、という覚え方をしているが、primalな意味は少し違う様子。
メンバー Member (ラテン語)「(人の)手」や「(人の)足」を意味する名詞。 どうやってIT業界で「人員」を表すことになったのか、察しがついてしまう言葉。ただ日本では、どちらかというとカジュアルな意味合いに感じる。
リーダー Leader (英語)「先導者」「指揮官」を表す名詞。 「引っ張る人」という意味で、様々な場面で使われている様子。機械の主導部とか、馬車の馬とか、も表す。楽器でも使われる。便利。

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3.技術編

日本語 検索した語句 (語源)語源の意味と用法 備考や感想
アウトバウンド Outbound (英語)「外国行きの」という意味の形容詞。 貿易の用語だと思ってたら通信にも使っていたやつその1。たまにどっちがどっちかわからなくなるのは私だけだろうか。
アタッチ Attach (古フランス語)「つなぎ留める」という意味の動詞。 フランス語で"tache(釘)"から意味が広がった様子。英語やITでは「取り付ける」「くっつける」という意味を表す。語源のせいか、工業的な意味合いが多い気がする。
アプリケーション Application (英語)「応用」や「適用」を表す動名詞。 元々はPC内において、OSなどの「基本的な操作システム」に対する"Application Software"「応用情報」という位置付けだったらしい。
インスタンス Instance (ラテン語)"insto(近くにいる)"の名詞形であり、"instantia(近くにいること)"が英語になっている。 「近く」という言葉が存在の距離感を示すことで、英語では「事例」や「事実」を表している。
インターネット Internet (英語)"inter(~の間に)"+"net(網)"が転じて、「パソコンとパソコンを繋ぐネットワークシステム」を表している。 そもそも英語における造語なので、意味の変遷を考えると歴史が浅い。
イントラネット Intranet (英語)"intra(内部の)"+"net(網)"を合わせて「(インターネットと比較して)閉鎖的なネットワークシステム」を表す。 ITの仕事に携わるまで、あまり聞かなかった言葉第1位。最近では死語らしい。
インデックス Index (ラテン語)"in(中に)"+"dico(示す)"が転じて、「指し示すもの」を意味する名詞。 某小説で一躍有名になった単語、という印象が強い。「索引」や「目次」の意味を感じるが、ITでは動詞的な使い方もする。
インバウンド Inbound (英語)「本国行きの」という意味の形容詞。元々は貿易用語。 貿易の用語だと思ってたら通信にも使っていたやつその2。「インバウンド需要」とよくニュースで聞いていれば、ナチュラルに意味が理解できるはず。
ウィンドウ Window (ノルド語)"vindauga(風の目)"が転じて(古期英語)"eagduru(目の扉)"となり、今は「窓」を意味する名詞。 語源がかっこいい。「風が入ってくる場所」を色々な方法で表現している印象を受ける。
ウィルス Virus (ラテン語)「毒液」や「粘液」を表す名詞。 1892年にタバコモザイクウィルスを命名した時、ラテン語から引用したのが始まりらしい。生物学的な歴史が古い言葉。
ウェブ Web (ゲルマン語)"wabjam(織物)"がそのまま(古期英語)"webb(織物)"として使われ、現代英語では「蜘蛛の巣」「水鳥の水掻き」という意味を表す。 「織物」の糸が組み合わさる様子から、「蜘蛛の巣」に派生した模様。ITでは"World Wide Web"を略して"Web"と称することが多い。
エクスプローラー Explorer (ラテン語)"ex(外へ)"+"ploro(叫ぶ)"が転じて「大声をあげる」という狩猟用語。 英語では"explor(探検する)"の名詞形で「探検家」を表している。「狩猟」は廃れて「探検」が流行ったからだろうか。
エディタ Editor (英語)「編集者」「校訂者」を表す名詞。 "Edit"の名詞形と理解できれば頭に入る。直接「編集プログラム」を指してもいる。基本テキストエディタを指すのは、とても興味深い文化である。
エラー Error (英語)「誤り」「過失」を表す動名詞。 「エラーを"吐く"」という言い方がメジャーな気がするけど、どうしてなんだろう、と常々疑問に思っている。つい愛機を擬人化してしまうのだろうか。
エラスティック Elastic (ギリシャ語)"elastos(柔軟な)"が転じて(フランス語)"elastick(気体)"を表す名詞。 英語では科学用語で「弾性のある物質」を表していたものが、ITでも使われるようになった。
オリジン Origin (ラテン語)"oriri(生まれる)"が転じて、(ラテン語)"originem(源泉)"を表す名詞。 英語では"origin(起源)"が更に転じて"original(独自の)"という使われ方もしている。
オンプレミス On premise (英語)直訳すると「建物で」「店内で」という副詞的な使い方をする熟語。 「(プレミスって約束じゃないの?)」と思っていたら、約束は"promise"「プロミス」でした。勘違いしてました。
カーソル Cursor (ラテン語)"cur(走る)"の名詞形で"cursor(走る人)"を表す。 IT用語では、パソコンの画面を忙しなく動きまわる様子から、例の矢印を示すようになったのだろうか。
カーネル Kernel (古期英語)"cyrnel(種子)"が転じて、現代英語では「(果物の)種子」や「核心的な部分」を表す名詞。 某OSでは、「システムの中核的な部分」を示しているらしい。確かに大事。
キー Key (古期英語)「鍵」という意味の名詞。現代英語では「要所」「声の調子」など様々な意味を含む。 日本語でも「鍵」という意味ですんなり入る。あるDBにおいて、情報を参照するための鍵だと思えば、業務でも理解しやすいのではなかろうか。
ギット Git (英語)現代英語において、「嫌なやつ」「く○ったれ」を表すスラング。 Linuxが作者の名前を用いたことから、Gitも作者を表現する単語を呼称に使いたかったそうな。優秀なのに、自虐的な作者である。
クエリ Query (英語)「質問」「疑問」という意味の名詞。 「クエリを叩く」というけれど、何が起源なのだろうか。気になる。キーボードを叩く仕草からだろうか。エンターキーを「ッターン!」と押すイメージが湧いてくる。
クラウド Cloud (古期英語)「塊」という意味の名詞。現代英語では「雲」「大群」なども表す。 "on premiss"に対して"cloud"と呼称する。結局何処かで"on premiss"しているわけだが、"cloud"の方がイメージつきやすい。
クラスター Cluster (古期英語)"kultaz(塊)"が転じて"cluster(房)"とされたのが起源。 現代英語では「1つにまとまった集団」を表す。軍事的な言葉でもある。"er"がついているのに"clust(耳)"はまったく関係ない。
クレデンシャル Credential (英語)「信任状」「証明書」などを表す名詞。 初見ナニソレランキング第2位。綴りすらわからなすぎてググりもできなかった。実際に手を動かすことでなんとなく理解したが、言語としてそういう意味だったのね。
クローム Chrome (ギリシャ語)「色」を表す名詞。 18世紀フランスにて、染色に使われている金属を「chromium(クロム)」と名付けたことから英語にも広まった。ちなみにクロムは銀、紫、緑、黄、に変色する。オシャレなブラウザだ。
クローン Clone (ギリシャ語)"Klon(小枝)"という名詞。 生物学の用語で「遺伝的に同一である個体」という意味が一般的に思える。ITでも「別の場所にあったファイル構成を自分のPCに複製する」という行為が枝分かれを連想させる。
グラフィック Graphic (ラテン語)"graphicus"または(ギリシャ語)"Graphikos"で「書写」や「図」という意味を表す名詞。 昔は「(生き生きと性格に描写された)図」という意味であったらしい。"picture"との差別化に繋がる。
グローバル Global (フランス語)"globe(球体の)"に"al"がついて、形容詞になったのが起源。意味が発展し、「世界的な」という意味も含むようになった。 ちなみに地動説が広まったのは16世紀後半で、"global"が地球を意味するのもその後。
コンフリクト Conflict (ラテン語)「衝突させる」を意味する動詞。 現代英語でもITでも、ほぼ似たような意味で使われている印象。世界的に有名な魔法フィクション小説にも、似たような発音を持つ呪文があった。関係あるのだろうか。
サーバー Server (古期フランス語)「(食事の)従者」を意味する名詞。 かなり歴史が古く、15世紀かそれ以前から使われていた単語。「"serve"する」なんて日本語でもたまに聞くが、「料理を取り分ける」を連想するとITにも繋げやすい。
スタッシュ Stash (英語)犯罪者の隠語で「隠す」を意味する動詞。 Gitのコマンドで、「一時的に変更を退避させる」というコマンド。元々は17世紀後半に犯罪者同士で使われている隠語"stow+cache"だったというのは非常に興味深い。
ステージ Stage (ラテン語)「立つ」を表す動詞。 ラテン語の中で「立つ」→「立つための場所」が転じて、英語では「段階」や「時期」を意味するようになった。Git用語でも後者の英語的な意味合いが強いが、ITで一般的にもたまに聞く。
ソース Source (ラテン語)「立ち上がる」「源を発する」という意味の動詞。 最近は某IT芸能人の影響で有名。「調味料」は"sauce"で、「語源」や「情報の出所」は"source"である。当然だが、IT業界では後者を指すことが多い。
ターミナル Terminal (ラテン語)"terminus(端)+alis(~の)"で"terminalis(末端の)"を表す形容詞が語源。 現代英語では形容詞でも名詞でも使われる。CLIを意味するのは「(OSの中で)一番人間寄りな部分」という解釈だろうか。
ツール Tool (古ノルド語)「(手で握って使う)道具」を表す名詞。 ノルドに限らずゲルマンにも由来と思われる言語が存在しており、起源が幅広い単語である。ギリシャ神話の神にも似たような名前があった気がする。関係性は不明。
ドキュメント Document (中世ラテン語)「公式書類」という意味の名詞。 昔は堅苦しい意味で書類だったらしい。今でもそういう言い回しがあるのが面白い。非ITならファイル形式を指し、IT企業なら説明書的な意味を指すことが多い気がする。
ドリフト Drift (古期英語)「流れる」「押し流す」という意味の動詞。 日本ではとある独特な走行技法に捉えられがちだが、ITでは環境移行の手法として捉えられたりもする。"drive"と同じ語源だが、そちらだけ意味が変わっていったようだ。
テナント Tenant (ラテン語)「保持している」という意味の動詞。 主に不動産用語で「土地や家屋を借りている人」として使われている言葉だが、ITではサービスを利用するユーザーの単位を表している。
ディフ Diff (英語)"Difference(違い)"という名詞の短縮形。"What's the diff?"なんて使い方をする。 Gitでは「ファイルを比較して差分を確認する」というコマンド。正直最初は意味がわからなかったが、語源がわかると納得。
デプロイ Deploy (英語)「(部隊や兵力を)展開する」「配置する」という意味の動詞。 どうやら軍事用語が語源の様子。ぶっちゃけパブリッククラウドサービスを勉強するまで知らなかった単語。
ハンク Hunk (西フラマン語)"hunke(大きな切り取り部分)"を表す数詞。 肉やパンの一塊を表していたのが始まりらしい。Gitでは「ファイル構成全体のうち、自分が操作したグループ」「変更点の塊」を表している。英語でもあまり聞かない印象。
バージョン Version (ラテン語)"vers(回転する)"の名詞形。 ことITにおいては改作や版を表しているように思えるが、英語としては宗教的な意味で聖書の訳を表している様子。ITは自然とキリスト圏の文化が影響しているから面白い。
パーミッション Permission (英語)「許可」「認可」という意味の英語。"permit(許可する)"の名詞形。 こちらもパブリッククラウドサービスで使われがち。カードゲームの戦術用語としても使われている。
バイザー Visor (古期フランス語)「兜の前部分」を表す名詞。 13世紀から兜の前部分、目を覆い隠すパーツを示していた様子。「日除けとして」一般的。ITでは仮想化ソフトの名称だが、「OSに対して付け足して使うソフト」という位置付けだろうか。
バイト Byte (古期英語)「小さな断片」を意味する名詞、または数詞。"bite(噛む)"を語源としているらしい。 ITでは「コンピュータ内における、デジタル情報8bitを一単位としたもの」という意味の数詞。"bit"と同じ語源と思われる。
バリュー Value (古期フランス語)「価値」という意味の名詞。 珍しくフランス語が期限。データベースでは上記の"key"に対して"value"なので、「鍵」と内包する「価値」の関係がとてもわかりやすい。名付けた人センスあると思う。
バッチ Batch (古期英語)「1焼き分の〜」という意味の数詞。 昔はパンを焼く時の一回分を数えるのに使っていたらしい。ITでは「あるファイルに対して一連の処理をまとめて指示し、半自動化したもの」を表している。
パッチ Patch (古期フランス語)「一片」を表す数詞。 英語でもあて布を表していて、ITでもこのイメージが近い。一旦完成された成果物に対して、修正していく作業を表している。"batch"と発音が似ていてややこしい。
ビッグデータ Big Data (英語)直訳すると「大きな 情報」となる名詞。 IT技術の普及に伴って、昔から使われていたIT用語。2010年ごろから頻繁に聞くようになった印象。定量的な定義は曖昧だが「人間が把握しきれない情報」という認識。
ビット Bit (古期英語)「小さな断片」を意味する名詞、または数詞。"bite(噛む)"を語源としているらしい。 ITでは「コンピュータ内における、デジタル情報一単位」という意味の数詞。IBMが最初に提唱したとのこと。
ビルド Build (古典英語)「住む」という意味の動詞。 「住む」→「建物を建てる」と英語の中で意味が変わっていった様子。ITではアプリケーションを組み立てていく様を表している。規模によってはある意味建物。
ピング Ping (英語)「(壁などに当たって)ものが反射する様子」を表す擬音語。 ITでは"Packet InterNet Groper"の略で、通信機器の接続可否を確かめるプログラムの略称である。正しくは"P.I.N.G."と表すべきだろうか。
ファブリック Fabric (ラテン語)「作業場」を表す名詞。 英語では「作業場で作られたもの」が転じて「繊維」や「生地」を表す。ITでは多対多のネットワーク配線方式。光「ファイバー(繊維)」に対する「布」と理解すると納得。
フィックス Fix (ラテン語)「固定された」という意味の修飾語。 しばしばITでは「修正する」という意味で使われがちだが、ラテン語にも英語にもそういう意味はない。不具合があるプログラムを不安定、とする表現へのメタだろうか。
フェッチ Fetch (ゲルマン語)「取ってくる」を表す動詞。 Javascriptの「情報を取得する」というメソッドが有名ではなかろうか。どちらかというとカジュアルで、「全体のうち一部分を気軽に取り出す」といったニュアンス。
フォーク Fork (ラテン語)「首枷」や「絞首台」を表す名詞。 ラテン語で「二又に分かれた棒」を表していたのが英語で「熊手」を指し、意味が広がっていった様子。Gitでも、語源を考えれば「派生」という意味も納得。
フリート Fleet (古代英語)「船」「いかだ」を表す名詞。 更に遡るとノルドやオランダで「浮かぶ、泳ぐ」を起源としているらしい。ITではパブリッククラウドで、「複数のマシンをまとめたグループ」を表す。いかだを連想させる。
ブランチ Branch (古期英語)「(木の幹部分の)枝分かれ」を表す名詞。 12世紀にフランス語から派生。正直「朝食と昼食の間」が語源だと思っていたので、不思議に思っていた。Gitではオリジナルに対して編集の枝分かれを示している。
プレフィックス Prefix (ラテン語)"Pre(前に)"+"Fix(固定する)"という意味の動詞。 英語では特に「接頭辞」を表しており、プログラムの関数として使われることがある。余談だが、反対に「接尾辞」は"Suffix"である。
ベア Bare (古期英語)「裸の」「覆われていない」を意味する形容詞。更に遡るとドイツ語やノルド語が起源。 Gitでは「ワーキングディレクトリを持たないリポジトリ」という定義。同じ起源で「完全な」という意味もあり、そっちに近い。
マウス Mouse (古期英語)「小さなげっ歯類」または「腕の筋肉」を表す名詞。 「腕の筋肉」は"muscle"に派生したのだろう。ITでは言わずもがな、有線マウスがネズミに似ていたことから、ポインティングデバイスを表している。
マークダウン Markdown (英語)"mark(価格をつける)"+"down(下げる)"で「値を下げる」という熟語。 "mark"は「跡」や「目印」という意味もあることから、"mark down"は「メモを取る」という意味もある。"mark up"との関係は不明。
マージ Merge (ラテン語)「浸す」「沈める」という意味を表す動詞。 ラテン語では固体を液体と混ぜる意味で使われがちだが、英語では物質の状態を問わず使われる様子。ITではファイル同士の結合を表す。
ラップトップ Laptop (英語)"Lap(膝)"+"top(~の上)"だが、直接「ノートパソコン」を指す名詞。 直訳すると「膝の上」だが、単語同士が連結して一つの単語になっている。"note PC"は和製英語。海外ではあまり通じなかった印象。
ラボ Lab (ラテン語)「労働の場所」を表す名詞。 英語では"Laboratory(科学実験のために設けられた部屋)"という単語があり、その略語と思われる。あまり「労働」のイメージはない。Git"Lab"も同じような意味で命名されたのだろうか。
リクエスト Request (英語)「懇願する」「頼む」「願う」という意味の動詞。似たような意味の名詞にもなる。 上記に続き、"Re"が接頭語につくタイプだが、あまり関係はなさそう。日本語でもカジュアルな場での要請を表すことが多い。
リソース Resource (ラテン語)"Re(再び)"+"Source(湧き上がる)"で「蘇る」という意味の動詞。 ラテン語が巡って英語では「資源」とされている。IT業界でもシステムを構成する1つ1つのサービスを「リソース」と呼称していることがある。
リバート Revert (ラテン語)"re(~を参照)"+"vertere(回転する)"から、「戻る」「元に戻る」という意味を持つ動詞。 13世紀前後は「意識を取り戻す」という意味もあったらしい。Gitでは処理的には違うが、ある意味元に戻しているのだろうか。
リポジトリ Repository (ラテン語)「食べ物を置く場所」を意味する名詞。 現代英語では「貯蔵庫」や「倉庫」を表す。筆者は「フォルダ」との区別がついていなかったが、それらデータの集合保管場所、ということで納得している。
リリース Release (英語)「釈放する」「解放する」「投下する」という意味の動詞。 英語では意味が広い様子。IT業界に限らず、「非公開だった成果物を世の中に出す」という意味で日本でも使われている印象。
レビュー Review (英語)「批評する」「回想する」という意味の動詞。 IT業界では「自分の成果物を第三者に見てもらい、意見をもらう」という意味で使われている。第三者の手によって"Re(再び)"+"View(見る)"とすると覚えやすいだろうか。
ローンチ Launch (古期フランス語)「投げる」「放り投げる」という意味の動詞。 現代英語では「送り出す」「発射する」「打ち上げる」など、元いた場所から勢いのある状態で場所を離れる様を表している。ラテン語の"lancea"も関係ありそう。

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4.あとがき

今使われているカタカナ用語は、ほとんどが英語、フランス語から来たもののようです。これらは更に遡るとラテンやゲルマン、ギリシャに繋がります。英語だけじゃないのが興味深いところ。
特に面白いのは、パブリッククラウドサービスの用語やソフトウェア内で使われる専門用語の中には、宗教の用語が使われていることですね。この「宗教」という定義の中にはキリストの聖書があっても、仏教の経典はありません。そういう所からも、IT技術のネイティブは英語圏であることを伺い知ることができます。日本からは英語圏の語句の真意を理解することは難しいし、一部できる人間がいたとしても、一般的な使い方として浸透するのは更に難しいでしょう。だからこそ意味がズレて、独り歩きすることが発生しうるのだと考えます。ラテン語から英語になった際、微妙に意味が違うのと似ている気がします。
きっとこの「言葉の使い方」に関しては、これからも眉を顰めながら仕事することは確実ですが(たまに置いて行かれることもありますが)、そういうカルチャーギャップも楽しんでいけたら良いなあ、と思っています。
以上NTTテクノクロスアドベントカレンダーの3日目、だはがお送りしました。
弊社に興味を持っていただけた方は、こちらをご覧ください。
明日は@kamogashiraさんの記事「猫でもわかるDirect Connect」になります。どうぞお楽しみに!Merry Christmas!

5.出典

語源英和辞典
エティモンライン
Weblio
IT用語辞典 e-words

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