この記事の対象読者
- OutSystemsの認定資格を初めて受験する方
- OutSystemsの入門試験に向けた勉強を効率的に進めたい方
- Associate Reactive Developer試験を受験予定で、合格者の学習法を参考にしたい方
はじめに
こんにちは。メディアテックでローコード開発をしているCode-Samuraiです。
今回は、ローコード開発ツール「OutSystems」の入門試験である「OutSystems Associate Reactive Developer」試験の学習方法についてご紹介したいと思います。
この試験。入門試験とは言われているものの、公開されている練習問題が少ないという特徴があります。
ベンダー系試験ではよくあることですが、こういった資格試験の受験が初めての方にとっては、この点が本試験の一番のハードルになるだろうと思いますので、私なりの学習の仕方も共有したいと思います。
Associate Reactive Developer試験について
公式ページで以下のように説明されている通り、リアクティブWeb開発者、モバイルアプリケーション開発者の入門試験の位置づけとなります。
Associate Reactive Developer試験では、OutSystemsのリアクティブWeb/モバイルアプリケーション開発の基礎を中心に扱います。OutSystemsの初心者で、シンプルなリアクティブWeb/モバイルアプリケーションを開発できる開発者が対象です。これは、認定開発者としてOutSystemsをマスターするための最初のステップの1つです。
OutSystemsで現在利用されている製品には、上記ページ表記でO11(OutSystems11)とODC(OutSystems Developer Cloud)の2つがありますが、本試験は前者のO11を対象としています。
ODCの入門試験は「Associate Developer (ODC)」試験になります。
上記の公式ページからダウンロードできるzipファイル(「Associate Reactive Developer認定試験 Detail Sheet」。以下、「Detail Sheet」)に試験の詳細情報が記載されています。
主要な項目は以下の通りです。
- 出題形式:選択問題
- 出題数:50問
- 合格点:70%(35問正解)
- 試験時間:最大2時間 ※途中退席可
本記事の内容は2025年3月時点でダウンロードできる「Detail Sheet」を参考にしたものです。最新の情報は、公式ページで必ずご確認ください。
受験の難易度と注意事項
本試験の難易度はそれほど高くないと言えます。
入門試験である本試験は、基本的な知識を問われます。
全問が選択問題となっており、記述式問題も出題されません。
とは言うものの、以下2つの注意点については受験前から意識しておく必要があります。
1. リモート受験では英会話が必須
この試験には2つの受験方法があります。
- テストセンター受験(東京、大阪のみ) ※2025年2月時点
- リモート受験
リモート受験を選択した場合、海外の試験監督員との英語での会話が必須です。
会話の内容は基本的には毎回一緒で、決まった質問に答えていく形式です。
何度か受験していれば「こんなものか」と思える程度の会話ですが、最初は面食らいます。
会話の中では、だいたい以下のような確認をされます。
- 身分証明書の確認(どういった証明書か、有効期限はいつか)
- 予約情報の確認(メールアドレス、受験する試験の名称 等)
- 不正がないかの確認(手の平、袖口、ポケットの中、耳の裏、部屋を見せる 等)
また、受験する部屋の状態についても細かなルールがあります。
- 必要なもの以外を部屋の中に置かない
- すべてのドアを閉じ、外部からの音を遮断する
- すべての窓を閉じ、カーテンなどで覆う
- テレビなどの電化製品は電源を切るか、画面を布で覆う 等
ルールに反していると「英語で」指摘を受けることになりますので、事前にしっかりと確認が必要です。
これらの質問事項やルールは「Detail Sheet」と同じzipファイルに格納されていますので、受験前の余裕のある時期に確認しておくようにしましょう。
東京・大阪以外に在住の方は、上位試験でも必ず通らねばならない道です。
東京、大阪にお住いの方は、ぜひともテストセンターで受験することをおすすめします。
2. 練習問題が少ない
この試験は公開されているサンプル問題が20問しかありません。
IPAの情報処理技術者試験などに比べると、非常に少ないと言えます。
学習範囲は以下の通りで、決して少なくないボリューム感です。1
- トレーニングコース:「Web開発者への道」(約11時間)
- オンラインドキュメント:
- データ管理(40ページ以上)
- ユーザーインターフェイス(150ページ以上)
- アプリケーションロジック(10ページ以上)
- ロジック(40ページ以上)
全ての学習範囲を20問では網羅できません。
学習すべき項目は多く、出題範囲も多岐に渡ります。戦略的な学習が必要です。
練習問題が少ない試験の学習戦略
私がこのような試験を初めて受験した時。どのように進めたらよいか迷いました。
情報処理技術者試験はひたすら過去問を解いて乗り切っていましたので、過去問がない場合にどう学習すればよいか分かりませんでした。
闇雲に「まとめノート」などを作りましたが、時間をかけた割には知識が定着せず、多くの時間を無駄にしました。
未だに試行錯誤を繰り返していますが、失敗を経て、多少は戦略的に学習ができるようになってきました。
私なりの学習戦略を3つ紹介します。
1. 配点の高い分野を中心に学習する
闇雲に学習に手をつけず、まずは配点の高い分野を確認します。
本試験の配点率は「Detail Sheet」の「試験で扱うトピック」に掲載されています。
オンラインリソースを参照する際も、Service Studioなどを開いて検証してみるのも、配点が高い分野に力を入れます。
メリハリをつけて学習を進めることができ、知識がより定着します。
2. サンプル問題を上手に使う
サンプル問題を上手に使いましょう。
一通り学習を終えた後の腕試しに活用する、というのが標準的な使い方ですが、
学習を終えた後だけでなく、始める前にも解いておき、学習前後での知識の定着度合を比較するのもよいかもしれません。
答え合わせには、こちらの丁寧な解説2が非常に参考になります。
サンプル問題は、設問への理解を深めるためにも活用できます。
サンプル問題と出題分野を見比べながら、各分野でどういった問題が出題されているのかを確認してみると、より理解が深まります。
(「この学習項目はこのような設問に変換されるのか」「この分野はService Studioの画面を使ったサンプル問題に変換しやすそうだな」等)
設問数は20問ですので、出題されていない分野もあります。
出題のない学習分野でどのような設問が出そうか、サンプル問題から予想してみるのもよいと思います。
3. コツコツと知識を整理するのは必要不可欠
練習問題が少ないですので、知識をしっかりと定着させ、本番で初めて見る問題であっても、自分の力で正しく解答できるように準備しておくことが正攻法です。
中級以上の資格試験に合格するためにも、知識の土台を作っておくことは必要不可欠です。
オンラインリソースの動画やドキュメントから重要なことを抜き出して、自分なりの言葉でまとめます。
「知識の整理」を目的化しないように注意しながら、「配点率の高い分野を中心に」メリハリをつけて学習します。
出題分野ごとの学習ポイント
戦略だけでは合格できません。
具体的なTipsとして、本試験に合格するための学習ポイントを出題分野ごとに紹介します。
1. OutSystemsのリアクティブアプリ
画面のライフサイクルイベントの理解が重要です。各イベントの発生するタイミング等をしっかり理解しましょう。
- 関連ワード:クライアント変数、画面のライフサイクル、デバッグと監視
2. データモデリング、3. データの取得
OutSystemsでのデータ管理の基本事項が問われます。使えるデータ型やリレーションの種類、Aggregateの使い方等を理解しましょう。
- 関連ワード:エンティティとデータ型、データリレーション
- 関連ワード:Aggregate、画面でのデータ取得
4. ロジック
各アクションの特性や作り方について問われます。特に例外処理フローはしっかりと理解しておくようにしましょう。
- 関連ワード:クライアントアクションとサーバーアクション、フォームの検証、ロジックフローと例外処理
5. UI設計
各ウィジェットの使い方や設定について問われます。一通りの基本ウィジェットで設定できるプロパティなどをService Studioを使って理解しておくとよいと思います。
- 関連ワード:画面のウィジェット、ブロックとイベント
6. アーキテクチャとセキュリティ
Architecture Canvasの考え方をしっかりと理解しておくことが重要です。特に「静的解析での指摘対象となる3つの依存関係」については、基本となりますので理解必須です。
- 関連ワード:モジュールの依存関係、ロールベースのセキュリティ
最後に
以上、『Associate Reactive Developer試験の学習戦略』でした。
この試験はOutSystemsの入門試験。合格の先には、次の試験が待っています。
次の試験を見据えて、知識が定着するように学習を進めましょう。
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