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運用開発部門と教育部門を兼務して研修を作った話

Last updated at Posted at 2023-12-23

本記事は株式会社 Works Human Intelligence の アドベントカレンダー の 23 日目の記事となります。

昨日は @irongineer さんのGAS × Slack Bot で全社ウォーキング大会 750 名のチームチャンネルを自動作成して参加者・運用者体験が向上した話(実装サンプル付き)でした。全社ウォーキング大会、かなり楽しいのと健康にいいのでやってないのであれば御社でもぜひ。
なお、私も毎年参加していたのですがこの時ちょうどインフルエンザでダウンしていたので今年は参加を見送りました。くやしい。


昨年は教育をやっていますという話を書きました。

が、当時は「所属部門の」でした。私は開発部門の中の1部門に属するいわゆる SRE に所属しています。そこの新人向け教育をごりごりと作ったのが昨年。
今年は今年は異動こそなかったものの一つ大きな単位、開発部門全体の研修運営・作成チームに参画する機会に与りました。この記事ではそこで考えたこととかやったことをまとめがてら書きます。

この記事で書くこと

  • 兼務で教育に関与する
  • うまくいかなかったことの話

兼務で教育に関与する

兼務する旨味

上述の通り、私はいわゆる SRE に所属している人です。他方、教育等を扱う部門は別になっています。

開発部門
┣━製品A開発部門
┣━製品B開発部門
..
..
┣━SRE
┗━教育等を扱う部門

私は双方に携わっているため、組織上は兼務していることになります。

兼務についてはデメリットも多く語られていると思いますが、教育について私は兼務は仕方なしと考えています。
実務担当者に必要とされる技能を理解しているのは実務担当者ですし、必要な情報をどうやったら新人にインストールできるのかを理解しているのは教育担当者となります。教育プログラムはこの両者が協業して作っていく必要があります。
この協業をスムーズに回すにはこの両者がなんらかの連携を取る必要があります。そのために、実務担当者が教育担当者の中に入って作ってしまうことにしました。なお、この際の割合は実務の方が多く、教育については少な目としています。

教育担当者に「こういうものを作ってほしい」と依頼するのも手段です。しかし、その場合に昨年の経験から手戻りが多いだろうと考えたのと実際に中に入っていたら他にも面白いことがあるかもしれないと思ったので兼務させてもらうことにしました。後述の新人研修にも意図せずして関われたので正解でした。

また、いったん作ったらそこから離れてしまってよいとも考えたのですが、教育内容が陳腐化することがしばしばあります。そのため、兼務割合としては小さめであっても継続的に関わっています。

実際に提供したコンテンツ

クラウド基礎

開発者がしばしば扱うクラウドに関する教育コンテンツを2022年は開発部門全体として実施できず、私の所属部門で独自にコンテンツを用意して実施しました。しかし、各開発部門からは「やってほしい」という声がしばしばあがっていたため、2023年は私の所属部門でやっていた内容を持ち込む形で開発部門全体として実施しました。

弊社社内でのクラウドサービス(色々なものがあるが主には AWS)の利用に関する説明を聞いた際に新卒各位がちんぷんかんぷんって顔をするのではなく、説明の内容は理解できる状態になってもらおうというのがこの講義の目的となります。

内容は以下のものとなります。

  1. クラウドサービスに関する社会一般で語られていることを理解してもらう
    社外のクラウド全般に関する教養的コンテンツを受講してもらう
    社外のコンテンツは弊社全体で契約しているものについて
    「この講義をこの日までに受けておいてね」とお願いしておく
  2. 弊社社内でのクラウドの利用・提供イメージを持ってもらう
    弊社社内でのクラウドサービスの利用状況および提供状況、
    またそのメリットとリスクについて説明するコンテンツを座学で実施する
  3. 実際にクラウドサービスを利用するイメージを持ってもらう
    AWS Cloud Quest を受講してもらう

まず、クラウドに関する社会一般で語られている使い方やメリットを理解してもらい、
その前提知識を以って弊社社内でのクラウドの利用および、弊社が今後提供していこうとしているクラウドサービスについて理解してもらいます。

しかし、1. および 2. の内容は座学となります。座学は体系的に情報を伝達するのには有効ですが、ともすれば受講者が聞き流していて身にまったくなっていなくてもそのコンテンツが完了してしまうのが欠点です。

そのため、第3のコンテンツとして実際に AWS を触ってみて 1. および 2. の内容を「こういうことだったのか」と感じてもらうコンテンツとして AWS が公式に提供している AWS Cloud Quest を受講いただくことにしました。

AWS のハンズオンを社内でやる場合、少人数の受講者ならともかく大人数の場合はアカウントの管理などのコストが発生してかなり大変です。しかし、AWS Cloud Quest は一部コンテンツは無料で実際に AWS Console を触って AWS の利用体験することができます。具体的にはクラウドプラクティショナーの範囲は無料、それ以降の範囲は有料です。

これをやることで「そういえば、椎茸の人がなんか言ってたな……」と 1. や 2. の内容を見直すこともできます。1. と 2. の内容をこれで定着させることが狙いでもあります。

なお、AWS Cloud Quest はかつては英語でしか提供されていませんでしたが最近日本語でも提供されるようになりましたので「英語だから……」で避けていた人はぜひ試してみてください。

社内での反応は概ね良好なものとなっており、今後開発部門外の人にも提供できたらいいななどと思っています。

自走力

こちらは兼務する中で「新卒に問題解決を自ら行っていく力をつけてほしい」という課題が持ち上がり、これを実現するために作ったコンテンツとなります。
すなわち課題を与えられた際にその課題を再定義し、その課題をブレイクダウンして小課題を設定し、それを解決するために自ら動くという課題を新卒に課したものとなります。

新卒にはこの中で次の能力を獲得してもらうことを期待しています。

  • 問題を再定義し、ゴールを定める能力
  • 手に負えない大きすぎる課題をブレイクダウンする能力
  • それでもどうにもならないエリアについて調査し、不可能だと思ったものを突破する能力
  • 調査してもどうにもならないエリアについて他者に助けを適切に求める能力

新卒各位にとって身近な課題をいくつか共有し「好きなものについてブレイクダウンして解決の作戦を提示せよ。期日はいつまで」と提示しました。

また、この際には課題の考え方を示したシートを新卒各位に提供しています。
これは課題を再定義してゴールを定める手順や、課題をブレイクダウンする手順についてちょっと丁寧すぎるくらいの解説を添えて示したものであり、これを埋めていくことで自然と課題がクリアできるように作っています。実務の場においても考えに行き詰った際に適切なツールがなければこのシートを使いまわしてもらうことを期待しているものでもあります。

また、新人研修に際しては新卒各位には「メンター」と呼ばれる身近な相談先が用意されています。この課題では彼らに協力いただき、思考の内容や質問・助けを求める先を演じて頂きました。
質問をうまくやるためのフォーマットを試す相手として身近な相手から試していただくことで、新卒各位が配属後に(多少怖そうに見えるかもしれない)先輩が相手でも安心して質問してもらえることを期待したものとなっています。

他にやったこと

新卒で入社したメンバーは一部を除いて最初に入る職種が決まっていません(一部のメンバーを除く)。
新卒のメンバーは各職種を体験し、どの職種が良いかマッチングするための課題を受けるのですが、これの企画・運営に今年は携わりました。
これが面白かったのでつらつらと書きたいのですがあまり書いてしまうと2024年に入社なさる新卒メンバー各位に対してネタバレになってしまう可能性があるため、涙を呑んでオミットします。

こう、案外書けないことがあることにこういう記事を書いていると気づいてつらいですね……

うまくいかなかったことの話 - 質問は難しい

なんかいろいろやってさもうまく行ったかのように書いていますが、様々な不足もありました。

特に自走力の課題はかなりの部分メンターに負荷をかけてしまいました。
メンター各位は察しがよく親切なので質問力の醸成という意味では十分に機能しなかった側面がありました。

質問の仕方で Qiita 内を検索するとこの記事を書いている時点で驚くべきことに2000を超える結果が得られます。
それだけ質問は難しいということなのでしょう。

しかし、今回これをひとりひとりフォローしきることはできておらず、そこについては満足のいくトレーニングの機会を持てなかったというのが正直なところです。メンターへの説明があまり良くなく、メンターの技量でうまいことやれてしまった側面もあったでしょう。

弊社内でもこんな記事が書かれているのでまずこういうのを良かったのだろうなという後悔があります。

クラウド基礎のコンテンツは既存のコンテンツをうまく使い効果的に実施できたのに対して、こういった既存コンテンツをうまく使えなかった点は反省点ですね。

まとめ

SRE が主務の者ですが、開発部門全体の教育を兼務しました。
主務でやってほしいと思っている研修を兼務先に持ち込むことでスムーズに必要な研修コンテンツを作成・展開できたなと思っています。

コンテンツを作るに際しては既存コンテンツをうまく使いまわすことである程度品質の良いコンテンツをスムーズに準備できますが、それをうまくやれていないコンテンツはちょっと苦戦傾向にありました。

今後、なんらかのコンテンツを準備しないといけない人もいらっしゃると思うのですが、そういった人たちの参考になればありがたいなと思います。


明日は day 24 @am_i-12 さんの回です。

まだ新卒2年目ですが精力的に AWS について学び、資格を取り、社内外で発信を行っているメンバーによる記事です。ご期待ください。

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