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「Develop fun!」を体現する Works Human IntelligenceAdvent Calendar 2020

Day 19

インシデントチケットを書いて Develop も夫婦生活も fun! する

Last updated at Posted at 2020-12-18

「Develop fun!」を体現する Works Human Intelligence Advent Calendar 2020 DAY 19 としてこの記事を書いています。


皆さん!インシデントチケット、書いてますか!!!
Chrysanthemum94 です。弊社ではインシデントお兄さんと呼ばれています。嘘です今決めました。

インシデントチケットを書く日常

12/09 に弊社のドキュメントマスター saeki_d さんが書いてくださった 参照しやすいインシデントチケットの書き方 について、全国5000万のインシデントファンの皆様はモニターに穴が開くまで読んだことかと思います。日常的にインシデントチケットを切って生活をしている皆さんとしては頷く所の多い記事だったことでしょう。

しかしながら、「インシデントチケットを書くべく修行したいんだけどどうしたらいいの?山にこもればいい?」「インシデントって何?歴史上の人物?14世紀ヨーロッパの思想家?」みたいなインシデント・ニュービーもいらっしゃるかと思います。大丈夫、私もそうでした。
そんな明日のインシデントニンジャは日常でインシデントチケットを書けばいいんじゃないかなと思う次第です。そもそも、日常に結びつかない、仕事でしか使わない技能を伸ばすのは難しいです。プログラミングの習得の為に身近なことを改善するプログラムを書く、という人は多いはずです。ならば、日常でもインシデントチケットを書きましょう。

弊社は「Develop fun!」とか言っていますが、日常生活を fun! できないのに Develop を fun! するのは少々難しいはずです。日常を fun! できるようになれば Develop も fun! できます。恐らく。

とはいえ書けないよ

 とはいえ、日常でどう書くんだよ、という話です。というわけで、夫婦生活をサンプルに書いてみました。

 皆さんが書く際は別に夫婦生活じゃなくてもゲームの話でもなんでも大丈夫です。
何書こうかな、と思った時に夫婦生活がいいんじゃないか、と私が思っただけです。

インシデントチケットのサンプルとしての夫婦生活

インシデントが招く最悪の結末

 ここでは離縁は最悪の結末であり、これを回避するために様々な努力をするもの、とします。

 先日、「40年間、何度頼んでも食器をシンクに入れてくれなかった」で離縁される男性の話を聞きました。
痛ましい話ですが、ドクロめいた月もその様を見下ろし「インガオホー」と呟くのみです。
発生していた問題を軽視した因果が応報しただけなので、そこに慈悲は伴わないことでしょう。

 最悪の選択肢を避けるためにも夫婦生活のインシデントを管理してみましょう。
なお、以下はあくまでもフィクションです。実際に起こった出来事ではありません。

サンプルインシデントチケット1

タイトル:使った食器をシンクに入れ損ねたことで妻が口をきいてくれなかった
発生日時:2018/03/12 19:12
対応責任者:Chrysanthemum94
状態:恒久対応実施中

発生事象
 仕事を終えて帰宅したら妻が口をきいてくれなかった。
原因を調査するために延々と尋ねたり、その日一日何をしていたのかを思い出したりした結果、
食後に使った食器をシンクに入れ忘れたまま出社したことが原因だと分かった。
 妻をなだめ、再度会話ができるようになった。

この事象によって誰が何を困っているのか
 自分:妻に口をきいてもらえなかった
 妻:食器が水に漬けられておらず、イラッとした。食器を洗うのが大変だった

発生原因
 朝食を食べた後食器を片付けていなかった

一次対応
 口をきいてくれないことから、何らかの事情で自分に対して怒っているのだろう、と判断した。
その何らかの事情を確認するために、以下を試みた。

  • 事情を聞き出そうとした。しかし、相手にしてもらえなかったため、聞き出すことができなかった
  • ここ最近の LINE のやり取りを読み返し、トリガーになり得る事象がなかったか確認した。
    しかし、原因になりそうな事象を見つけることができなかった
  • 一日の自分がとった行動を再度確認した。結果、朝食後に食器を片付けていなかったことに気付いた

食器を片付けていなかったことについて妻に土下座することで妻を宥め、
再度口をきいてくれるようになった。

根本原因
 ダイニングとキッチンの間にカウンターがあり、食事を摂った後食器を水に漬けるにはカウンターを迂回する必要がある。
少々遠く、朝急いでいる時などに食器を片付けることを失念する。

恒久対応
 カウンターの上で水に漬ける処理を完結できれば容易である。
そのため、食器を漬けるための桶をカウンターの上に配置し、ここに利用済みの食器を入れる、という運用に変更する。
食器を洗う際はカウンターの上に置かれた桶をシンクまで運ぶ。
 夫婦間でこの運用について合意した。次の週末にそのための桶を買いに行く。

 ないしは、カウンターの上に食洗器を配置することで食後即座に食器を洗うことを可能とすることも検討した。
ただし、この運用だと下洗いが求められる食器(例えばカレーを食べた後の皿)について問題が解決しない。
また、食洗器を配置してもキッチン側から食器を入れることができないため不便である。
以上のことからこの対応は採用しなかった。

サンプルインシデントチケット2

タイトル:帰宅後わたわたしていて家の鍵が開けっぱなしだった
発生日時:2019/08/15 19:12
対応責任者:Chrysanthemum94
状態:恒久対応済

発生事象
 仕事から戻って家の扉をあけようとしたら扉の鍵が開いていた。
先に帰宅していた妻に何故開けていたのかを確認したところ、
疲れていたため鍵をかけるのを忘れたと分かった。 

この事象によって誰が何を困っているのか
 鍵がかかっていない扉はセキュリティホールとなる。資産的な懸念がある

発生原因
 帰宅時に妻は疲れていると鍵をかけることを忘れる。

一次対応
 自分が帰宅した時点で即座に鍵をかけた。

 また、玄関に「鍵をかける」と力強く書いた書を配置し、鍵をかけわすれる直後にリマインドすることで再発を防いだ。
しかし、この対応については景観上よくない、ということから妻からは強い反対を受けた。
そのため、この手順はあくまで一次対応であって、恒久対応策が実施され次第撤去することを定めた。

根本原因
 疲れていても鍵をかけるべきだが、上述の通り忘れていることを行うことはできない。
そのため、妻はそもそも自分で鍵をかけることができないことに原因がある。

恒久対応
 鍵を自分でかけることができないのであれば、誰かにかけさせればよい。
これを実現するためにスマートロックを導入する。
調査の結果40,000円程度で設置が可能であると分かった。
これを設置することで再発の防止とした。

書くときに意識すること

内容

タイトル
 [パッと見の原因]だったから[パッと見で起こった現象]した、と書きます。後で検索した時に見つけやすくて便利です。
自分が読むのではなく、自分の子や、友人夫婦が事例検索した時に「これやん」とクリックする(ないししない)判断をできるタイトルにしましょう。

発生日時
 案外重要です。
「この時期にあんなことがあったとそういえば聞いたな」といった記憶からインシデントを探せます。
ある程度曖昧でもいいのでちゃんと記録しましょう。

対応責任者
 「言っただろ!」「あなたがやることになっていたでしょ!」の水掛け論で無駄な時間を過ごしたくありません。
我々は Develop を fun! しなければならないので、夫婦生活を Boring している暇はないのです。
 責任の所在を明らかにすることで無駄な時間を減らし、まずは夫婦生活を fun! しましょう。

状態
 対応責任者を明確にするのと同様、がっちり明確にしましょう。
「これ、終わってたと思ったんだけど」から始まる口論は Boring です。

 未着手、一次対応中、恒久対応検討中、恒久対応実施中、恒久対応済、といった値が入ります。
さらにはレビュー中とかもあるかもしれません。各々のやりたい管理の粒度に合わせるのが良いでしょう。
Develop なら社内ルールとの兼ね合いもあるかもしれません。

発生事象
 タイトルの焼き増しです。もうちょっとだけ詳しく書いてあげて読者が「あっ、これが欲しい奴だわ」「いや、ちょっと違うな」を判断できるようにしましょう。

この事象によって誰が何を困っているのか

 カップルインパクトをここに記載します。
この事象によって夫婦が受けるインパクトはなんでしょうか。
仕事だったらビジネスインパクトをここに記録しましょう。

 それが小さいようであれば案外この事象は優先順位が低いかもしれません。
小さいことを気にしているようでは Develop はおろか、夫婦生活の fun! もままなりません。

発生原因
 事象がなんで発生したのか、表面上の理由をここに記録します。
一次対応で行う内容に直結します。
似たような事象ないかなーって検索するときに役立ちます。

一次対応
 超重要です。他はダメでもこれはちゃんと書きましょう。
参照しやすいインシデントチケットの書き方でも語られていますが何故そうしたのか、を書きましょう。
また、試してダメだったことも書いておくと Good です。次にやる人が同じことをして無駄な時間を過ごさずに済みます。
ないしは、似たような事例ではその手段が通用するかもしれません。

 上手く書くコツは「対応しながら書く」です。後で整形すればいいのでごりごり残しましょう。
最初からきれいに書きたかったら後でメモ帳から転記するのでも構いません。
「後で書けばいいや」で忘れる確率は150%です。内容を忘れた上でさらに曖昧に書くことすら忘れる確率が50%です。

根本原因
 インシデント管理する旨味って色々あるんですけど最終的には恒久対応をやれるのが旨味です。
根本原因が分かっていないと恒久対応もおぼつきません。根本原因をきっちり言語化しておきましょう。

 ここで「不注意」とか書くと上手く行きません。何故不注意だったのかを考えましょう。
ないし、出てこないなら不注意でもなんでもなく「そもそも今の人間にはできないことだ」と割り切りましょう。

 ただし、ここで「何故」を追いすぎるのはあまりよくありません。
恒久対応ができなくなります。恒久対応できる範囲で追いましょう。

恒久対応
 根本原因をないないするための作戦をここに書きます。
これはインシデント管理の肝です。これをやるためにインシデント管理をやるようなものです。
先に分析した根本原因を掃除できるようなものを書きましょう。

 ここの内容が現実的にならないなぁと思ったら根本原因を再度確認しましょう。
根本原因を分解したり、再検討したりすると恒久対応策が良くなるかもしれません。

 根本原因を追いすぎるとここで上手く行きません。ほどほどにしましょう。
「朝急いでいるから水に漬けないんだ、早く起きろよ」
「その場で洗えばいいのに洗わない根性が悪いんだ、修正してやる」
「人類はそもそも争いの歴史を数千年繰り返してきた、全てを滅ぼせばいいんだ」
曲げられないものもあります。ただ、上のサンプルは私も「自分で使った食器位自分で洗えば?」と思います。

 どうするにせよ、ここが精神論になっていたらその恒久対応は無駄です。
なよなよのしいたけでも同じ問題を起こさないような対応をここには書いてください。

追加の内容

 上述の内容はなんとなく最低限だろうな、という内容です。さらに内容を盛るのも環境によっては良いでしょう。

 参考資料とかもバリバリ貼りましょう。
話し合った時の Slack の生ログ(ないしそれへのリンク)や、参考にしたウェブサイトや過去のチケットへのリンクも貼りましょう。
後で全体を整えたときに不要だと思ったらメモ欄に追いやるか消せばよろしい。

 あまりにインシデントチケットを書きたくなることが多いようであれば重要度も記録しましょう。重要度の高いインシデントが減り、低いインシデントだけになってきたならば夫婦生活を前に比較して fun! していることが分かります。

 問題がいつ一次解決したのかも記録するとサービスレベルの評価に役立ちます。環境によっては必須でしょう。
夫婦のサービスレベルってなんだよって感じですが。お仕事だと役に立つことが色々とあります。

 後で検索しやすいようにタグを付けたりするのも効果的な場合があります。

これだけはおぼえておいて

以下の文面が恒久対応に入っていたら「は?」って思ってください。

  • 注意喚起する
  • 心がける
  • 気を付ける
  • 徹底する

注意しなくても、心がけなくても、木を付けなくても、徹底しなくてもやれる手段を求めてください。

実践したらどうだったの?

 夫婦生活で何か問題が起こるとインシデントチケットという形ではないにせよ、根本原因と恒久対応を考えるようにはしています。日々日々夫婦関係が良くなるのは割とやっていて面白いです。

明日!

明日は sparklingbaby さんの記事です。
「たぶんHaskellとJavaの折衷的な記事を書く」とのことですが、如何なる内容になるのか。ご期待ください。

愚痴というか余談というか

妻に「恒久対応がさ」という話をしていたら「高級対応」だと勘違いされていて話が通じませんでした。
この記事が公開されたらインシデントのなんたるかを延々と語ってきます。

それと、あまり恒久対応を突き詰めすぎると夫婦関係がそれはそれでギスギスします。
根本原因の欄でも書いた気がしますが、ほどほどにしましょう。

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