はじめに
精神疾患のために転職先も決まらぬまま退職を余儀なくされ、
無職2か月目(投稿日時点)となりました。
現在は手当金を受け取りつつエンジニア職での転職を目指しています。
- これから業界に入る新卒の方
- これから業界に転職される方
- 現在仕事で心身が苦しい思いをされている方
に向けて、私の経歴と、ちょっとした持論を書きます。
私の辿った経過
2018年4月に地方国立大学の情報系学科を卒業し、地元のIT企業に入社。
2019年頃から精神的に不安定となり、趣味の集まりを欠席しがちになる。
8月下旬、友人の結婚式の余興を自分のせいでポシャらせる寸前に陥ったことから
いよいよマズいと判断し、9月初めに心療内科を受診。鬱、睡眠障害の診断を受ける。
2020年春先には仕事でもトラブルを抱え、8月に初めて休職。以降復職・再休職を繰り返す。
2021年秋頃からは睡眠障害が酷くなり会社を遅刻、欠勤しがちになる。
再々休職中であった2022年2月、前職規定により退職。
精神状態を悪化させた要因
きっかけは趣味の集まりでの人間関係と自責的な性格でした。
しかし、太字とした2020年の仕事が悪化の大きな要因となったと思います。
前提
前職は配属後3年経過してからは裁量労働制という制度を取っていました。
当時配属2年目の自分は業務を任されていたものの、対外的な担当は先輩(A先輩とします)であり自分は副担当扱い、さらに直属の上司(B課長とします)に労働量を管理される立場にありました。
一方A先輩はすでに裁量労働制であり、B課長から労働量についてほぼ口出しされない立場でした。
超ブラックというほどではないものの、かなりグレーな職場だったと思います。
2019年夏から2020年春
2020年の春にはとある理由でシステムの大きな改修があり、2019年夏ごろからその概要は知っていましたが、A先輩から特に指示や詳細な情報(どの画面が改修対象かなど)を伝えられることもありませんでした。
その時の私は、同期で唯一の情報系卒ということもあってかその時々で手のかかるタスクに充てられ、時には別部署に赴いて設計や開発を行っていました。
2020年の年始頃だったか、ある日A先輩と共にB課長から呼び出され、春のシステム改修の件について進捗確認されました。
その時、プログラム改修が何一つ進んでいないことが発覚しました。
突如始まった(精神的)デスマーチ
改修対象の洗い出しこそ行っていたものの、それは「軽いヒアリング」程度であり、実際細部が全く詰められておらず、人月もろくに見積もれない状況に私は困惑しました。
私は「プログラム改修の方は自分が何とかする。ただ現地作業の経験がなく、顧客に提出する資料の作り方も分からないから、現地作業の段取りと事前の資料作りはお願いします。」とA先輩に念押しし、大急ぎでプログラムの改修に取り掛かりました。
なんとか時間を工面するため、他の先輩方が土日に出て作業をしているという話を聞き、「残業で疲弊してミスしたら目も当てられない」という思いから、週6日勤務してなんとかしようと思い、休日出勤を多く申請しました。
ここで、A先輩、B課長、私の間で考えの相違が浮き彫りになりました。
前提で書いた通り、諸先輩方は裁量労働制のため、労働時間は月ベースで見ることとなり何も問題になりません。
一方私は通常の平日日勤ベースで見られているため、必然的に休日出勤よりは平日残業、残業よりは定時退社をB課長から求められます。
加えてA先輩は昼間たびたび席を空ける割に定時退勤しない、いわゆる「ダラダラ残業」な人であり、私が定時まで必死で集中力を保ちながら作業し、いざ帰ろうとすると「なんで残らないの?」と聞かれることもありました。
帰れ帰れと要求する上司と、残れ残れと要求する先輩との間で板挟みになる息苦しさを感じながら作業していたのを今でも覚えています。
本当の地獄はこれからだ
息苦しさも相まってスタミナは切れかけだけど何とか間に合うかな、といったペースで作業を進め、現場作業が間近に迫ったある日、A先輩に資料の進捗を確認しました。
すると、「何もやっていない」という驚きの返答が返ってきました。しかも、当然のように「自分は自分で仕事があるから資料作りには手が回らなくて当たり前、むしろなんで君が作ってないの?」といった様子でした。強調した通り、私は課長から呼び出しを受けた際に資料の作成や段取りはA先輩に依頼しているつもりでした。
(後日のミーティングで、A先輩は課長呼び出しの日からすでに私が全ての作業を請け負ったと思っていた、という私にとっては衝撃的な発言も飛び出します。)
こうなってしまってはもう疲弊も何も言っていられない、と半ば自暴自棄になりながら残業を繰り返しました。
当然、申請する度にB課長から「残業の上限を考えろよ」と念押しされ…
言い訳と言えばそれまでですが、前述の「なんで残らないの?」という発言からA先輩とはそりが合わないなぁ、こちらからコミュニケーションを取りに行きたくないなぁ、と思っていたのが本音です。
しかし、コミュニケーション不足が起こした惨状であることは間違いありません。
爆弾、爆発
ついに現場作業に間に合わず、毎日現場で夕方まで作業しては帰社して明日の資料作りといった有様になりました。
下手にブラックじゃないことが災いし、毎日のように先輩には「作業の段取りができてない」と現場で怒鳴られ、B課長には「残業時間を考えろ」と怒鳴られ、挙句の果てに現地で自分のプログラムに多数ミスが発覚し、段取りもすべて滅茶苦茶に。
結局、部長判断により作業半ばで現場作業から外されることになりました。
その後
この一件以降、別の先輩の下につくこととなり、もともと持っていた業務はおろか設計開発そのものから爪弾きにされるようになってしまいました。昨年末ごろにはA先輩に「お前がプログラムをいじるとロクなことがないから触るな」とまで言われましたが、もはや反論する気力もありませんでした。
IT業界に入る方へ
IT業界は基本的に物質的ではないモノを作る業界です。
ミスとは言いきれない程度の動作不良が積もり積もってある日突然爆発する…なんてことも起こります。
(前職では、DBにゴミデータが日々少しずつ蓄積していたことが原因で、ある日突然システム丸ごと落ちた事がありました。)
工場等で出る不良品は目で見て分かることがあるかもしれませんが、プログラムのミスはそうそう目で見て分かるものではありません。
お客様の目に触れる前にテストという工程を踏み、なるべくミスのないよう努めてはいますが、そもそもテスト時の想定が間違っていたなんてことがいくらでも起こりえます。
どうか、自分の作ったプログラムに対して謙虚になってください。
「大丈夫だろう」と思わないでください。思わぬ方向からバグはやってきます。
また、これはIT業界に限った話ではありませんが、本当にヤバい所だなと思ったら、どうか壊れる前に逃げてください。
心身が健康であれば、今の時代IT業界で転職することはそう難しくはありません。
壊れてしまったら最後、無理をしていろんな人に迷惑をかけて職歴を汚し続けるか、そうそうない縁に一縷の望みを託すしかないという状況に陥ります。
精神を病むエンジニアが一人でも減るように祈りながら、今回は筆を置かせていただきます。
2022/4/14 追記
多くの方に当記事を目にして頂き、自分でも少し驚いています。
現在も求職中の身ではありますが、少しばかり追記させていただきます1。
「自分はうつにならない」と思わないで
私の体験談を見て、「この程度でへこたれるのはメンタルが弱い」と思った方もいるかもしれません。
実際、私は大きな失敗を起こしたものの、その後始末はB課長含む先輩方にして頂きました。
失敗をフォローしてくださった前職の諸先輩方には感謝してもしきれません。
規則による退職勧告制度がなければ今も前職で働いていたかったくらいです。
一般論として、日本人のおよそ100人に6人がうつ病を経験するそうです。
私の知り合いにも何名か私と同様の疾患を抱えていると思われる方がいます。
その中には、エンジニアではありませんがつい最近までバリバリ仕事されていた方も含まれます。
周囲も、おそらくその方自身も精神を持ち崩すとは思っていなかっただろうと思います。
どうか、他人事と思わず考えていただけたらと思います。
オープン就労のすすめ
私は、現在自分が精神疾患を持っている事を公表しながら、一般枠での就職を目指して転職活動をしています。障がい者雇用枠の募集に抵抗はありませんが、今のところそちらをメインとした活動はしておりません。
もし、心身を持ち崩してしまい、転職を考えられている方がいらっしゃったら、よほどの理由がなければオープン就労を行うことを個人的にはおすすめしたいです。
壊れた心身はそう簡単に治らない
私自身、自分にストレスをかけていたであろう状況からはおそらく解放されています。
しかし、眠剤が無ければ眠れない事に変わりはなく、再発が怖くて抗うつ薬も手放せずにいます。
仮に全てが現職または前職の何かが原因であったとしても、焦燥感など別にストレス要因が生じたり、薬物に依存したような状態になることでなかなか元通りにはいきません。
会社にも、顧客にも、自分にも迷惑をかける
転職活動の内定はゴールではなくスタートです。出来ないことを取り繕って面接を通過しても、続かずに辞めてしまっては意味がありません。それはただ心身を削って職歴を汚しているだけです2。
短期間での再就職・離職を繰り返していると、「この人はすぐ辞める人だ」という印象を強くして、結果的により悪い労働条件でしか働けなくなる負のループに陥ります。まさに自分で自分の首を絞めていくのみであり、理解ある職場への就職はどんどん遠ざかります。
エンジニア向け転職サイトを使おう
身も蓋もないことを言いますと、大手企業が運営する転職支援サイトでの活動はあまり合っていない気がします。
一応精神疾患持ちであることを明記した上で登録はしていますが、「ぜひ応募してください!」といった文言でスカウトが届いたところに応募しても書類落ち、あるいは面接段階になって初めて病気の記載に気づいた様子で、一次面接で不合格といった事の繰り返しでした。
登録者が多い分一人ひとりのプロフィールを精査する事が難しいという人事側の事情もあるかと思いますが…
エンジニア向けにGithub等のアウトプットを実績として見せることのできるサービスも増えていますので、こちらの方が適していると思います。
最後は縁
新卒就活でもそうですが、転職でも面接上手くできたと思ったところで落ちたり、逆に全然ダメだと思ったところから内定を頂いたりするものだという体験談は多く出てきます。
最後に合否を分けるのは、縁があるかどうかではないでしょうか?
無職という状況に焦る気持ちは私にもありますが、良い縁、良い仕事を見つけるためにじっくり構えて活動を行うことが最善手だと私は信じています。
焦る気持ちはアウトプットにぶつけて、より自分の技術をアピールできるようにすればいいかなあと思います。
2022年8月29日追記
転職が決まりました
転職活動を始めて約半年。
今月の頭にWantedly経由で企業様からお話をいただき、9月からそちらでお仕事をさせていただくことになりました。
- フルリモート勤務(勤務地希望に沿う)
- 勤務の開始終了、実働時間まで相談可能
- 基本残業無し、特定の人に負担が偏らないように調整することを重要視
- 社長さんが私の病気に理解あり
と、私の希望する条件がすべて叶う結果となりました。
イマドキの企業らしくカジュアル面談の中でほぼ内定くらいの勢いで話が進み、しばらくは
「何か変な詐欺にでも遭っているんだろうか」と思うほどでした。
技術的にも前職の経験が活きる形となりそうなので、今度こそ無理のないように、
また仕事とお金が頂けることに感謝しながら働きたいと思います。
心身の調子を崩してしまい、転職を目指しているエンジニアの皆様に素敵なご縁がありますように。