Celeron N5105におけるPyOpenCL活用例 マンデルブロ集合
はじめに
ローエンド環境でもGPUをうまく活用すれば、計算処理を大幅に高速化できる可能性があります。
本記事では、Intel Celeron N5105(統合GPU)を搭載した環境にて、Python + PyOpenCLを用いてマンデルブロ集合を高速に描画し、CPUに比べて約270倍の処理速度を実現した事例を紹介します。
実行環境
項目 | 内容 |
---|---|
CPU | Intel Celeron N5105(4コア) |
メモリ | 8GB |
GPU | Intel UHD Graphics(統合GPU) |
OS | Windows 11pro |
開発言語 | Python 3.9 |
使用ライブラリ | PyOpenCL, NumPy, Pillow |
ベンチマーク結果
処理方法 | 平均実行時間(秒) |
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CPU描画 | 16.875949 秒 |
GPU描画 | 0.062526 秒 |
向上率 | 約 269.90 倍 |
出力画像
CPUで描画された画像(解像度、色情報ともに同じ条件で描画)
GPUで描画された画像
実行時間と速度向上グラフ
実行時間比較(CPU vs GPU)
速度向上率の視覚化
実装ポイント
- GPUカーネルをPyOpenCLで実装し、ピクセルごとに独立した並列演算を割り当て。
-
local_size
の調整を行い、効率的なワークグループ配置を最適化。 - 転送コスト削減のため
host_ptr=False
で明示的に管理。 - ループ回数を抑える工夫など、GPU向けに特化した実装を設計。
考察
Celeron N5105のようなローエンドCPUに内蔵されたGPUでも、並列性の高いタスク(今回のようなピクセル独立の演算)に対しては非常に高いパフォーマンスが得られることが確認できました。
特に描画系タスクでは、計算そのものよりも**「処理の並列化」と「転送最小化」**が鍵となります。
本結果は、PyOpenCLによるGPU制御がローエンドでも十分効果的であることを示す良い例となりました。
おわりに
今後はこの高速描画技術を応用し、ズーム可能なマンデルブロ集合やフラクタルアニメーション、さらに最適化していきます。
本記事が、ローエンド環境でもGPU活用を検討する際の参考になれば幸いです。
中途半端な実装を公開するのではなく、最大限の最適化を施した形で初めて公開するつもりです。