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制約のある人とない人が共に気持ちよく働けるようにするために

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はじめに

Qiitaで開催中のイベント「エンジニアによるマネジメント」への参加記事です。

エンジニアによるマネジメント - エンジニアだからこそ発信できるマネジメントの知識を発信しよう - Qiita

子育てをしながらマネージャーをやっていたころ、プロジェクト内に働き方に制約のあるメンバーを受け入れることが何度かありました。縁があって同じチームになったからには、プロジェクトが終わったときに、メンバー全員が「一緒にやれてよかったね!」と言えるようにするのが私の役割だと思ってずっとやってきました。

働き方に制約があるメンバーがいる場合のチームマネジメントについて、私の経験を投稿します。

色んな制約をもったメンバー

私のチームには、育児休暇があけて復職したメンバーで、子供が体調不良になると休まざるを得ないお母さんや、メンタルの不調を抱えていてフルタイムの勤務が難しいメンバーなど、さまざまな事情のため働き方に制約をもったメンバーがいました。

例として育児休暇あけのAさん(女性)の場合をお話します。

今まで家で家族と過ごしていたのが、突然保育園で大勢の人とかかわるようになると、子供はすぐに体調を崩します。外界に対する抵抗力が十分ではないのです。保育園で熱がある一定ラインを超えると、保護者に迎えに来るように連絡が入ります。そうすると、Aさんは今やっている仕事を中断して迎えに行かねばなりません。

そして、困ったことに、子供の体調はすぐには回復しません。一度子供が体調を崩すと2日から3日、Aさんが会社を休まざるを得ないこともありました。

ちょっと前までは「子育ては主に女性の仕事」と考えられる風潮があり、子供が体調を崩したときにお迎えに行くのも会社を休むのもお母さん、という暗黙のルールみたいなものがありました。

本人との情報共有

受け入れ前に本人と面談をして、考えられるリスクを共有

制約のあるメンバーを受け入れる前に、本人と面談をして考えられるリスクを共有しました。まず、Aさんのご家庭でのそれぞれの役割について確認します。

「子供が体調不良になったときの対応は?」「実家の協力は得られるのか?」「ご主人の協力は得られるのか?」「ベビーシッターさんをお願いすることはできるか?」などなど。

ご家庭での役割などは、とてもプライベートなことですが、Aさんが仕事を続けて、キャリアを磨いていくためには重要なことなので、Aさんの状況をきちんと共有してもらいました。

チームメンバーと共有可能なラインを定義する

そして、ここからが一番大切なのですが、そのAさんの状況をどこまでチームメンバーに共有してもよいかを、ご本人に確認します。チームで仕事をしていく以上、Aさんの制約条件や、なぜ制約ができてしまうのかをチームメンバーに説明して、理解してもらう必要があります。このため、Aさんと「ここまでなら話してもよい」というラインをきちんと定義し、Aさんが嫌な思いをすることがないように取り決めをしました。

チーム内での情報共有

Aさんと定義したラインに従って、Aさんの情報をチーム内に共有

Aさんの受け入れを決めたときのチームを構成するメンバーは、20代から40代まで、幅広い年代にわたっていました。半数が子育て経験のないメンバーだったので、Aさんの状況を説明し、突発的な休みが発生するかもしれないこと、休みが続いてしまうかもしれないことなどを共有しました。Aさんが長期に離脱するような場合は、チーム全体でリカバリーしていくこともあらかじめ伝えました。

チームメンバーに不公平感を感じさせないようにする

一番気をつけたのは**「Aさんだけが特別扱いされている」という雰囲気にならない**ことです。Aさんに限らず、誰かが困っていたらチーム全体でリカバリーするよ!ということは繰り返し伝えました。それでも、おかしな空気になることはあります。そんなときは会話、ひたすら会話です。「いつでも話をきく準備はできているよ」という姿勢で、チームメンバーと会話を続けました。

私たちはチームであり、全員で大きな山を登っている。持てる荷物には個人差があって、たくさん持てる人もいれば、少ししか持てない人がいるかもしれない。今日はさくさく歩けたけれど、苦手な道に差し掛かったら歩く速度が遅れてしまうかもしれない。今日助けてもらったのなら、今度は自分が助けられるようにすればいい。ずっと助けられてばっかりだなと思うかもしれないけれど、いつか絶対に返せる日がくる。今自分にできることを精いっぱいやってみんなで山をこえようね。

そんなことをメンバー全員に共有し続けました。

雑談の出来るチームを

何だかよくわからないけど、一週間以上休んでいるメンバーがいて、その穴埋めのために残業してくださいって言われたら誰だって釈然としないですよね。Aさんに限らず、大なり小なり、誰もがいろいろな事情をもって働いています。今は大丈夫でも、ある日急に困ったことになるかもしれない。そんなときに、すぐチームメンバーに「助けて」と言えるように、雑談ができるチーム作りを心がけました。

「自己開示の範囲が相手の自己開示の限界」と言われるように、相手のことを知ろうと思ったらまず自分の情報をオープンにする必要があります。朝の業務開始前にみんなに声をかけたり、三時のおやつタイムにお菓子を配ったり。外国籍のメンバーにワンポイントの語学レッスンをお願いしたり。一日中端末に向かって作業をするのではなく、「雑談してもいいんだ!」と思えるチームを目指しました。

感謝の気持を伝える

一人一人を尊重してみんながいてくれることに感謝する

あるパートナーさんからこんなことを言われたことがあります。「前職のマネージャーさんは、私が何をやっても仕事なんだから当たり前でしょ?という顔で、一度も目を見てありがとうといわれたことがない。ここにきて、ありがとうって言われて、本当に嬉しかった。自分が役にたってるんだなって思った」

このときに「ありがとう」がどれほどコミュニケーションをとる上で大切なのかを改めて実感しました。

チーム全体でリカバリーすることになっているのだから、休んでいるメンバーの穴を埋めるのは当然でしょうか。

プロジェクトをきちんとまわしていけるのは、みんなが助けてくれるから。お願いしたことを引き受けてくれるから。ミスしてもカバーしてくれるから。誰かの穴を誰かが埋めてくれるから。それを忘れず、「ありがとう」を伝え続けることが、チームのみんなに気持ちよく働いてもらうための一番のポイントではないかと思います。

おわりに

チームマネジメントの1つの例になれば幸いです。

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