0. 言い訳から...

えーと、Unity Advent Calendar 2023 シリーズ2の9日目です...全然タイムアウトぉお！！

なかなか書くネタが思いつかず、こんなに遅れてしまいましたが、まぁインターネットのどこかには落ちておいてほしい検証記事を今年も投稿しようと思います。

余談ですが、「今年も」と言っておりますが、前年も検証記事を書いていました。
今年一年で結構な人に読まれたようで、引用とかもしていただいたみたいです。
ありがとうございますm(__)m

1. 本題

さて、この記事の本題は、Unityで使用できる算術関連クラスのパフォーマンス比較です。

UnityEngineには標準で Mathf クラスが搭載されており、幅広く使用されているかと思いますが、C#のSystem名前空間にも標準で、Math クラスが提供されています。

この二つは無関係な代物ではなく、UnityEngine.Mathf には単純に System.Math のメソッドをラップしているだけのものがあることも知られています。

単なるラップメソッドは当然のことながら、モノホンの System.Math には勝てないでしょう。それは自明の理。

しかし、UnityEngine.Mathf クラスは、全部が全部 System.Math クラスのRapperというわけではありません。

そもそも UnityEngine.Mathf クラスにだけあって System.Math クラスにないメソッドというものもありますが、共通であるものでもラップ関係にないものもあります。

例えば、UnityEngine.Mathf.Max() メソッド。

このメソッドの定義は以下の通りです。

（引数違いで色々と定義があるので、シンプルなfloat型2つの比較のものを掲載します。）

    public static float Max(float a, float b) => (double) a > (double) b ? a : b;

わかりやすくていいですね。

まあ、見ての通り、このメソッドに関しては System.Math クラスをラップしていません。

ではどちらが速いのか...メモリに優しいのか...それを検証するのが今回の記事になります。

2.検証方法

検証方法はありきたりですが、プロファイラーを使った計測になります。

using System;
using System.Collections;
using Unity.Mathematics;
using UnityEngine;
using UnityEngine.Profiling;

public sealed class Benchmark : MonoBehaviour
{
    IEnumerator Start()
    {
        // 5秒経過したくらいから計測開始
        yield return new WaitForSeconds(5);

        Profiler.BeginSample(nameof(Mathf.Max));
        for (int i = 0; i < 10000; i++)
        {
            float result = Mathf.Max(10.5f, 11.4f);
        }
        Profiler.EndSample();

        Profiler.BeginSample(nameof(math.max));
        for (int i = 0; i < 10000; i++)
        {
            float result = math.max(10.5f, 11.4f);
        }
        Profiler.EndSample();

        Profiler.BeginSample(nameof(Math.Max));
        for (int i = 0; i < 10000; i++)
        {
            float result = Math.Max(10.5f, 11.4f);
        }
        Profiler.EndSample();

        Profiler.BeginSample(nameof(MathF.Max));
        for (int i = 0; i < 10000; i++)
        {
            float result = MathF.Max(10.5f, 11.4f);
        }
        Profiler.EndSample();
    }
}

こんな感じで、10000回実行したときのパフォーマンスを比較していきます。
Deep Profile オンでこれを実際に実行すると、以下の結果が得られます。

上の例の場合、GCアロケーションは問題なし、速度・負荷ともに Mathf.Max() の勝利！でいいと思います。
こんな感じでガリガリ検証していきたいと思います。

3. 検証結果

基本的に、Mathfベースで、他のものでそれに相当するものと比較していきます。

Unity.Mathematics.math とかは、UnityEngine.Mathf と違う用途で派生しているものなので、単純比較ができるとはそもそも考えていません。

単に、普段使いはどれがいいかな？って検証です。

3-1. Static変数

さすがに定数はGCアロケーションもアクセス速度も0ですね。

内部が public const なので、差がつくわけもなし...。

Unity.Mathematic.math.radius() は厳密にはメソッドなので定数ではないのですが、相当対象として並べておきました。

3-2. Statuc関数

こちらが本題ですね。
相対対象は自分調べなので、「該当なし」にしているものも、もしかしたらあるかもです。

個人的に驚きだったのは、int型の System.Math.Max と System.Math.Min ですね。
これは Profiler でも、System.Diagnostics.Stopwatch でも速度0みたいです。
思わず目を疑ってしまいましたが...。

4. おわりに

今回の検証で、各算術関数の内部実装が気になってきたので、また時間があるときにみてみたいと思います。
では、この記事はこの辺で...。
本年もよろしくお願いいたします。

（たぶん、テーブル頑張って設置したせいで、このページ重くなってそう...）