#前説
始めましてBoxsuiです、Twitterも同じ名前でやっています
普段は大学で史跡の復元VRなんかを作ったりしています
Qiitaの投稿もHoudiniも初めてですが、何か記録を残したいと思い参加させていただきます
技術文書っぽいもの書きなれてないので何かあったら教えていただけると嬉しいです
利用したのはもちろんApprentice版ですバージョンは18.0.0348
#Houdiniに触れるまで
今年の初めから案件でお寺をVR用に作る必要があり、それはもう建築技法から歴史だの発掘資料だのを読んで勉強する日々が続いておりました。
実際の制作は普段から利用しているblenderを用いたポリゴンモデリングで行っており、この案件自体はHoudiniは使わずblenderで完結させる予定なのですが、作業には大変な苦労が付いて回ります
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1尺貫法を用いなければならない
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単純にパーツ数が多い
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修正作業と歴史考証作業
大きいものはこの三つです
この辺りが一人でお寺をゴリゴリ建てようと思うと立ちはだかる厄介な要素になります
あとシンプルに大変なのであーあ自動でできないかなと思いHoudiniを調べ始めました
##Houdiniと出会って
CG屋さんの集まるDiscordサーバでHoudiniの話題になり瓦葺きの効率化について話していたらHoudini使いの方が「Copy to point」という素敵なnodeがあると聞いてちょっとチュートリアルやっては放置してきたHoudiniをまた触ることにしました
難しいソフトというイメージが先行しがちなHoudiniでしたが、難しいことをしなければ難しくないことはちゃんとできる堅牢なソフトでした
堅牢なと書いたのはそのデータ構造に感じたことで3Dビューで頂点を動かすとEditnodeが追加されて履歴がちゃんと残る様は感動と同時に恐怖をかんじました
そんなことはさておき、早速お寺の作例をやってみようということで、できたのがここまで(11/16)
#Houdini感動ポイント
###尺貫法が履歴残る(ここ最重要)
これすごく感動しました!!何をそんなことって思うかたいらっしゃるかもしれないですが、式がそのまま残るのでミスに気が付きやすくまた、図面にある数値をそのまま利用することができるのです
blenderでも直接数式を入力して一尺である30.3cmを図面の数値ごとに掛け算させることができるのですが、履歴が残るわけでは無いのです
CADを使えば?という意見もあるかもしれないです、がそこはなんかポリシーでblender使ってましたいいCADあったら教えてください
###Copy to point ドンピシャ
こうやれば自動で作れるけどなぁ~なんてことを考えていたものが当然のように実装されていました
Houdiniのデータ構造にpointというものがあり普段blenderなどで触っているvertexと同じ認識で扱えるようです
blenderではヘアーパーティクルなどで似たような機能を使うことがありましたが、これはすごく挙動がきれいで素敵な機能でした
Gridのpointの位置に豚の頭を置くという処理をしてくれています本来は気を並べたりに利用するらしいですが、主にはこちらを用いてお寺を作っていきました。
https://youtu.be/K2KrJQ9nLsk
詳細はこの動画が公式から出ていて詳しくて分かりやすかったです
###Booleanめっちゃ綺麗
社寺建築には組み物が付きものなので汎用的に使える斗を作りそこから数値を変えることでバリアブルな組み物が作れると制作スピードが格段に上がります
初心者でもmirrorとbridgeとbevelを活用することでこのような肘木を作ることができました
構造的には左右対称なのですがBooleanでしっかり無駄なデータを削っていく必要があります
これはmirrorをかけた後にブールしたものですが、本当にきれいに統合されています。ほかのソフトだって!もちろんできるのですが、その手間のなさ、結果の綺麗さなどに感動しました、堅牢なHoudiniの真価だと感じます
##自動化できそう?
このままワクワクとHoudiniで数値を入力しながらモデリングしていっても堅牢なデータ構造のお寺を作っていくことができそうなのですが、どうせなら同じ建築様式であれば数値の変更で対応ができる自動生成の仕組みを作っていきたい!と思ったのですがそうは問屋が卸してはくれませんでした。
###pointが変わってしまう
Copy to pointを用いて柱を生成しその上に大斗→肘木...と組み物が続いていくのですが、四つ角の組み物は他とは違う形状の組み物が乗るのです
なのでベースに使っているGridの分割数を変えてしまうと角に指定したpoint番号が変わってしまい狙った場所に狙ったobjectを置くことができずにいます。
さらに丸桁という垂木を支えるパーツを支える肘木がGridの範囲を超えた位置に発生します、この位置にobjectを生成するのは3日では難しかったです
理想は階層の数や柱の間隔、柱の高さなどを可変にできたら金堂や塔などにも使えそうだなと考えています
取り回し的には金堂や塔は別の者にした方がよい気もしますが技術的には同じものが使えると思います
そして屋根の角の反り、軒反りに関しても自動で反り具合をスライダや数値で調整できるように出来ると面白いかなと思います
###これから
冷静になるとまだ三日くらいなのでとりあえず、一度手を止めてチュートリアルをこなしてHoudiniとしての知識を深めようと思います。
1個のnodeから発展して知っている機能だけを用いてここまでこれたのは1年以上社寺建築について学んでblenderで作ってきたからできたのだと思います。
ですが今のままでは知識をHoudiniで組み上げていくには知らない機能が多すぎるので学習する時間を設けたいと思いました。
Houdiniは公式のチュートリアルがしっかりまとまっていてとてもいいですね、ドキュメントの日本語化もとても読みやすくて素敵です
ここで翻訳などに尽力された方に感謝を述べるとともに良好なスタートダッシュを切ってしっかり勉強していきたいと思います
###進捗11/19
とりあえず増やしたり減らしたりは出来ましたがやっぱり角の処理が思いつかないですね
オォーオホホ
— ぼくすい (@Boxsui) November 18, 2020
でも隅の組み物の処理が思いつかない pic.twitter.com/V29m4vQ6OA
##まとめ
Houdiniは怖くない
ちゃんと履歴が残るのはモデリングに置いて神
尺貫法が使いやすい(諸説ある)
自動化は”まだ”難しい
先駆者の方がいました
空き時間にこちらの素晴らしいHoudini本を参考に日本建築のプロシージャルモデリングを始めたのですが楽しすぎてプロシージャルじゃないモデリングはもはややりたく無くなった(いや仕事はします)。 https://t.co/rpCdsdLVcr pic.twitter.com/jWRHsTTIK5
— 榊原寛 (@SakakibaraEnv) November 17, 2020
ただいま同じ本を買って学習中です、技術的に不可能じゃないということが分かるだけでモチベーションは違いますね
あとipad pro買ったのですが、学習において結構便利でした、ノードを絵で書いてみて思案できるのは直感的でどこでもできて楽しいです
今後このネタを発展させて修論を書く予定なのですが、課程を全部書いてしまうのもあまりよくないので進展の報告はまだ未定ですが、必ず完成させたいと思います
難しいと思っていたのは勘違いでとても魅力的なソフトであると知れただけで大きな収穫でした
初めての投稿でつたない部分もあると思いますが、以上になります