はじめに
今日の日本において人口の減少や少子高齢化は重大な問題としてインターネットやテレビで取り上げられる機会も多いと思います。しかし、実際に生活しているだけでは、人口の減少や少子高齢化を実感することは少ないのではないでしょうか。そこで今回は未来人口(将来推計人口)のデータを使用して2045年に人口がどのように変化しているかGoogle Mapで見てみることにします。
未来人口(将来推計人口)データとは
国立社会保障・人口問題研究所が「コーホート要因法」で推計した将来推計人口をベースにした2020年から2045年までの「人口データ」。これから労働力となる可能性があるシニア女性や19歳以下の人口なども可視化でき、将来を見据えた出店計画やマーケティングに役立てることができます。
今回はマップマーケティング株式会社のTerraMap APIの未来人口データを使用します。
最新のデータは2050年の「人口データ」までありますが、手元にあるのがひとつ前のバージョンのため、2045年までの「人口データ」で見ていきます。
Google Mapについて
Maps JavaScript APIを使用します。
基本的な使用方法や今回作成したコードは以下の記事を参考にしました。
未来の人口減少を確認するためのソースコード
function initMap() {
// 中心位置
const centerLocation = { lat: 35.6727, lng: 139.662 };
const map = new google.maps.Map(document.getElementById("map"), {
zoom: 15,
center: centerLocation,
});
const drawingManager = new google.maps.drawing.DrawingManager({
drawingControl: true,
drawingControlOptions: {
position: google.maps.ControlPosition.TOP_CENTER,
drawingModes: [google.maps.drawing.OverlayType.CIRCLE],
},
circleOptions: {
fillColor: "#E3E0AD2D",
fillOpacity: 1,
strokeWeight: 5,
clickable: false,
editable: true,
zIndex: 1,
},
});
drawingManager.setMap(map);
google.maps.event.addListener(drawingManager, "circlecomplete", (circle) => {
const latitude = circle.getCenter().lat();
const longitude = circle.getCenter().lng();
const circleRadius = circle.getRadius();
const params = {
// 渡したいパラメータをJSON形式で書く
lat: latitude,
lng: longitude,
radius: circleRadius,
};
const queryParams = new URLSearchParams(params);
// TerraMap APIからデータを取得するサーバーサイドのプログラムにリクエストする
fetch(`http://localhost:8000/?${queryParams}`, {
method: "GET",
})
.then((response) => response.json())
.then((data) => {
map.data.addGeoJson(data);
})
.catch((error) => {
console.log(error);
});
});
map.data.setStyle((feature) => {
if (feature.getGeometry().getType() === "MultiPolygon") {
// 2020年の人口総数
const totalPopulation2020 = feature.getProperty("data")[0].value;
// 2045年の人口総数
const totalPopulation2045 = feature.getProperty("data")[1].value;
// 2045年の人口減少率
const populationDeclineRate =
((totalPopulation2020 - totalPopulation2045) / totalPopulation2020) *
100;
if (populationDeclineRate > 20) {
return {
fillColor: "#d7352b",
fillOpacity: 0.5,
strokeWeight: 1,
};
}
if (populationDeclineRate > 15) {
return {
fillColor: "#ffa746",
fillOpacity: 0.5,
strokeWeight: 1,
};
}
if (populationDeclineRate > 10) {
return {
fillColor: "#ffd976",
fillOpacity: 0.5,
strokeWeight: 1,
};
}
if (populationDeclineRate > 5) {
return {
fillColor: "#92c7ff",
fillOpacity: 0.5,
strokeWeight: 1,
};
}
if (populationDeclineRate > 0) {
return {
fillColor: "#5b97ee",
fillOpacity: 0.5,
strokeWeight: 1,
};
}
if (populationDeclineRate < 0) {
return {
fillColor: "#0855c4",
fillOpacity: 0.5,
strokeWeight: 1,
};
}
}
return null;
});
}
window.initMap = initMap;
Google Mapを使用して未来の人口減少について見てみる
東京23区
市区町村レベルで2020年から2045年の人口減少率を東京の23区辺りを円で指定してGoogle Mapで見てみます。
色が青いほど人口減少率が低く、赤いほど人口減少率が高くなるように色付けしました。もっとも濃い青色は人口減少率0%以下に設定し、赤色は20%以上に設定しています。
2020年から2045年の人口減少率は以下のように算出しました。
2045年の人口減少率 = (2020年の人口総数 - 2045年の人口総数) ÷ 2020年の人口総数 × 100
東京23区は赤く塗られているところは存在しませんでした。黄色く塗られている足立区が2020年と比較して10%以上の人口減となっていますが、ほとんど市区町村が人口増、もしくは僅かな人口減となっていることがわかります。
横浜市と川崎市
次に神奈川県の横浜市、川崎市周辺の2020年から2045年の人口減少率がどのようになっているか見てみようと思います。
川崎市は人口の減少が少なく青く塗られているところが多いですが、横浜市は黄色やオレンジに塗られているところが多く、港南区、栄区、金沢区は赤く塗られています。
横浜市と川崎市は政令指定都市であるため、区ごとに分かれるようになっています。
その他の地域
都心から離れた四国などでは、赤く塗られているところがほとんどでした。
徳島県美馬郡つるぎ町は、2020年には約7554人であった人口が2045年には約2937人となる見込みで、減少率60%以上となります。
地方でも市区町村によっては青く塗られている地域がありましたが、都心と比較して人口減少率が高い傾向であることがわかります。
Google Mapを使用して未来の高齢者人口割合の変化を見てみる
2020年の高齢者人口割合
まずは市区町村レベルで東京23区辺りを円で指定して2020年の高齢者割合を見てみます。
高齢者は世界保健機関(WHO)と同じ基準である65歳と定義することにします。
色が青いほどが高齢者人口割合が低く、赤いほど高齢者人口割合が高くなるように色付けしました。
最も濃い青色は10%以下の割合、赤色は30%以上を指定しています。
2020年の高齢者人口割合は以下のように算出しました。
2020年の高齢者人口割合 = (2020年の高齢者人口数 / 2020年の人口総数) × 100
2045年の高齢者人口割合
次に市区町村レベルで東京23区辺りを円で指定して2045年の高齢者割合を見てみます。
先ほどと同じように色が青いほどが高齢者人口割合が低く、赤いほど高齢者人口割合が高くなるように色付けしました。
2045年の高齢者人口割合は以下のように算出しました。
2045年の高齢者人口割合 = (2045年の高齢者人口数 / 2045年の人口総数) × 100
2020年と比較して高齢者の割合が増えていることが一目でわかります。
世田谷区や杉並区、足立区等で高齢者の割合が30%を超えています。
おわりに
未来人口データを地図に表示して見てみることで、日本ではこれから人口が減っていく、また高齢者の割合が増えていくことが改めてわかりました。そして地方の方が都心よりも人口減と高齢化が進む見込みとなっています。少子高齢化の少子化部分については見ませんでしたが、15歳未満の人口や0-4歳、5-9歳の人口等のデータを指定することで確認することができます。また今回は、市区町村レベルでデータを見てみましたが、都道府県や大字、町丁目といったレベルでも未来人口のデータを見ることが可能です。また、性別ごとにデータを見ることもできます。様々な条件を指定して未来人口のデータを可視化することで出店計画やマーケティングにも活用できそうだと感じました。