Raspberry Piは開発しやすい一方でいざ商業利用をしようとして行き詰ってしまうことがあります。RaspberryPiを産業用途で使用する場合の課題がトランジスタ技術2017年7月号「My IoT製作用PCプラモデルの開発」というタイトルで掲載されたこともあります。
##ラズベリーパイの課題
・マイクロSDカードの耐久性
・CPUの発熱
・強制的な電源シャットダウン時の対処
・電源電圧降下
・カレンダ・クロック(リアルタイムクロック)なし
・絶縁されていない
BHシリーズでは、上記の課題を解決し工業試験場にて耐環境チェックまで行っています。ではBHではどのような対策をしているか!その中身を探ってみます!
【ビズライト・テクノロジー社製BH3】 |
##BH3の主な特徴
・RaspberryPiを独自基板に接続し、鉄製ケースに収納している。
・独自の電源回路で5Vを安定供給(マイクロUSBは使わず直接ピンヘッダ経由で供給している。付属ACアダプタは7.5V3A)
・電気二重層コンデンサ(BH2/BH3)または乾電池(BH2Lite)を実装し、電源断を検知した際に電源が切り替わる。
・RTC実装
・適切なグランド処理にて耐ノイズ性能向上(フレームグランド)
・熱伝導シートとパイプにてCPUの発熱をケースへ排熱
・電源スイッチ実装
・セットアップツールの無償利用
##RaspberryPiを産業利用するための具体策
####マイクロSDカードの耐久性、強制的な電源シャットダウン
トラ技の中では、書き込み回数からの視点で掲載されておりましたが、価格のひどく安い製品を使わない限り、マイクロSDカードが壊れる主要因は、強制的な電源シャットダウンです。
BHでは、独自の電源回路を設計しており、電源断もしくは電源スイッチがOFFになるとOSレベルで割り込みが入ってくるようになっています。
割り込みを検知すると独自にチューニングしたシャットダウンシーケンスが稼働し、任意のプログラムが実行できるようになっています。 その間の稼働は電気二重層コンデンサもしくは乾電池となります。(20秒ー30秒程度の稼働が可能)任意のプログラムにて、ファイルクローズ処理や異常を知らせるメール送信などの処理を行い、正常にシャットダウンすることで、SDカードの破損を防ぐことができます。
なお、何も処理をしない場合は3-5秒程度でシャットダウンされるようになっています。
CPUから熱伝導シートとピラーを経由して ケースへ排熱しています。
####電源電圧降下対策
独自の電源回路にて5Vを安定供給(マイクロUSBは使わず直接ピンヘッダ経由で供給しています。 )
####カレンダ・クロック(リアルタイムクロック)
超高精度I²C内蔵RTC(DS3231)を採用し、ボタン電池と共に実装。(写真参照)
####絶縁処理
適切なグランド処理を行い、フレームグランドとなっています。
####工業試験場での評価結果
・0℃、50℃ 恒温槽24時間動作試験
・静電気接触 8KV試験
・静電気放電 15KV試験
・雷サージ ACラインに1KV試験
・VCCI Class B同等試験
・電源ポート伝導妨害波試験
・IEC61000-4-3 放射イミュニティ 10Vm
####採用例
・太陽光発電システムのコントローラー
・工事現場での既存設備からのデータ収集とクラウド環境へのアップロード用コントローラー
・工事現場でのセンサ制御コントローラー
・河川監視カメラのコントローラー
・生産ライン稼働チェック
・ネットワーク不正侵入感知システム
・オーディオコントローラー
・デジタルサイネージプレーヤー
・FA
(実績ベースの不良率:0.001%)
産業用Raspberry PiとしてBHシリーズは強い味方になりそうだ!