Virtuozzo Hybrid Infrastructure(VHI)は、KVMベースの仮想化・ソフトウェア定義ストレージ・SDN・マルチテナント対応のクラウド管理機能を統合したHCIプラットフォームです。VMwareのリプレイス先として注目されつつあります。
この記事では、CPUとメモリーのサイジング設計と、高可用性(HA)やシステム保留を考慮した設計指針を解説します。
最小ノード構成の目安
利用目的 | 最小構成 | 解説 |
---|---|---|
本番・検証環境 | 3台以上 | 3ノード以上で管理サービス + ストレージ/コンピュート構成 |
テスト | 1台 | HAなし、機能確認のみ |
CPUのサイジング
- サポートCPU:IntelまたはAMD(x86_64)
- 推奨構成:クラスタ全体で同一世代のCPUを使用
- オーバーコミット比率:デフォルト 1:8(エンタープライズは1:4)
- ライブマイグレーション対応:同世代CPU + 適切なCPUモデル設定で可能
メモリーのサイジング
- 目安:1ノードあたり128GB〜512GB
- オーバーコミット比率:余程の要望がないかぎり、しなくてもOK。必要であれば1:1.2ぐらい
システム保留
- メモリとCPUに関してシステム保留の部分もありますので、それを考慮しておく必要がある。詳細はこちらの表を参考にしてください。
https://docs.virtuozzo.com/ja-jp/virtuozzo_hybrid_infrastructure_7_0_admins_guide/index.html#general-requirements.html
高可用性(HA)とノード保留の考慮
-
N(サーバー台数)+1台分のノードを常に保留(maintenance)として確保するのがおすすめしているが、必須ではない
-
ノード障害時やメンテナンスモード時にVMを安全に再配置できるよう、
クラスタ全体リソースの60〜70%までの使用に抑える設計が推奨されます -
例えば、6ノード構成で合計240コア / 1536GB RAMがある場合:
- VMで使用するのは最大でも 168コア / 1075GB RAM 程度が安全ライン(システム保留考慮していない)
-
これにより、1ノード停止時にもリソースが逼迫せず、HA自動再配置やライブマイグレーションが可能になります
サイジング例
前提条件
- VM数:200台(各VM:2 vCPU / 4GB vRAM)
- 合計VMリソース:
- vCPU:400 vCPU
- vRAM:800GB
オーバーコミット設定
- CPU:1:4(物理1コアあたり4 vCPU)
- メモリ:1:1(オーバーコミットなし)
使用率を70%に制限(再配置対応のため)
→ 各ノードに対し30%の空きリソースを確保
→ 実使用可能リソース = クラスタ全体リソース × 0.7
必要なクラスタ全体リソース
vCPU側:
- 400 vCPU ÷ 4 = 100物理コア必要
- 100 ÷ 0.7 = 143コア相当のクラスタが必要
メモリ側:
- 800GB ÷ 0.7 = 1143GB RAM相当のクラスタが必要
ノード構成(HA + 保留ノード含まない)
- CPU:143コア ÷ 5 = 29コア以上/ノード
- RAM:1143GB ÷ 5 = 約229GB以上/ノード
→ 実用的な構成案:
項目 | 内容 |
---|---|
ノード数 | 5ノード(全ノード稼働) |
CPU | 各ノード 2 x Xeon Gold(計32コア以上) |
RAM | 各ノード 256GB以上 |
利用可能リソース(70%使用時)
- vCPU:32 × 5 × 0.7 × 4 = 448 vCPU(≧ 400)
- RAM:256 × 5 × 0.7 = **896GB(≧ 800)
→ 200 VM(2vCPU / 4GB RAM)を余裕で配置可能
ポイント
- ノード障害時でも残り4ノードにVM再配置可能(HA対応)
- 保留ノードを設けずに、全体に30%の空きを分散保持
- 5ノード構成のまま高可用性を実現可能
ノード構成(HA + 保留ノード含む)
項目 | 内容 |
---|---|
ノード数 | 6ノード(5稼働 + 1保留) |
1ノード構成 | 2 x Xeon Gold(合計112スレッド) RAM 256〜384GB |
→ 合計で 112コア / 1536〜2304GB RAM構成により、 最大70%までの使用
関連リンク
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公式ドキュメント:
https://docs.virtuozzo.com/virtuozzo_hybrid_infrastructure_6_3_admins_guide/ -
ハードウェア互換性(RHEL 9):
https://catalog.redhat.com/hardware/search?p=1&certified_versions=Red%20Hat%20Enterprise%20Linux%209
まとめ
Virtuozzo Hybrid Infrastructureでは、適切なオーバーコミット設定とHA設計によって、高集約で安定した仮想インフラを構築できます。ノードの保留設計を取り入れることで、システムメンテナンス中も業務継続が可能です。
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