近年、生成AIの発展に伴い、**RAG(Retrieval-Augmented Generation)**が注目を集めています。RAGは、**検索(Retrieval)と生成(Generation)**を組み合わせた技術であり、従来のLLM(大規模言語モデル)の課題を克服し、より正確で文脈に沿った応答を生成することが可能になります。
本記事では、RAGの基本概念、実際の実装方法、そして応用事例について詳しく解説します。
1. RAGとは?
1.1. RAGの仕組み
RAGは、以下の2つの主要なプロセスを組み合わせたアーキテクチャです。
- 検索(Retrieval): 外部のデータソース(データベース、ベクトルストア、ドキュメントなど)から関連情報を検索
- 生成(Generation): 検索した情報を活用し、LLMが適切な応答を生成
従来のLLMは、トレーニング済みのデータに基づいて応答を生成するため、新しい情報を反映するのが困難でした。一方、RAGを活用することで、最新のデータを動的に取得し、より正確な回答を提供できます。
1.2. RAGのメリット
- 正確性の向上: LLM単体よりも事実ベースの回答が可能
- 情報のアップデート: 外部データを活用するため、モデルを再学習せずに新しい情報を取り入れられる
- 計算コストの削減: モデル自体を大きくする必要がなく、軽量なままで高性能を実現
2. RAGの実装方法
ここでは、LangChainと**FAISS(Facebook AI Similarity Search)**を用いたRAGの基本的な実装を紹介します。
2.1. 必要なライブラリのインストール
まず、Python環境に必要なライブラリをインストールします。
pip install langchain openai faiss-cpu tiktoken
2.2. データのインデックス化(Retrieval)
FAISSを利用して、テキストデータをベクトル化し、検索可能なインデックスを作成します。
from langchain.vectorstores import FAISS
from langchain.embeddings.openai import OpenAIEmbeddings
# OpenAIのAPIキーを設定
import os
os.environ["OPENAI_API_KEY"] = "your-api-key"
# 例となるドキュメント
documents = [
"RAGは検索と生成を組み合わせたAI技術です。",
"FAISSは高速なベクトル検索を提供します。",
"LangChainはRAGを簡単に実装できるライブラリです。"
]
# テキストのベクトル化
embeddings = OpenAIEmbeddings()
vector_store = FAISS.from_texts(documents, embeddings)
2.3. RAGによる応答生成(Generation)
次に、検索結果を活用して、GPTを使った応答生成を行います。
from langchain.chains import RetrievalQA
from langchain.llms import OpenAI
# 検索機能を組み込んだRAGモデルの作成
rag_chain = RetrievalQA.from_chain_type(
llm=OpenAI(),
chain_type="stuff",
retriever=vector_store.as_retriever()
)
# クエリを入力し、回答を取得
query = "RAGとは何ですか?"
response = rag_chain.run(query)
print(response)
このコードを実行すると、FAISSが適切な情報を検索し、それをもとにGPTが回答を生成します。
3. RAGの応用事例
RAGはさまざまな分野で活用されています。
3.1. カスタマーサポート
企業のFAQやサポートデータを活用し、ユーザーの問い合わせに対して正確な回答を提供できます。
3.2. 医療・法律分野
専門的なドキュメントや論文を検索し、エビデンスベースの回答を生成することで、専門家の支援が可能になります。
3.3. コード補完・ドキュメント検索
ソフトウェア開発において、コードのリファレンスやドキュメントを検索し、適切なサンプルコードを提示するAIアシスタントの構築が可能です。
4. まとめ
本記事では、RAG(Retrieval-Augmented Generation)の概念から実装方法、活用事例までを詳しく解説しました。
✅ RAGは検索と生成を組み合わせた技術であり、LLMの精度を向上させる
✅ LangChainとFAISSを活用すれば、簡単にRAGを実装できる
✅ RAGはカスタマーサポート、医療、法律、ソフトウェア開発など幅広い分野で活用可能
RAGを活用したAI開発に興味がある方は、ぜひ試してみてください!
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