はじめに
電子商取引(e-commerce)ウェブサイトの構築が完了したら、いよいよ公開の段階です。しかし、公開後もパフォーマンス分析を行い、継続的な改善が必要です。この第7部では、e-commerceウェブサイトを正式に公開し、トラフィック、売上、ユーザー行動を分析する方法を解説します。WordPressおよびWooCommerceを使った具体的な手順とコードスニペットを提供し、初心者でもサイトを効果的に運用できるようにします。公開前テスト、ホスティング、分析ツールを中心に、安定した運用を始めましょう。
公開前の準備
ウェブサイトを公開する前に、以下のチェックリストを確認して問題を防ぎます:
- 機能テスト: 商品ページ、カート、決済が正しく動作するか。
- レスポンシブテスト: モバイルとデスクトップでの表示を確認。
- セキュリティチェック: SSL、バックアップ、ファイアウォールが有効か。
- SEO設定: メタタグ、キーワード、インデックス設定を確認。
- コンテンツ確認: ポリシーページ、商品説明、画像が完全か。
以下のテストスクリプトで自動チェックを一部行えます:
# 基本的な機能テスト(手動確認の補助)
1. WordPressダッシュボードで「WooCommerce」→「ステータス」を確認
2. システムエラーや警告がないかチェック
3. テスト注文を作成:
- 商品をカートに追加
- テスト決済(Stripeテストカード:4242 4242 4242 4242)
- 注文確認メールを受信
4. モバイルデバイスでサイトを閲覧(例:Chrome DevToolsのモバイルビュー)
ホスティングと公開
WordPressサイトを公開するには、信頼性の高いホスティングを選ぶことが重要です。SiteGroundは、WooCommerceに最適化されたホスティングとして推奨されます。
1. ホスティングの設定
SiteGroundでの公開手順:
# SiteGroundでのサイト公開
1. SiteGroundアカウントにログイン
2. 「Websites」→「Site Tools」→「WordPress」→「Install & Manage」
3. 既存のWordPressインストールを選択
4. ドメインを割り当て(例:yourstore.com)
5. 「SSL Manager」でSSL証明書を確認
6. 「Speed Optimizer」でキャッシュ設定を有効化
キャッシュ設定例(SiteGround):
# SiteGround Speed Optimizer設定
- Static Cache: Enabled
- Dynamic Cache: Enabled
- Memcached: Enabled
- Image Optimization: Enabled
2. DNS設定と公開
ドメインをホスティングに接続し、サイトを公開:
# DNS設定
1. ドメインプロバイダ(例:お名前.com)にログイン
2. DNSレコードを更新:
- Aレコード: SiteGroundのIPアドレス(例:192.0.2.1)
- CNAME: www.yourstore.com → yourstore.com
3. 反映まで24~48時間待つ
4. ブラウザで「https://yourstore.com」を確認
公開後、Google Search Consoleでサイトを登録:
# Google Search Console設定
1. Google Search Consoleにアクセス
2. プロパティを追加(URLプレフィックス: https://yourstore.com)
3. DNSレコードで所有権を確認(TXTレコードを追加)
4. サイトマップを送信(例:/sitemap.xml)
Yoast SEOでサイトマップを生成:
# サイトマップの有効化
1. 「Yoast SEO」→「一般」→「機能」
2. 「XMLサイトマップ」を有効化
3. サイトマップURL(例:https://yourstore.com/sitemap.xml)を確認
4. Google Search Consoleに送信
パフォーマンス分析
サイト公開後、Google AnalyticsとWooCommerceレポートを使ってパフォーマンスを追跡します。
1. Google Analyticsの設定
Google Analyticsでトラフィックとコンバージョンを分析:
# Google Analyticsの設定(MonsterInsights使用)
1. 「プラグイン」→「新規追加」で「MonsterInsights」を検索
2. 「インストール」→「有効化」
3. Google AnalyticsアカウントでトラッキングID(例:UA-XXXXX-X)を取得
4. MonsterInsights設定でトラッキングIDを入力
5. 「E-commerceトラッキング」を有効化
分析項目例:
# Google Analyticsで追跡する指標
- 訪問者数: サイト全体のトラフィック
- 直帰率: 1ページで離脱する割合
- コンバージョン率: 購入完了した訪問者の割合
- 人気商品: 最も閲覧/購入された商品
2. WooCommerceレポート
WooCommerceの内蔵レポートで売上と注文を分析:
# WooCommerceレポートの確認
1. 「WooCommerce」→「レポート」をクリック
2. 以下のタブを確認:
- 注文: 売上総額、注文数
- 商品: 売れ筋商品、売上貢献度
- カテゴリ: カテゴリごとの売上
3. 期間を指定(例:過去30日間)
レポート例:
# サンプルレポート(ダッシュボード内)
- 売上総額: ¥150,000(30日間)
- 注文数: 45件
- トップ商品: メンズ黒Tシャツ(20件)
- 平均注文額: ¥3,333
3. ユーザー行動の分析
ヒートマップツール(例:Hotjar)でユーザー行動を把握:
# Hotjarのインストール
1. Hotjarアカウントを作成
2. 「プラグイン」→「新規追加」で「Hotjar for WordPress」を検索
3. 「インストール」→「有効化」
4. HotjarサイトIDを入力
5. ヒートマップとセッション録画を設定
ヒートマップ分析例:
# Hotjar分析のポイント
- クリック集中エリア: 「カートに追加」ボタンの利用率
- スクロール深度: 商品説明のどの部分まで読まれているか
- 離脱ポイント: チェックアウトページでの離脱率
サイトのメンテナンス
公開後の安定運用には、定期的なメンテナンスが必要です:
- アップデート: WordPress、テーマ、プラグインを最新に保つ。
- バックアップ: UpdraftPlusで週1回のバックアップ。
- エラーモニタリング: Wordfenceでセキュリティ警告を確認。
アップデート手順:
# アップデートの実行
1. 「ダッシュボード」→「更新」をクリック
2. WordPressコア、テーマ、プラグインの更新を選択
3. 更新前にUpdraftPlusでバックアップを実行
4. 更新後、サイトの動作を確認
バックアップ設定例(UpdraftPlus):
# UpdraftPlus設定(再掲)
- Files Backup Schedule: Weekly
- Database Backup Schedule: Daily
- Storage: Google Drive
- Retain Backups: 4 weeks
改善のためのアクション
分析結果に基づいて改善を行います:
- 低いコンバージョン率: チェックアウトフォームを簡略化。
- 高い直帰率: ページ読み込み速度を改善(WP Rocket設定を調整)。
- 人気商品の欠品: 在庫を補充し、通知を設定。
通知設定例:
# 在庫通知の設定
1. 「WooCommerce」→「設定」→「商品」→「在庫」
2. 「在庫が少ない閾値」を5に設定
3. 「在庫切れ通知」を有効化
マーケティングとの連携
公開後、マーケティングを継続的に実施:
- メールキャンペーン: 新商品やセールをMailchimpで通知。
- SNS投稿: Instagramで新商品を宣伝。
- クーポン: 初回購入者向けクーポンを提供(例:FIRST10で10%オフ)。
クーポン設定例:
# クーポン設定
- コード: FIRST10
- 割引タイプ: パーセント割引
- クーポン額: 10%
- 有効期限: 2025-12-31
まとめ
この第7部では、e-commerceウェブサイトの公開とパフォーマンス分析について、WooCommerceを使った実践的な手順を解説しました。SiteGround、Google Analytics、WooCommerceレポートを活用することで、サイトの運用と改善が可能です。次の第8部では、拡張戦略とシリーズの総括を行います。
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