変化が早く、研究成果数のインフレ状態に対応しながら、海外と戦っていくための、研究業務のDXが必要です。
以下、使って便利だと思ったクラウドサービスとその感想です。すべて課金しての利用です。今後も使い続けます。
高くてもせいぜい年間1~2万円程度ですので、お試しあれ。
Gmail (+ Google Drive)
- メールで多くのOfficeファイルをやりとりしているため、5年、10年経つと、無料利用では容量が足りません。昔は、少しずつデータを消して容量を明けたりしていましたが、一度課金し始めたら、その作業が完全になくなり時間を有効活用できるようになりました。
- 若手教員は同じ研究機関などにずっと所属することはほぼなくなりました。海外に出ても、一生使えるメールアドレスとしてGmailをメインで使って下さい。所属機関が発行するE-mailに届くものはGmailに飛ばし、Gmailから所属機関メールとして送ります。過去のEmailのコピーやバックアップ作業から解放されます。
- ノートPCを買い換えるごとにわざわざ過去のメールをコピーしたりする必要はありません。いったい何度この作業をやりましたか?
- 昔はフリーメールはセキュリティの問題が言われていましたが、今では一転して、研究室や学部・学科で自前でメールサーバーを持っている方がセキュリティ上のリスクが高くなっています。セキュリティのゆるいWebサーバーからランサムアタックを受けて、ネットワークにつながっているPCのデータがすべて吹っ飛ぶリスクがあります(経験済み)。
Dropbox
- 課金すると1TBまで自由に使え、その快適さはやめられません。外付けハードディスクにバックアップをしてもいつか壊れます。USBの規格も形状も変わっていきます。これからは、情報保護の観点からハードディスクを捨てるのにもお金がかかり、苦労します。一体、何台使ってもいない古いハードディスクを持っているのか、わかりません。
- 大学などの研究機関ではMicrosoftのoneDriveやGoogle Driveを使えるようにしてくれています。でも、所属機関を移動したら使えなくなります。外付けHDを買ってコピーし、新天地で再度アップロードをし直す。コピーの手間が増えます。しかも、引っ越しで忙しいときに・・・。自腹を切っておいた方が良いです。
- 機密情報にはパスワードつけることが求められているのでご注意を。リスクと利便性を天秤にかけて覚悟をもってアップロードします。むしろ、危ない書類は持たないように工夫します。大事なものは事務方が必ず紙媒体で保管しています。
Overleaf(オンラインLaTeX)
- 課金するとコンパイルにかかる時間制限(無料版は1分まで)がなくなります。学会要旨程度であれば、無料利用でも大丈夫なはずですが、なぜか学生がつくるLaTeX原稿はコンパイルに時間がかかるものです。(画像ファイルサイズが大きいなどが原因。)
- 課金するとDropboxと連携されますので、オンラインでなくてもローカル環境で編集できます。
- 過去のバージョンのスナップショットは定期的に残しておくと良いです。Dropboxではどのバージョンにも戻れますが、どれがよいか分からなくなります。
- 昔ながらの方法で、レポートや論文を紙に印刷して先生の部屋をノックして渡し、数日後に修正がされたものを受け取って、赤いミミズ文字を解読するのに1日を費やすという作業が、圧倒的に効率化されます。まさにDXです。
- 先生は、はじめは学生と原稿を白紙からシェアして、どんどん書き進める作業をオンラインでやってみせることができます。次の段階で、言って聞かせながら少しずつ書いてもらい、最終的に、任せるという3段構えです。オンライン時代ではなおさら便利です。こまめな修正フィードバックが可能なので、学生自身も大きな手戻りが発生しません。対面で話すときには論文の構想に時間をかけられます。
- 海外共同研究の場合は、さらに強力ですが、誰がどこをこれからどのように書き直すかについては、結局コミュニケーションが肝心です。チャット機能があり、数式もLaTeX形式で打てます。
- 自分が課金して、共同研究者と共有すれば相手は無料で使えます。そして、成果物はこちらで握ります。
- LaTeXを使ってくれない共同研究者には、少なくともWordファイルをDropboxなどでシェアさせてもらいましょう。それもできなければ、最終原稿のpdfを送ってコメントをもらいます。もし、Wordにコピーし直してメールで送ってくれと言われたら、そうしてください。相手がそれだけの価値があると判断してのことですから。
- 科研費の申請書フォームも整備されており、Overleafでもきれいにコンパイルできます。
- テンプレート検索で"科研費LaTeX"と入力すると2020年度版が見つかります。 https://www.overleaf.com/latex/templates?addsearch=%E7%A7%91%E7%A0%94%E8%B2%BBLaTeX
- 学会の要旨は、例えば: https://www.overleaf.com/latex/templates/liu-ti-li-xue-hui-nian-hui-yong-yuan-gao-tenpureto2019/hmnsnpqvyjxx
Grammarly
- スペルチェッカーです。非常に優秀です。正直言って、かなり英語の勉強になりました。
- 自分の文のクオリティがスコア化されます。80点以上のクオリティを目指しましょう。
- 赤ペン先生のチェックとほぼ同じ効果があります。三単元のsが抜けていたり、主語動詞が抜けていたり、文になっていなかったらすぐわかります。
- 誰かからメール添付されてきた原稿のスコアが30点台だったら、すぐに突き返しましょう。(使ってみればわかりますが、どうやったらそんなスコアが出せるのか不思議です。)
- 学生は先生に見せる前に、必ずスペルチェックを通し、先生には論文のストーリーに集中してもらうのが良いでしょう。
- どうしてもうまく表現できないところは英語ネイティブの友達に相談しましょう。
- Chromeブラウザ上でも稼働するので、GmailやこのQiitaの記事にもスペルチェックが通ります。
- Overleafとの連携もプラグインで可能らしいです。 https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=WxMH7Bk9tC0
Qiitaでは日本語の文章と1行空けないとスペルチェックが通らないようです。
以上、個人が使ってるものです。もっと良いものがあると思います。他にもオススメあればご紹介ください。