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【学生団体】エンジニア集団から技術を持ったモノづくり集団への道【CirKit】

Last updated at Posted at 2024-12-10

はじめに

私は、金沢工業大学の課外活動である「CirKitプロジェクト」でリーダーを2年間務めた、海道敦也です。
CirKitは課外活動でありながら株式会社である団体で、社会に価値を提供し、その経験から学生が成長を目指しています。

本記事はリーダーの任期を終えた記念として投稿しています。

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前回の記事

前回は偉そうにリーダー論を語りましたが、今回は実績や歴史を語ろうと思います。
私がなにをしたのか、それがどう働いたのか、そしてどのようなスキルを持つ人物なのか、見て頂ければと思います。

CirKitはエンジニア集団

CirKitは2006年に「CirKitプロジェクト」として誕生しました。
当時はWeb系のエンジニアが在籍する課外活動でした。
2013年に「株式会社CirKit」を設立し、活動を加速していく中でも常にエンジニア集団であることは変わりませんでした。

時は流れ、コロナ渦が終焉しつつある2022年、私がCirKitに加入します。

当時のCirKitの現状

① 組織体制

当時のCirKitは職能別組織でした。

  • システム開発部
  • メディア制作部
  • マネジメント事業部

これらの部署がそれぞれ活動していました。
一方で、部署間の連携は乏しくチームの力を最大限引き出せる環境ではありませんでした。

また、主力事業であった「SAKITO」や「@連絡網」といったWebアプリケーションサービスはその指揮も含め全てシステム開発部が担ったおり、エンジニア集団から逃れられていませんでした。

② CirKitって?

当時はコロナ渦の影響もあって、CirKitカルチャーが失われCirKitとはなにかという状況でした。
株式会社というとても強い言葉に引っ張られて、「株式会社CirKit」であるべきだ!という雰囲気が強く、みんなそれを意識していました。

当時のCirKitまとめ

組織的には機能不全に陥り、CirKitの存在意義も株式会社という強い言葉に引っ張られ失われつつあるという状態でした。

改革の足音

当時から案として存在した組織改革

私が入ったときから組織改革の必要性は訴えられかけていました。
しかし、誰も実行に移しませんでした。

組織改革の原案の誕生

当時のマネジメント事業部の先輩が「ユニット制」という後に私が行う組織改革の原型を発案しました。
これはCirKitの新規事業をより立ち上げやすくするという目的を持ったものでした。
この原案は後の改革に強く影響を及ぼしていきます。

リーダー就任へ

2022年12月、私が1年生の際にCirKit学生リーダーに就任します。

なんで1年生がリーダー?

なぜ1年生がリーダーをすることになったかはいくつかの要因があります。

  • コロナ渦の影響で、当時の2年生が少なかった
  • Notionの導入など、私が積極的に組織開発を行っていた
  • 幅広く先輩・関係する大人の支持を受けた

私自身は全くリーダーをする気はなかったのですが、”させられた”に近いかもしれません。
今思うととても良い経験でした。
間違いなく今の私はCirKitリーダーによってつくられたと言って過言ではないでしょう。
感謝しかありません。

改革に着手

さて、最初にいくつか当時のCirKitの問題点を列挙しました。
当時よりも、もう少し問題点を明確にして列挙してみたいと思います。
もちろん当時はこんなに明確に見えてませんでした。結果論です。

  • 裁量権が不明瞭
  • CirKitとはなにかという定義
  • 文化の形成がなされていない

これらを解決していきます。

①裁量権が不明瞭だった件

これは組織改革です。
最後にやるやらないを決めるのは、エンジニアであるべきではありません。
つまり、エンジニア集団からの脱却の多くを担う一大施策でした。

エンジニア集団って?

ここで私が思う「エンジニア集団」の定義をお話ししたいと思います。
ひとことでいうなら「エンジニアが技術開拓や開発をするための組織」です。
CirKitでは名目上サービスを提供していましたが、エンジニア集団から脱却していなかったため、実装がめんどくさいものなどエンジニアの負担が実行するかしないかを決める指標と化していました。

どう組織改革したのか

まず組織的な問題点をより深く考えると以下のものがありました。

  • 新たな挑戦の不足(新規事業の立ち上げハードル)
    • ユニット制での解消を試みている最中
  • 部署間の連携の不足(職種間の連携の不足)

まず、後者の問題に対処していきました。
部署間で連携を高めていくことは学生の時間との兼ね合いを考えると不可能と考え、事業部制への移行を考えました。
技術力の維持的な観点から、マトリクス組織も考えましたが指示系統の複雑化などマネジメント的な視点も定着していない組織で採用することはリスキーだと判断し、見送りました。

前者に関しては新たな事業部制に置いてユニットをどう適応していくかという観点で考えていきました。
「事業」という名前だと立ち上げのハードルが高いと考え、「事業」と「ユニット」を含めて「チーム」と呼ぶ「チーム制」として統合することに決定しました。
「事業」と「ユニット」は根本的には何も変わりありませんが、名前を変えることでメンバーの印象を変えることを狙いとしていました。

現在は紆余曲折あり、「事業」と「横断」というカテゴリのみとなっています。

かんせ~

結果的には、非常に良かったです。たぶん。
デザイナーさん2人からは「今(組織改革後、当時)が一番CirKitの中で楽しい」と言ってくださったり、組織改革から1年後には大きな成果が出始め、後述するCirKitのリブランディングや既存事業の活性化、新規事業の短期的な成功などを収めることが出来ました。

また、金沢工業大学の別の課外活動にも組織改革の波は波及し、2つの課外活動が同様の組織改革を行いました。
これらの改革もサポートさせていただきました。

組織改革まとめ

上手く挑戦できる環境と職種間の連携、これらを具現化したのが「チーム制」でした。

②CirKitとはなにかという定義を決める件

CirKitの活動がチーム制によって活性化したある日、デザイナーさんから意見を貰いました。

「CirKitのロゴ変えない?」

私は二つ返事でOKしました。
当時、カルチャーとして新しいことに挑戦できやすい環境を作っていたのもあって、なるべく断らない姿勢をしていたというのもありますが、それよりもワクワクする!という意味でOKを出した覚えがあります。

CirKitのリブランディングへ

ロゴを変えること自体に大きな意味はありません。
しかし、せっかくロゴを変えるのであればCirKitの新たなカタチを形成するチャンスと思いリブランディングをすることを決定します。

CirKitとは

当時のCirKitは「株式会社」よりも「プロジェクト」だ!という風潮でした。
一方私は、どちらでもないCirKitは「CirKit」であると考え、ひとことで表す言葉を考えていました。
この時は全く想像もついておらず、なにをしているのか不明でした。

プロジェクト理念の制定

CirKitは株式会社であるがゆえに、企業理念を持っています。

企業理念
学生による価値創造と地域社会に貢献を

一方で、もう1つの顔であるプロジェクトには理念がありませんでした。
そこでプロジェクト理念の制定を始めます。

まず、みんなにCirKitに入った目的は?などのアンケートを取ります。
その結果75%以上の人が「成長を求めて」という回答でした。
ほかにもやりがいはどこなど、色々なアンケートを取り総合的にCirKitプロジェクトに求められているものを探っていきました。

結果プロジェクトとしては成長というところにフォーカスして、理念を作るべきという結論に至りました。

最終的にプロジェクト理念決まったプロジェクト理念は以下の通りです。

プロジェクト理念
ここでしかない体験で、最高の成長を

CirKitをひとことで

2つの理念が決まったことを受け、これらを融合させた言葉が「CirKit」を表すと考えました。
結果的に 【学生が価値を提供して、その経験をもとに成長する場所】 という言葉を提唱し始めます。

③CirKitのカルチャーを作れ!

CirKitをひとことで表してから、どのように学生が行動すればCirKitは理念を叶えられるのか考えていきました。
また、そういった行動を行う文化(カルチャー)を作るにはどうすればよいのかも同時に考える必要があります。

どのように行動してもらえばよいのか

そもそもCirKitのメンバーはどのような行動をすることが求められているのか、理念を叶えるためにはどのような行動を行えば良いのかを明確にすることが必要だと感じました。
これを通じて、私が構成した「CirKitとは」をメンバーにまで浸透させていきたいと思いました。

つまり、行動理念を作ろうということでした。
行動理念には、5つの文で構成されています。
1つの学生団体特有のものと、2つのCirKitらしさ、2つの企業的な側面を持つ文です。

  • 学生団体あるあるへの対応
    • 学年を超えた議論を
  • CirKitらしさ
    • 職種を超えた協調を
    • 時間を超えた思いやりを
  • 企業的な側面
    • 常識を超えたモノづくりを
    • 趣味を超えた技術開拓を

意図を説明していきます。

学年を超えた議論を

学生団体では意見があっても、学年という壁によって意見が出せないことが多いです。
これを解決するために明確に文としています。

職種を超えた協調を

CirKitには、エンジニアやデザイナー、プランナー(内部ではマーケティングと呼ばれる)人たちだけでなく、バリスタなど、カフェ事業に携わるメンバーがいます。
職種にはそれぞれ重視する点があると考えており、それをお互いに理解しようというものです。

例えば、エンジニアはリファクタリングなどプログラムも気にする必要があります。
一方で、プランナーはユーザーを重視した意見をどんどん出します。

これらをお互いに理解しなければ、案を議論することすらできません。
お互いにフラストレーションを貯めるだけです。

これを明文化し、成長につなげてほしいということで明文化しました。

時間を超えた思いやりを

CirKitは4年間でメンバーが卒業します。
そのため、技術選定や組織構築などにも今所属する後輩やメンバーを思いやる気持ちはもちろん。
3年、10年後のまだ見ぬメンバーへの思いやりも必要です。
これを明文化しています。

常識を超えたモノづくりを

企業理念にもあるように学生だからこそ作れるモノづくりを行うべきです。
それを明文化しています。

ただ、これは抽象度が高く微妙だったかな?という感じです。
後輩よ、改善してくれ。

趣味を超えた技術開拓を

これに関しては持論です。
ひとのスキルにおいて、そのこと自体を趣味にしているひとほど強いことはないと思っています。
一方で、趣味に留まると自己中心的なモノづくりをしてしまうと思います。

その中で客観的に技術を利用していくという力を身に付けてほしいということです。

その文化を定着させるにはどうすればよいのか

さて、○○理念を定めても定着させなければ全く意味はありません。
これらを文化として定着させていくことが最も大切です。

積極的な「やりたい」の応援

CirKitのメンバーは様々な「やりたい」を持っています。
「やりたい」は最高のモチベーションであると思っています。

その「やりたい」を「CirKitの活動」にする応援を全力で行っていました。
「やりたい」は自己中心的な活動になりがちです。
一方で、「CirKitの活動」は社会への価値提供が前提となっています。

ここには大きな乖離がある場合が多いです。
しかし、「やりたい」というモチベーションを大切に考え、これを応援することが次々とチャレンジする人が現れました。
「カフェロゴス」もこのひとつです。
直近では、金沢工業大学の学祭で屋内企画第1位を頂いたり、学祭にロゴスのために足を運んでいただいたりしているCirKitの重要な事業のひとつになりました。

この「やりたい」への応援はCirKitの活動において、未だに重要なものだと考えています。
多くの場合、それが当事者意識をもって取り組める活動だからです。
しかし、「やりたい」だけで物事を進めている場合も多く、難しいかじ取りを迫られる施策であると思います。

CirKit Awards

行動理念を定着させるため、CirKitの表彰システムを作りました。
これはこの記事が投稿される日に初めて実施されるため効果は不明です。
しかし、行動理念をみんなが意識する良い機会になることを信じています。

そして、毎年どんどんレベルが上がっていくことを期待しています。

オリエンテーションでの紹介

新しく入ってくるメンバーに、理念の紹介はしていました。
理念を目に触れさせることはどんどん行っていくべきでしょう。

まとめ

ここまで、多くの実績や功績を書いてきました。
おかげさまで、学内のCirKitの認知度は相当向上し、たくさん声をかけて頂くようになりました。

そして私のしてきたことは一般的に多くの人に褒めて頂きます。ありがたい限りです。
しかし、完璧であったわけではありません。指摘受けましたしそれをうまく活用できなかったこともあります。

私の力不足だったこと

総合的に見て、たったひとつだったかと思います。「コミュニケーション不足」です。
体制移行後、それぞれのチーム力強化のためチームの問題にはなるべく関わらないようにしていました。
しかしチームの長とのコミュニケーションが薄れ、チームの活性化という重要な側面を失っていった原因だと考えています。

また、コミュニケーション不足は今のCirKitが抱える問題点の多くがそれに起因すると思います。
もっとコミュニケーションを徹底的に取っていたら、より良いCirKitが誕生していたかもしれません。

まぁ、それはそれで。

さいごに

さて、CirKitリーダーの任期を終えて、多くの学びはもちろん、成功も失敗もしてきました。
これが許されるのがCirKitという本当に素晴らしい団体の良さだと思います。

文化の定着や技術力の継承など、課題は山積みです。
今になって課題解決に対して、深く考えたりしています。
しかし、既に次の世代の番です。CirKitを強くできるのか、どうか。
ただただ楽しみです。

これから

私は、これから研究活動を経て大学卒業後、株式会社サイバーエージェントでゲームクライアントエンジニアとして働きます。
CirKitの経験は必ず役に立つと信じていますし、私だけの強みになっていると思います。
組織活性化という経験を通じて、得られることは本当に多いです。

大感謝

この場を借りて、CirKitの活動を応援してくれた方々、一緒に活動してくれた同級生、後輩、ここまで導いてくれた先輩、役員さん、先生に感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
これからもCirKitにご支援いただきますよう、よろしくお願いします。

後輩へ

先輩の言うことを鵜呑みにせず、自分にとっての正解を導いてその"正解"を実行してください。
自分が正解と思ったものを、正解にするのです。

そして、今たくさん悩んでいる時期だと思います。
私もあなたのころはたくさん悩んでいました。もちろん今も悩み続けています。それは変わりありません。
私も含め色々な人を頼って、「最高の成長」をしてください。
Good Luck! Have Fun! 限界まで頑張ったら、あとは運ゲー!楽しもうぜ!

締め

これから、CirKitで多くの人が悩みつつも成長しまた社会で出会えることを祈って、締めとさせていただきます。
いつまでも、これからも私はCirKitのメンバーを応援し続けます。もちろん、まだ見ぬCirKitメンバーも。

おまけ

人に抽象度高いタスクを振る難易度が高すぎるという話が最近よく出ています。
しかし、育成のためには本当に重要なものであるため、みんな頑張ってこれをしてください。

あー、リーダー終わるのさみし
これが10年後の黒歴史になるのかな

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