はじめに
インターネットは、現代の業務において欠かせないインフラの一つです。特にネット回線の速度は、業務の質や効率に直接影響を与えます。本記事では、エンジニアの視点から、ネット回線の速度が業務効率にどのような影響を与えるかを記載します。(タイトルはちょっと大げさかもしれませんが、賛同いただける方も多いはず…)
作業に与える影響
日常的に行う業務
エンジニアだけでなく、多くの職種に共通する日常教務では、回線速度が重要な役割を果たします。以下は、ネット回線が関与する主な作業の例です。
- メールやチャットの送受信、内容確認
- クラウドサービスの利用(自分メモや報告、翻訳など)
- ビデオ会議・リモート会議
- 技術情報の収集や調査・検索
エンジニア特有の業務
一方、エンジニアに特有のネット依存作業があります。これらは、特に回線速度の影響を受けやすい作業です。
- 開発環境の構築(apt や pip でのパッケージインストール)
- GitHubなどからコードのpull/push
- 大容量ファイルのダウンロード(AIモデル、フリーソフトなど)
効率低下とストレス
ネット回線の速度が遅いと、さまざまな作業に悪影響が出ます。作業効率の低下はもちろん、ストレスの原因にもなります。ここでの「遅い」とは、ダイアルアップ程度の速度を指しています。
メールやチャットの送受信
遅延は大きくないものの、数秒のラグが毎回・日々積み重なると、結果的に無視できない時間ロスが生じます。
クラウドサービスの利用
ネットワークの遅さにより、入力した文字が反映されなかったりすることで修正作業が発生し、生産性が低下します。また、ストレスも増します。例えば、「あいうえお」と入力したのに、非同期通信により「あうえお」と反映される場合です。漢字変換を必要とする場合は、再入力することになります。
ビデオ会議・リモート会議
音声や映像が途切れたり、会議の進行が滞ったりすることで重要な議論が中断されたりします。これは、出席者全員の時間が無駄になります。また、コミュニケーションミスが発生するリスクも発生します。
技術情報の収集や調査・検索
ウェブ検索の遅延により、調査がスムーズに進まないことで、作業が効率的に進まなくなります。また、リソースを遅延ロードするページも多く、スクロールなどももたつきストレスになります。
大容量データの送受信
エンジニア特有の作業では、数十MBから数GB規模のファイルを扱うことが多く、ネットワークの遅延があると、作業全体が大幅に遅れ、順序の入れ替えや追加作業が必要になります。
例えば、操作のタイムアウトが発生したり、ハンドシェイクや認証に失敗したりするため、回線速度が混雑していない深夜帯にダウンロードするスクリプトやcronなどをセットする追加作業を余儀なくされます。
効率化と回線速度の盲点
業務効率化の取り組み
近年、多くの企業が「業務効率化」や「DX(Digital Transformation)」に取り組んでいます。
※DXをただの「デジタル化」と勘違いしている場合が多いことは一先ず置いておきます
例えば、勤怠入力やワークフローがオンライン化されたり、ローカルサーバからクラウド環境への移行なども進んでいるでしょう。
回線速度が見落とされている現実
オンライン化により、プロセス自体は効率化されているものの、回線速度への配慮が欠けているように感じています。特に、従来のローカルサーバからクラウドへの移行が進む中、貧弱な回線環境では作業効率が逆に低下してしまうこともあります。
回線速度が遅い原因
理想的な速度
ネット回線の理想的な速度は用途によって異なると思いますが、BUFFALO社の記事によると、以下のようです。
- すべてが快適(100Mbps)
- 高画質動画が快適(30Mbps)
- 標準画質動画・ブラウジングが快適(10Mbps)
- テキスト送受信が快適(1Mbps)
全てを快適に、、、と贅沢は言いませんが、数GBクラスのデータ送受信を行うケースもあるため、30Mbpsくらいは欲しいところです。単純計算だと、同時アクセス330人程度で10Gbpsのプラン契約、ぐらいが理想と言えそうです。
実際の環境での問題点
回線速度は、契約プランや使用人数によって大きく変動します。また、導入されている環境(wifi、proxyやVPNなど)によっても変動するため、原因を一概にコレとは言えません。
例えば、10 [Gbps] のプランを契約していても、1,000 人が同時に使用するのであれば、単純計算で一人当たり10 [Mbps] の割り当てとなります。10,000 人だと1 [Mbps]です。複数端末を常時利用している場合は、もっと低くなります。
また、HTTP時代に複数人の利用下で活躍していたproxyですが、今はHTTPSが主流。速度の観点では全く寄与しません。逆に、社外への通信がproxyサーバに集中するため、低スペックなサーバや負荷分散していない場合だと、通信速度を遅くするボトルネックである可能性すら出てきます。
おわりに
ネット回線の速度が業務効率に与える影響は無視できないものです。遅い原因は会社や環境によって様々だと思いますのが、自社の回線速度やネットワーク環境について再考するきっかけとなれば幸いです。
ちなみに、私の会社の回線速度は、混雑時(主に定時内)に「bbps~数百kbps」です(タイポではなく「バイト」です)。作業効率を著しく下げている要因だと日々感じており、本記事を投稿しました。
他の会社ではどのようなものか、皆さんの職場での回線速度や改善事例などがあれば、是非コメントで教えていただけると幸いです。「○時にXXXサイトを見ると、YY [bps] でした!」など、可能な範囲で共有ください。