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3GPP TS23.501(V17.6.0)を読んでいくAdvent Calendar 2022

Day 11

TS 23.501 5.27 TSC Enablers and Time Synchronization読み解き

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こんにちは!
TS23.501の読み解きAdvent Calendarの一部として、今回は5.27章の”
Time Sensitive Communications(TSC)エネーブラーと時刻同期”のところを読んでみました。
一部専門ではないところだったり詳細省いたので、完璧ではなく恐縮ですが、お役に立てるとうれしいです。

image.png

Figure 4.4.8.2-1: System architecture view with 5GS appearing as TSN bridge

絵からもわかるように、5.27章は産業用ネットワークで注目されているTSN(Time Sensitive Network)との連携を視野にいれたTime Sensitiveなネットワークの構成&議論です。赤丸で囲んだDS-TT、NW-TT、TSN-AFに加えて、TSCTSFあたりが5Gシステム内の主要ノードになります。
この章ではIEEE 802.1AS(TSN関連規格), IEEE 1588(PTP関連規格)をベースにしたTSNとの連携ノードの説明を中心に、①どう時刻情報が5GSの外部から取り込まれて5GS内部で同期されるか、②どうTime Sensitive Communication Services (TSC)が外部AFから呼び出されて実現されるか、③確定性通信の実現方式あたりが説明されています。

まずは①どう時刻情報が5GSの外部から取り込まれて5GS内部で同期されるかのところです。
ここでの主要ノードは先ほどの図で出てきた以下3ノードです。

1.DS-TT: Device Side Time Translator/ U-plane用のTime Translator (TSNネットワークとのブリッジ機能)
2.NW-TT: Network Side Time Translator/ U-plane用のTime Translator (TSNネットワークとのブリッジ機能)
3.TSN AF: C-Plan用のTime Translator (TSNネットワークとのブリッジ機能)

同期の方法は以下2つ。
1.5G Access Stratumベース: 無線インターフェース経由でNG RANの同期に使われる。詳細はTS.38.331
2.PTPベース: PTPドメインベースでの時刻同期。IEEE 802.1 AS, IEEE 1588ベース。★本TSではこちらの記載がメイン。

同期プロトコルとしては1. gPTPプロトコルと、2.PTPプロトコルの2種。gPTPはIEEE 802.1ASで規定されているTSNを念頭に入れたPTPですが、独自プロトコルの多い産業用ネットワークにあわせてイーサーネットレイヤーだけでの同期&中継ノードの簡略化(Boundary Clock/Transparent Clockがない)みたいなイメージです。
私はgPTPにあまりなじみがないので、、詳細はこの記事がわかりやすそうです。
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/nettech/1451057.html

まずは外部TSNネットワークからgPTP Sync、Follow_Up メッセージを受けてからの基本的な流れ。(UE側からのフローはこの逆)
image.png

次にPTPの場合ですが、基本的には上記と同じ動きをします。ただgPTPと違ってPTPの場合はModeを気にしないといけなく、5GシステムはBoundary Clock(外部Grand Master=GMと連携してSyncメッセージを再生成)か、Transparent Clock(Syncメッセージを素通しするだけ)として動作します。正確には、Boundary Clock, End To End Transparent Clock, P2P Transparent Clock, PTP-relay, IPv4/v6/Ethernet対応,複数PTPドメイン対応などが方式・考慮ポイントとしては説明されています。(この辺りはあまり目新しくはないかもしれません?)
また、NW-TT/DS-TT両方・どちらかがGMとなってSync, Follow_Up, Announceメッセージを送るのもOKだそうです。

さて、ここから②どうTime Sensitive Communication Services (TSC)が外部AFから呼び出されるかです。
5Gでは外部AFからAPI経由でサービスが呼び出されますが、Time Sensitive Communication ServicesもTSCTSFがNEF経由(か直接)でサービス提供を実現します。
TSCTSFはAFからのAPI呼び出しに対し、UE/5GシステムのTSC対応状況の確認、アクティベーション/デアクティベーションすることを想定しています。
他サービス同様、スライスの指定はDNN、S-NSSAIで行い、UE-Entity Listを指定することも可能です。他にもPTPインスタンスの指定、5G Access Stratumベースでの同期の指定等ができ、手順はTS 23.502を参照する必要がありそうです。
 
image.png

次に③確定性通信の実現方式に関してです。
確定性通信とは単語が難しいですが、TSCのために,最大遅延,最大ジッタ,無衝突を保証するネットワーク機能のことで、この通信の外部からの設定方法及び5G内の内部動作の説明です。
(こちらの説明がとてもわかりやすかったです https://journal.ntt.co.jp/wp-content/uploads/2022/12/nttjnl5103_20221201.pdf)

AF/外部TSNからの設定の流れは以下です。
image.png

TSCAI: Time Sensitive Communications Assistance Information
TSCAC: Time Sensitive Communications Assistance Container
PSFP: Per Stream Filtering and Policing。
CNC: Central Network Controller. IEEE 802.1 IQなどでコミュニケーションをとるブリッジコントロールノード。

少し図上わかりにくくなったのはCNCからTSN ANへの指示の個所で、CNSはTTノードへコントロール指示を出す場合もあり、その場合はTSN ANはDS-TT/NW-TTへコントロール要求を出します。

最後にその他項目でTSCのQOS Flow設定、Hold and Bufferメカニズム、5G System Bridgeでの遅延です。
QoS Flow設定に関してはDelay-critical GBR resource typeとTSCAI情報を使います。QoS設定に使う5QI(5G QoS Identifier)は、標準・事前設定・動的アサインで設定可能です。TSN QoS Flow関連でのパラメータ関連は以下です。
・MDBV(Maximum Data Burst Volume): TSC Burst Sizeを利用可能
・5G AN PDB = 5QI PDB- CN PDB
・GBR: TSNとの連携の時はMaximum Flow Bitrateが利用可能
・5QI設定値はQOSマッピングテーブルとTSN QoSの情報 /AFからのTSCAI情報を利用。

DS-TTとNW-TTはHold and BufferメカニズムはIEEE Std 802.1Q-2018で規定されている通りHold and bufferメカニズムがあります。

TSNネットワークとのブリッジ連携する時の動作はIEEE Std 802.1Qccで規定されています。TSNブリッジとして5Gシステムが動作する場合は、Bridge Delaysを挿入する必要があります。
(このあたりは、TSNブリッジの説明がもうちょっとほしいところです。。)

以上のような内容が5.27章Time Sensitive Communications(TSC)エネーブラーと時刻同期”の内容(と私が理解した内容)です。一部ざっくりだったりもしかしたら誤訳があるかもしれないのですが、お役に立てたなら何よりです。

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