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IOWN Global Forum読んでみます(IOWNの今編)

Last updated at Posted at 2024-12-30

こんにちは!Assieです。
年末ですが皆さん良い年末をお過ごしでしょうか?

私は今年やり残したこと…そうIOWN Global Forumの仕様説明ブログを書きあげるため、今さくらインターネットさんの新しくできた大阪の施設・Blooming Campのカフェでつらつら書いています。(宣伝)
大阪で書いてるのもあって、自分の一人ツッコミが多いブログで恐縮ですが、年の終わりにIOWNの説明をしていきたいと思います。
前編(IOWNの今編)・後編(IOWNのこれから編)の2つに分けます。

●IOWN?
IOWN(Innovative Optical & Wireless Network)…それは2019年にNTTが発表&業界団体IOWN Global Forumを設立し、2023年にIOWN 1.0としてOTN Anywhereを皮切りに商用化が始まった次世代ネットワーク構想です。
公開された当時は「All光ネットワークなのにOptical & Wirelessってどういうこと?IPいらないってこと?」とか「NGN=Next Generation Networkで永遠にNext Generationなっちゃんだけど、IOWNも永遠にInnovativeっていう気?」とか色々思ってたのですが、徐々に理解してきたので今日は私の理解を書き連ねたいと思います。

●そもそも何で光ネットワークで頑張ってるの?
技術的な背景は後程としてビジネス面での文脈を説明すると、日本ベンダは長年海外で活躍できてないといわれてますが、正確には若干分野ごとに状況に差分があります。
RAN市場世界シェア2%で苦戦領域。RANは周波数帯の対応が各国ごとに違ったり旧世代の対応方針等でバリエーションが結構いるので、カスタマイズに体力いるでしょうね。
Optical市場:公開情報でシェアが10年前のしか出てこない。。。日本ベンダでいうとFujitsuは北米AT&Tを抑えていて北米市場で強く、FujitsuとCienaで北米のWDM市場の80%占めてるとのことです。NECはODA案件だったり同じ光NWの別の使い方の海底ケーブルが世界3強だったりしているのでボチボチ海外で見かけます。ちなみにNTTの研究所もだいぶ昔にFurukawa、Fujikura、住友電工連合でファイバーケーブルを先駆けて作ったというのもどこかで見たのでNTTも光ファイバーの研究の歴史は長いですし、このあたりのケーブル各社も海外で見かけるところもありますかね。
IP市場:日本ベンダは全然見かけないです。
Mobile Core市場:ピンポイントでそこ!?みたいなところで見かけます。NECでいうとClear Mobitelとか入ってますね。

ちなみになぜにIPベンダはUSベンダ(CISCO, Juniper等)とかが強くて日本は厳しいのかというところで、今年夏にUSに行った時に奇跡的にMPLSの父の人とキャリアグレードルーターの生みの親の人と喋ってきたのが思い出されます。曰く、「ASICにProgramability持たせたかった、それを数か月でやろうと決めていた」と言っていてめちゃめちゃシンプルな思想&ベンチャー気質に溢れた出発だったみたいです。
HWで技術を積み重ねる日本、SW化含めて新しいことをどんどんやっていくUS/シリコンバレー会社みたいなところがシェアの得意・不得意に出てるのかなーとか思ったりします。ちなみに彼らレジェンドは次はDigital Twinを使ったりしたいなみたいなことを言っていて、生粋のベンチャー魂で先端行き続けててめっちゃカッコよかったです。レジェンドは何かを成し遂げたことがすごいのではなくて、その成果が今にもインパクトを与えていて未来も作っていくからレジェンドなのだなーと思ったのでした。

話を戻して、こんな感じなので個人的には光は海外でまだ頑張れるのかも?と思ったり。

で、IOWNって何なの?
IOWNはNTTが提唱し始めた概念ですが、2019年からIOWN Global Forumで仕様策定されています。創設はIntel・Sony・NTTですが、KDDI・楽天・中華電信・Orange・SK Telecomあたりの通信事業者・日本/海外の通信機器ベンダ・産業界/アカデミック界のパートナー(味の素・渋谷区・JR等結構多種多様)、幅広いパートナーがいます。
ただやっぱりオペレータが少ないのと、付き合いのありそうなベンダが多い、産業界は日本勢が多いみたいな感じに見えるので、併せて行われているITU・TIPの動きも含めてどうなるのか気になるところです。

でIOWNの中身ですが、光を中心にした技術を使うことによってIOWNは消費電力の削減・大容量通信・高速通信を目指していて、大きく分けて①All Photonic Network (APN)②Cognitive Foundation③Digital Twinの3つに分かれています。
が、個人的にはDigital Twinの価値って絶対こういう通信領域の目標の話だけじゃないよね?と思っていて、今の目標説明は①のAPNのところについてが大きいのかなとか思ったりします。データ量が爆発的に増えていて環境負荷や電力不足がすごくなってくるので、新しい技術によってサステナブルな通信の成長を目指してるのだろうなと理解。
l_bit202204271303347506.jpghttps://www.sbbit.jp/article/cont1/37601#&gid=null&pid=1)

絵を見る限りDigital Twin社会を支えるためのAPN・Cognitive foundationなのか?とも見えるのですが、それぞれは結構独立して別個に動いていてるように見えます。Cognitive Foundationはまだよくわかってないですが、APNとDigital Twin(とCognitive Foundation?)で世界をリードしていくぞ!みたいな絵と理解しちゃってます。(もちろんそれぞれの相関性の説明はありますが)
参考:IOWN Global Forum Technical Report一覧
APN:一番先行していろいろ発表されている長距離光伝送(WDM/OTN)レイヤー。ただしアクセスのPONは入ってない気がするので、この時点で用途はBackhaulとかDCI(Datacenter Interconnect)とかだとわかりますね。Taskforce的にはArchitecture TF, Open APN Wavelength Availability TF, Fiber Sensing TFあたりがあると思われます。
Cognitive Foundation:ほぼ発表されていなくて今はよくわからない
Digital Twin:長らくWhitepaperだけだったのが、最近少しずつArchitectureが発表になってきています。(が、まだ読めてない)
という状況なので、かなり偏った進み方をしているのでIOWN APNを中心になりそうですが、ここから仕様を読み解きたいと思います。

読むのは2つ、全体の羅針盤文書と思われるInnovative Optical and Wireless Network Global Forum 2030 and Technical Directions(2022)と、昨今のGPUネットワーク経由のRDMAアクセスあたりを含めた最新のロードマップのIOWN Global Forum Key Values and Technology Evolution Roadmap(2024)です。

ここからはInnovative Optical and Wireless Network Global Forum 2030 and Technical Directions(2022)から読み解いた内容です。

●IOWNの構成
まだまだ仕様は絶賛決め中だと思うので部分的にしかTechnology Stackが出てきてないような気がしますが、現状の資料に出てくるのは以下です。
たぶんですが内容的にはIOWN 1.0/2.0(今から数年)といった初期段階の仕様を書きつつ、ユースケースはもっとビジョナリーな感じに思えました。

【IOWNのTechnical Stack】
・All Photonics Network (APN) :2022年のRelease 1ではOpen & Disaggregated WDMという感じの仕様が出てきました。トランスポンダーもSFPも全部Disaggregationします!みたいな。最初IOWN 1.0でOTNの回線貸しが出てきた時に「なんでAll Photonics Networksでこれ?てか海外オペレータもうやってるよね?」とか思っちゃったのですが、Disaggregated Optical Transportがコンセプトと言われるとあーそうかーという感じです。占有の波長貸しサービスをダイナミックに提供するのがまずまずのターゲットとの説明です。あと、TIPとの連携はTIP OOPT(Open Opticak Transport)との連携メインなのかなとか思いました。
ちなみにAPN1.0で確定遅延??という単語が出てきましたが、ODU張り出しで専用の光線を物理から占有できるからゆらぎゼロでネットワーク品質保証できますという意味と理解してます。(なんでこんな難しい単語を…)

・Data-Centric Infrastructure(DCI):APNと同じタイミングでドキュメントリリースされたこちらはDisaggregated Computing Infrastructure、つまりServer Disaggregationです。自分の理解はCPU、メモリ、ストレージ、NIC等々のリソースを物理サーバーという筐体や場所を飛び越えて自由に使えるようHardwareリソースプールとしてLogical Service Nodes(LSN)をもってそれらのコンポーネント間を光でつないじゃいますという感じです。
こちらの絵とかわかりやすいです。
3.jpg
RDMAでメモリダイレクトアクセスが可能になってきてますが、そんな感じでいろんなコンピュートリソースをダイレクトに使えるようにしちゃおう!というイメージです。
MetaとかもDC内の折り返しトラフィックを光スイッチでさばいてる気がするし、ノード間インターコネクトを光でみたいな概念は有かなとか思ったり。

・IOWN Data Hub: こちらは名前の通りデータ処理基盤です。処理内容的に役割分担させる構成です。
   - フロントエンド/分散エッジノード Tier:リアルタイムの一次データ解析基盤
   - データサービス tier: データの一貫性の保証と、グローバルデータ利用担当。分析の司令塔的な感じ?
   - ストレージ Tier:データ保存のためのノード
   *個人的には全部real-time分析じゃなくても良くない!?とかちょっと思ったり

以上がメインのTechnical Stackの皆様でした。
ここからがComplementary Worksの皆様です。
・IOWN for Mobile Networks: Beyond 5G・6Gに向けたトランスポートNWとMobile NWの連携を検討。特にCoopoerative Transport Interface(CTI) が特筆事項です。CTIインターフェースは何をするのかというと、ミッションクリティカルなトラフィックをさばく時にTransport NWもRANとスケジューリングを同期させて行う感じです。
下の絵の元文書での説明の「モバイルシステムと連携して光アクセスシステムの通信タイミングを決定することで遅延時間を低減する機能であるCO-DBA(Cooperative Dynamic Bandwidth Allocation) が 規 定 さ れ,CODBAを動作させるために必要となる情報をやり取りするためのモバイルシステムと光アクセスシステムの間のインタフェースが O-RAN(Open Radio Access Network)WG (Working Group) 4 で CTIとして規定されました。」という説明がたぶんしっくりくると思います。
image.png(https://journal.ntt.co.jp/wp-content/uploads/2023/12/nttjnl5003_20231201.pdf)

IOWN Security:こちらはMulti Factor Secutiyだそうです。てっきり量子暗号化のQuantum Safe NWで来るのかと思ってのですがそれも含めて色々組み合わせるそう。いろいろが何かはまだ私はわかっていないですが。

Fiber Sensing With APN: Distributed Fiber Optic Sensingだそうで、ざっと仕様を見た感じWDM用のOTDR(WDM NWの故障ポイントとかを特定するシステム)とかを含めたいくつかの仕様を検討中のようです。

以上がTechnical Stackの概要説明でした。
この資料がすべてを網羅していると思ってはいないですが、現状の2030のVisionとTechnical Directionsは意外と光トランスポートNWとサーバのコンポーネントのDisaggregationをベースにそれに付随する必要ノード(コンポーネント間の同期・データ基盤・セキュリティ・Fault Management)を定義してあるのが今の仕様だなーという印象です。
…ロードマップをよく見る必要がありますね。
含めてロードマップとアーキテクチャ詳細は後編です

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