ライブラリの型エラー解決手順：NextUIのDatePickerを例に解説

はじめに

TypeScriptを使用しているプロジェクトでは、依存関係のバージョン不一致が原因で型エラーが発生することがあります。

本記事では、NextUIのDatePickerで発生した型エラーを例に、一般的な型エラーの解決手順を解説します。

発生した型エラー

NextUIのDatePickerコンポーネントを使用する際に、以下のような型エラーが発生しました。

Type 'ZonedDateTime | null' is not assignable to type 'CalendarDate | CalendarDateTime | ZonedDateTime | null'.
  Type 'ZonedDateTime' is not assignable to type 'CalendarDate | CalendarDateTime | ZonedDateTime | null'.
    Type 'import("/path/to/node_modules/@internationalized/date/dist/types").ZonedDateTime' is not assignable to type 'import("/path/to/node_modules/@nextui-org/system/node_modules/@internationalized/date/dist/types").ZonedDateTime'.
      Property '#private' in type 'ZonedDateTime' refers to a different member that cannot be accessed from within type 'ZonedDateTime'.

これは、同じライブラリ (@internationalized/date) でありながら異なる場所からインポートされていることが原因で、TypeScriptが異なる型として扱ってしまうために発生しています。

型エラーの原因

この問題の原因を特定するために、依存関係のバージョンを調査しました。

特に注目したのは、以下の2つの異なる @internationalized/date のインポートパスです。

1. プロジェクトが直接使用している @internationalized/date
2. NextUIが内部で使用している @internationalized/date

これらのバージョンが異なる場合、TypeScriptは ZonedDateTime を異なる型と見なし、型の不一致が発生することがわかりました。

型エラー解決の手順

この型エラーを解決するために行った手順を以下にまとめます。

1. エラーメッセージの分析

まず、エラーメッセージを読み取り、どの型が競合しているかを特定します。

今回の場合、@internationalized/date が異なるパスからインポートされていることが問題の核心でした。

2. 依存関係のバージョンを確認

依存関係のバージョンを確認するために、yarn.lock を調査しました。

以下のコマンドを実行し、NextUIが使用している @internationalized/date のバージョンを特定しました。

grep -A 10 "@internationalized/date" yarn.lock

結果

"@nextui-org/datepicker@npm:2.2.9":
  version: 2.2.9
  resolution: "@nextui-org/datepicker@npm:2.2.9"
  dependencies:
    "@internationalized/date": "npm:3.6.0" # ここ
    "@react-aria/datepicker": "npm:3.12.0"

その結果、NextUIの DatePicker が @internationalized/date のバージョン 3.6.0 に依存していることが分かりました。

3. 主要ライブラリに合わせてバージョンを統一

NextUIが使用しているバージョン (3.6.0) に合わせて、プロジェクトの package.json に明示的に追加しました。

{
  "dependencies": {
    "@internationalized/date": "3.6.0",
  }
}

これにより、NextUIとプロジェクトが同じバージョンの @internationalized/date を使用するようになります。

4. 依存関係を再インストール

変更後に、以下のコマンドで依存関係を再インストールしました。

yarn install --mode update-lockfile

これにより、依存関係が正しく統一され、型エラーが解消されました。

まとめ

TypeScriptプロジェクトで発生する型エラーは、一見複雑に見えても、落ち着いてエラーを読み、１つずつ原因を追求していくことで解決できることを体感しました。