こんにちは。今回は、AES-GCM暗号化・PBKDF2による鍵導出・ハッシュチェーンによるログ管理を組み合わせた、安全かつ実用的なファイル暗号化ツールの設計について紹介します。
🔒 背景と目的
最近の情報漏洩や内部不正の事例からも分かる通り、暗号化だけでは不十分なケースが増えています。
そこで本記事では、以下のようなセキュリティ要件を満たすシステム構成を紹介します:
- ✅ ファイルの機密性を守る
- ✅ 改ざんの検出と防止が可能
- ✅ 操作履歴を安全に保管・検証できる
⚙️ 使用技術一覧
AES-GCM: 認証付き暗号。暗号化と同時に改ざん検出を実現。
PBKDF2 + Salt:パスワードからセキュアな鍵を導出。Saltにより攻撃耐性強化。
ハッシュチェーン:ログ同士をハッシュで連結し、改ざん不可な操作履歴を実現。
🧩 システム構成フロー
- ユーザーがパスワードを入力
- PBKDF2 + Salt で暗号鍵を導出
- AES-GCM でファイルを暗号化 / 復号
- 操作ログをハッシュチェーンとして記録
- ログの整合性検証が可能
🗃️ ログのハッシュチェーン例
[ログ1]
timestamp: 2025-04-11 10:00
action: encrypt file1.txt
hash: SHA256("ファイル内容 + 初期固定値")
[ログ2]
timestamp: 2025-04-11 10:05
action: decrypt file1.txt
hash: SHA256("ファイル内容 + ログ1のハッシュ")
[ログ3]
timestamp: 2025-04-11 10:10
action: re-encrypt file1.txt with new password
hash: SHA256("ファイル内容 + ログ2のハッシュ")
ログチェーンが破損していないかを検証することで、過去の操作ログの信頼性が確保されます。
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🔐 セキュリティ設計のポイント
• AES-GCM により、暗号化と改ざん検出を1ステップで実現
• PBKDF2(推奨反復回数:100,000回以上) によりブルートフォース攻撃を困難に
• Saltの導入 によって同じパスワードでも異なる鍵を生成
• IV(初期化ベクトル)は毎回ランダム生成
• ログは一方向性ハッシュチェーンで管理され、改ざんを検知可能
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🌱 今後の拡張アイデア
• 鍵のローテーション(再暗号化)
• ログ専用ビューアの実装と改ざん検出インターフェースの提供
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✅ まとめ
今回紹介した構成は、以下の3つの目的を同時に達成できます:
• ファイルの暗号化(機密性の確保)
• 鍵の安全な生成(強力なパスワードベース鍵導出)
• 改ざん検出可能なログ記録(透明性と可監査性)
個人利用から中小企業向けのセキュリティ対策としても有効なアーキテクチャです。
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📚 参考リンク
• RFC 5116 - AES-GCM
• RFC 8018 - PBKDF2
• ハッシュチェーン - Wikipedia
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✍️ 最後に
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